テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
ネーレウス
PLATE — ΝΗΡΕΎΣ
HELLAS · ギリシア神話
ΝΗΡΕΎΣ

ネーレウス

ネレウス · 海の老人

Miguel Hermoso Cuesta CC BY-SA 4.0

ギリシア神話の古い海神で、ホメーロスは「海の老人」と呼ぶ。ポントスとガイアの子で、偽りを語らない予言の力と変身の力をもつ。ヘーラクレースに捕らえられ、姿を変えて逃れようとしたのちヘスペリデスの園への道を教えた。ネーレーイデス五十人の父。

01

解説

概要

ネーレウス(Νηρεύς / Nereus)は、ギリシア神話の海神である。ポントス(海)とガイア(大地)の子で、タウマース、ポルキュース、ケートー、エウリュビアーを兄弟姉妹とする。ポセイドーンより古い世代の海の神で、ホメーロスはこれを「海の老人」と呼ぶ。ヘーシオドスは、偽りを語らず、正しさを忘れない穏やかな神と讃える。

神話・物語

ネーレウスの力は、予言と変身の二つである。ヘーラクレースがヘスペリデスの園への道を知ろうとしたとき、海辺で眠るこの神を捕らえた。ネーレウスは水に、火に、獣にと次々に姿を変えて逃れようとしたが、離さない英雄の力に屈し、ついに道を教えた。真実を知る者を捕らえて縛り、変身に耐えて答えを引き出すという型は、プローテウスをめぐる『オデュッセイア』の挿話と共通する。ホメーロスはプローテウスも「海の老人」と呼ぶため、両者は古代からしばしば混同された。

娘たちの父としての役割も大きい。ドーリスとのあいだにもうけたネーレーイスたちのなかには、アムピトリーテー、テティス、ガラテイアらがいる。海の系譜がネーレウスを起点に張りめぐらされている。

図像と象徴

古代美術では長い髭をたくわえた老人の姿で表される。前6世紀の黒絵式陶器では、下半身を魚とする半人半魚の姿でヘーラクレースと組み合う場面が繰り返し描かれた。ただしこの図像はのちにトリートーンと表記されるようになり、ネーレウスは全身を人の姿で、格闘を傍らから見守る役に退く。

本項に掲げたのは、前2世紀のペルガモンの大祭壇の巨人戦争浮彫に現れるネーレウスである。台座の銘によって神々の名が確認できるため、同定の確かな数少ない作例にあたる。

系譜と関係

父ポントス、母ガイア。妻ドーリス。娘たちがネーレーイデス。『神統記』の系譜では、ティーターンとは別系統の、海ポントスから生じた神々の列に属する。

文化的足跡

ネーレウスの娘ネーレーイデスは、海獣にまたがって海を渡る行列として、ローマ時代の石棺装飾の主題となった。

02

領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。

フル系図ページを開く →
04

資料

Wikidata
Q189527 — 骨格データの出典
Commons
Nereus — 図像カテゴリ