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テーテュース
PLATE — ΤΗΘΎΣ
HELLAS · ギリシア神話
ΤΗΘΎΣ

テーテュース

テテュス · テーテュス · Tethys

83d40m PUBLIC DOMAIN

ギリシア神話のティーターン神族の女神。オーケアノスの妻で、三千の河神とオーケアニスたちの母。逸話をほとんど持たないが、ローマ期のモザイクでは海そのものとして描かれた。

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解説

概要

テーテュース(Τηθύς / Tethys)は、ウーラノスガイアの娘であるティーターン神族の一柱で、兄オーケアノスの妻である。ヘーシオドス『神統記』によれば、二神のあいだに三千の河神と、オーケアニスと総称される三千の女神が生まれた。三千は数え上げではなく「無数」の意である。

彼女には神殿も祭祀も知られていない。物語もほとんど持たない。それでも系譜の上では、ギリシアの水系のほぼすべてが彼女に発するという巨大な位置を占める。アキレウスの母である海の女神テティス(Thetis)とは別人であり、古代から混同されてきた。

神話・物語

古い伝承として残るのは『イーリアス』第14巻、いわゆる「ゼウスの惑わし」の場面である。ヘーラーは、クロノスが逐われた騒乱のあいだ母レアーから預けられ、オーケアノスとテーテュースの館で養われたと語る。育ての親どうしが仲違いして久しく床を共にしていないので和解させに行くのだ、というのがゼウスを欺くための口実であった。

この場面でヘーラーは、二神を「神々の生じたところのオーケアノス」と「母なるテーテュース」と呼ぶ。ここから、ウーラノスとガイアではなくオーケアノスとテーテュースを神々の始祖とする、ヘーシオドスとは別系統の宇宙開闢が想定されてきた。M・L・ウェストはこれを古い神話の痕跡と見る。一方ティモシー・ガンツは、「母」は直後にヘーラー自身が語る養母の意で足り、「神々の生じたところ」も無数の川と泉の父を指す定型句でありうると慎重な見方を示している。

プラトン『ティマイオス』は、ウーラノスとガイアの子がオーケアノスとテーテュースで、その子がクロノスとレアーだとする系譜を挙げており、二つの伝承を調停しようとした形跡がうかがえる。『クラテュロス』ではオルペウスの詩を引いて、この二神が最初に結婚したと述べる(オルペウス教)。

後代の逸話は断片的である。ヒュギーヌスによれば、星辰化されたカリストーが海に沈むことを禁じたのはテーテュースで、養い子ヘーラーの側に立ったためだという。おおぐま座が地平線の下へ没しない理由を説く話である。クラウディアヌスは、光のまだ弱かった幼いヘーリオスセレーネーを彼女が胸に抱いて養ったと歌い、オウィディウスは、彼女がアイサコスを潜水する鳥に変えたと伝える。

図像と象徴

ローマ期以前の作例は乏しい。確実なのは前6世紀初頭のアッティカ黒絵式ディノス——ソフィロスの銘があり、大英博物館蔵——で、ペーレウスとテティスの婚礼に招かれた神々の行列の末尾に、ΘΕΘΥΣ の銘とともにオーケアノスに続いて現れる。同じ場面を描く同時期のフランソワの壺にも、彼女がいると推定されている。前2世紀のペルガモン大祭壇ギガントマキアー浮彫では、オーケアノスの左腕の下に残るキトンの一部と、その頭の後ろで木の枝を掴む手だけが彼女の痕跡である。

図像が豊かになるのは後2〜4世紀、シリアのアンティオキアとその近郊においてである。浴場・水槽・食堂の床モザイクに、彼女は単独で、あるいはオーケアノスと並んで繰り返し描かれた。見分けるための徴は三つある。額から生える翼、舵あるいは櫂、そして竜の頭に蛇の胴を持つ海獣ケートスである。上半身を露わにし、腰から下を衣で覆い、長い髪を中央で分ける姿が多い。水を張った空間の床を水の母神が飾るという主題の選び方そのものが、この時期の浴場装飾の作法を示している。本ページの主画像は、アンタキヤ(ハタイ)考古学博物館が所蔵するアンティオキア出土のモザイクである。

このモザイク群の後期には、海を擬人化した女神タラッサの図像と区別がつかなくなっていく。ヘレニズム・ローマの詩で、テーテュースの名が「海」そのものを指す詩語として使われるようになったことと連動した動きである。

系譜と関係

父はウーラノス、母はガイア。同胞はオーケアノス、コイオス、クレイオス、ヒュペリーオーン、イーアペトス、クロノス、テイアー、レアー、テミス、ムネーモシュネー、ポイベーの十一柱である。

娘たちの顔ぶれが、彼女の位置をもっともよく示す。ゼウスの最初の妻メーティスネーレウスの妻ドーリス、誓いの証しとされた冥界の河ステュクスイーアペトスの妻クリュメネー、そしてヘーリオスの妻ペルセーイス——すなわちキルケーアイエーテースの母である。息子の河神には、ヘーラクレースと争ったアケローオスアルペイオス、トロイア方に立ってアキレウスに挑んだスカマンドロスがいる。

バビロニアの原初の海ティアマトとの関係を指摘する説がある。ウェストは、久しく夫と離れて暮らす母なる女神という『イーリアス』の含みに、真水のアプスーと塩水のティアマトが分かたれる『エヌマ・エリシュ』の構図との対応を見た。テーテュースの名がティアマトに由来する可能性も論じられている。ただしこれは音と構図の類似にもとづく仮説であって、確定した語源ではない。

文化的足跡

土星の衛星テティスと、中生代にユーラシアとゴンドワナを隔てていた古海洋テティス海は、いずれも彼女の名にちなむ。テティス海の命名は、地層に残る海生化石の分布からその存在を提唱したエドゥアルト・ジュースによる(1893年)。水系の母という神話上の位置が、そのまま地球史の用語に転用された例である。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

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資料

Wikidata
Q184216 — 骨格データの出典
Commons
Tethys (mythology) — 図像カテゴリ