カーララートリー
カーララートリ · シュバンカリー · ラウドリー
ナヴァドゥルガーの第七。黒き夜を意味し、九柱で最も恐ろしい相とされる。それでいてシュバンカリー(吉をもたらす者)の別名を持つ。
解説
概要
カーララートリー(サンスクリット कालरात्रि、「黒き夜」「時の夜」)は、ヒンドゥー教の大女神マハーデーヴィーのナヴァドゥルガー九形態の第七である。『デーヴィー・マーハートミヤ』に初めて言及される、女神の恐ろしい相の一つにあたる。
カーリーとカーララートリーの名は互換的に用いられることが少なくないが、両者を別の神格とみる立場もある。
ナヴァラートリの九夜を通じて祀られ、とりわけ七日目がこの女神に捧げられる。九柱のうち最も恐ろしい相とされ、その姿そのものが畏れを呼ぶ。魔物、幽鬼、悪霊、負の力のすべてを滅ぼす者と信じられ、その到来を知った者たちは逃げ去るという。
神話・物語
最も早い言及の一つは『マハーバーラタ』にある。ソウプティカ・パルヴァ(眠れる者たちの巻)第十部の記述である。
パーンダヴァとカウラヴァの戦いののち、ドローナーチャーリヤの子アシュヴァッターマンは父の死の復讐を誓う。戦の作法に背いて夜陰に紛れ、パーンダヴァ方の陣営に忍び込み、ルドラの力を得て眠る者たちを襲い殺した。
その狂乱の襲撃のさなか、カーララートリーが現れる。原文はこう描く——身をそなえた黒き像、血の口と血の眼、緋の花輪を掛け、緋の膏を塗り、一枚の赤い布をまとい、手に縄を持ち、老いた女に似て、陰鬱な調べを唱えながら、彼らの目の前に立ちはだかった。
死そのものの擬人化として現れる場面である。
オリッサの古いタントラ文献『サウディカーガマ』——『シルパ・プラカーシャ』に引かれる——は、この女神を暦のうえで一日の夜の部分を司る女神と記す。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、2010年のコルカタ・カーリーガート、サンガシュリーのドゥルガー・プージャに祀られた像である。
黒い肌、乱れた髪、三つの眼。姿は恐ろしいが、シュバンカリー(शुभंकरी、「吉をもたらす者」)という別名を持つ。信者には常に善い結果をもたらすと信じられているためである。それゆえこの女神は、信者を畏れなき者にするとされる。ラウドリー、ドゥーモールナーといった、あまり知られない別名もある。
頂のチャクラ(サハスラーラ・チャクラ)に配され、シッディ(超自然の力)とニディ(富)——とりわけ知識、力、富——を信者にもたらすとされる。
恐ろしい姿と吉祥の名が同一の神格に共存するという点が、この形態の要である。畏れを与える者が、同時に畏れを取り除く者とされている。
関わる神格・伝承
カーリーおよびマハーカーリーと近い位置にあり、名の互換的な使用が古くから行われてきた。カーリーがヒンドゥー教の文献に独立した女神として現れるのは前300年頃の『マハーバーラタ』とされ、カーララートリーの初出も同じ叙事詩である。
前後にあたるのはカーティヤーヤニーとマハーガウリーである。九柱の配列において、最も恐ろしい相の直後に最も清らかな相が置かれている。
文化的足跡
ナヴァラートリの七日目は、この女神に捧げられる。恐れの克服が主題とされ、危難からの守護が祈られる。
日本語圏では、カーリーの名は広く知られる一方、カーララートリーという名と、それが九夜の祭の特定の一日に対応するという構造まで紹介されることは少ない。恐ろしさと吉祥が同じ神格に共存するという構図は、ヒンドゥー教の女神論を理解するうえで避けて通れない。