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セト
PLATE — STH̱
AEGYPTVS · エジプト神話
STH̱

セト

セト神 · ステシュ · スウテフ

Jeff Dahl (talk · contribs) CC BY-SA 4.0

古代エジプトの混沌・砂漠・嵐の神。兄オシリスを殺めた簒奪者にして甥ホルスと王位を争う敵役だが、夜ごと太陽神ラーの船を守る両義の神でもある。

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解説

概要

セト(stẖ / Seth、ステシュ・スウテフとも)は、古代エジプトの混沌と砂漠、嵐を司る神である。兄オシリスを殺めた簒奪者、甥ホルスと王位を争う敵役として知られるが、それだけの神ではない。砂漠と嵐、暴力と異国を体現し、秩序(マアト)に対する混沌(イスフェト)そのものでありながら、夜ごと太陽神ラーの船を守る守護者でもある——エジプトの神学は、この矛盾を解こうとせず、そのまま抱えこんだ。

神話・物語

セトの名を最も高からしめたのは、オシリス殺害の物語である。王位への嫉妬から、セトは兄を欺いて棺に閉じ込め、ナイルに流し、のちにその亡骸を寸断した。妹イシスは妹ネフティスの助けを得て遺体を集めて夫を蘇らせ、その間に世継ぎホルスをもうける。長じたホルスは、父の座を奪ったセトに王位を問い、両者は「ホルスとセトの争い」と呼ばれる長い係争へと入る。九柱の神々エネアドの合議と度重なる競い合いの末、王権はホルスの手に帰した。

だがセトには、まったく異なる顔がある。夜ごと冥界を渡る太陽神ラーの船の舳先に立ち、混沌の大蛇アペプ(アポピス)を槍で突き伏せて、日輪の再生を守るのである。混沌の神が、混沌から世界を守る——この両義性こそセトの本質であった。

図像と象徴

セトは、正体の知れぬ「セト獣」の頭をもつ人として表される。下に湾曲した長い鼻づら、四角く直立した耳、二叉に分かれた尾をもつこの合成獣は、飼い馴らしえぬ自然の暴威を思わせる。赤はセトの色とされ、砂漠の不毛や、ロバ・豚といった動物が結びつけられた。ホルスが肥沃な「黒い地」の主であるのに対し、セトは不毛の「赤い地」(砂漠)の主として、両者は対をなした。本サイトが掲げるのは、セト獣頭の神を現代の線画に写した図である。

系譜と関係

セトは大地の神ゲブと天空の女神ヌトの子であり、オシリスイシス・ネフティスと兄弟姉妹の関係にある。妹ネフティスを妻とした。その評価は時代とともに大きく揺れた。初期王朝〜古王国期には守護と武の神として重んじられ、上エジプトのオンボスを聖地とし、ヒクソスやラメセス朝の王たちはセトを厚く奉じた。だが異民族による支配が続いた後期以降、異国の神たるセトはしだいに悪魔視され、その名は碑文から削り取られることさえあった。

文化的足跡

ギリシア人はセトを、ゼウスに刃向かう怪物テューポーンと同一視した(プルタルコス)。この同定は、エジプト人が保ってきたセトの両義性を削ぎ落とし、彼を純然たる悪の権化へと塗り替えた。現代の映画やゲーム、アニメでも、セトは混沌と悪の神としてしばしば登場する。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
テューポーン ギリシア神話 同一視
interpretatio graeca。プルタルコス『イシスとオシリス』はセトをゼウスに敵対する怪物テューポーンと同一視した
アペプ エジプト神話 同一視
後期以降、異国の神として悪魔視されたセトがアペプと同一視された。本来セトはアペプを退治する側であり、評価の反転を伴う

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

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資料

Wikidata
Q131795 — 骨格データの出典
Commons
Seth — 図像カテゴリ