アルペイオス
アルペイオス · アルペイウス · Alpheus
オリュンピアを流れる川の神。ニュンペーのアレトゥーサに恋して追い、彼女が泉に変えられたのちも海の下を流れて合流したという。シュラクサイのアレトゥーサの泉が塩気を持たないことが伝説の根拠とされた。
解説
概要
アルペイオス(Ἀλφειός / Alpheios)は、ペロポネーソス半島最大の川アルペイオス川の神である。アルカディアからエーリスへ流れ、オリュンピアの聖域の脇を通って海に注ぐ。ニュンペーのアレトゥーサを追い、海の下をくぐってシケリアまでたどり着いたという伝説で知られる。
神話・物語
オウィディウス『変身物語』第5巻では、アレトゥーサ自身がその次第を語る。アルテミスに仕える狩りのニュンペーだった彼女は、狩りの帰りに澄んだ川で水浴びをしていたところを河神に見初められ、追われた。逃げ切れなくなったとき、アルテミスが彼女を雲で包み、さらに水に変えた。女神は地に裂け目を開き、アレトゥーサは地下を通ってシュラクサイ沖のオルテュギア島に湧き出た。アルペイオスもまた海の下を流れて彼女を追い、泉で水を合わせたという。
オルテュギアのアレトゥーサの泉は、海辺にありながら淡水が湧く。オリュンピアで川に投げ入れた杯がシュラクサイの泉から浮かび上がる、という話も古代には語られた(ストラボーン、パウサニアース)。
アルテミス自身もアルペイオスに追われたが、顔に泥を塗って見分けがつかないようにして逃れたとも伝えられる(パウサニアース6.22.9)。
ヘーラクレースがアウゲイアースの家畜小屋を一日で掃除したときは、アルペイオス川とペーネイオス川の流れを変えて小屋に引き入れたとされる。
図像と象徴
本サイトの主画像は、シュラクサイのゲローン王時代のテトラドラクマ銀貨(前485年頃)である。表のイルカに囲まれた女性の頭部はアレトゥーサとされ、この泉がシュラクサイの象徴として貨幣に刻まれたことを示す。
アルペイオス自身は、硬貨や浮彫で横たわる河神の型で表される。オリュンピアのゼウス神殿の東破風では、両端に横たわる二体の像がアルペイオスとクラデオスの河神と解されてきた。
系譜と関係
多くの河神と同じく、オーケアノスとテーテュースの子とされる。子にオルシロコス、ペーゲウスなど。
文化的足跡
オリュンピアでは、競技祭に際してアルペイオスにも犠牲が捧げられた。コールリッジの詩『クーブラ・カーン』(1816年)に現れる「聖なる川アルフ」は、この川の名にもとづく。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。