破壊神
世界や秩序を壊す力を担う神格のファセット。ただし「破壊神」という名札は、しばしば善悪の対立を先に想定させてしまう。
ヒンドゥーのシヴァは、三神一体の図式でブラフマーの創造、ヴィシュヌの維持に対して破壊を割り当てられる。だがこの図式自体が後代の整理であり、シヴァ派にとってこの神は最高神であって、破壊は次の劫を始めるための働きである。舞う姿ナタラージャは、一方の手の太鼓で創造を、一方の手の炎で破壊を同時に示す。カーリーの名は「時」を意味し、時が必ずもたらすものとして死と破壊を体現する。ドゥルガーがデーヴィー・マーハートミヤで魔を討つように、破壊の力は悪の側にも善の側にも配分される。エジプトのセクメトはラーの目として人類を滅ぼしかけ、セトは兄を殺す簒奪者でありながら、夜ごと太陽の船を守る。その船が毎晩戦う大蛇アペプには、神殿も供物も神官団もない。崇拝されるためではなく滅ぼされるために制度化された、この役割の極北である。メソポタミアのティアマトは原初の海として神々を生み、そして討たれ、その体が世界の材料になった。ネルガルは疫病と戦をもたらす冥界の王である。アステカのテスカトリポカは創造と破壊を交互に行い、五つの太陽は世界がすでに四度滅ぼされたと語る。
図像は武器と屍と炎に集まる。踏みつける足、切り落とされた首、燃える環。ただしこれらが「悪」を表すとは限らない。カーリーが踏むのは夫シヴァであり、突き出した舌は羞じらいの表現とも解される。
注意がいる。破壊を悪と等号で結べるのは、善悪二元論を持つ体系だけである。ゾロアスター教のアンラ・マンユはまさにそれで、善の創造神と対等に対立する独立した悪の原理であり、ダエーワを率いて真理を損なう。だがヒンドゥーもエジプトも、その構図を持たない。シヴァを「悪の神」と紹介するのは、この枠で最も起きやすい誤りである。加えて、創造神が同時に破壊神であることは珍しくない。世界を作った者だけが、それを畳む権利を持つ。
この役割の神格
23柱を収載(知名度順)
ヒンドゥー神話
シヴァ
शिव — 創造神・主神
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ヒンドゥー神話
カーリー
काली — 軍神
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エジプト神話
セクメト
sḫmt — 太陽神
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エジプト神話
アペプ
ꜥꜣpp — 破壊神
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ペルシア神話
アンラ・マンユ
𐬀𐬢𐬭𐬀⸱𐬨𐬀𐬌𐬥𐬌𐬌𐬎 — 破壊神
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メソポタミア神話
ティアマト
𒀭𒋾𒊩𒆳 — 水神・海神
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メソポタミア神話
ネルガル
𒀭𒄊𒀕𒃲 — 軍神
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ヒンドゥー神話
ルドラ
रुद्र — 医薬・治癒の神
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CREATURE
北欧神話
スルト
Surtr — 火神
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ヒンドゥー神話
ナタラージャ
नटराज — 破壊神
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アステカ神話
テスカトリポカ
Tēzcatlīpohca — 創造神・主神
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アステカ神話
トラウィスカルパンテクートリ
Tlāhuizcalpantēuctli — 天空神
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ヒンドゥー神話
バイラヴィー
भैरवी — 破壊神
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ヒンドゥー神話
チンナマスター
छिन्नमस्ता — 破壊神
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ヒンドゥー神話
マーヘーシュヴァリー
माहेश्वरी — 破壊神
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ヒンドゥー神話
ヴィーラバドラ
वीरभद्र — 軍神
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ヒンドゥー神話
シャラバ
शरभ — 破壊神
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ペルシア神話
アエーシュマ
𐬀𐬉𐬴𐬨𐬀 — 破壊神
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ヒンドゥー神話
マハーカーリー
महाकाली — 死神・冥界神
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ヒンドゥー神話
バドラカーリー
भद्रकाली — 軍神