バイラヴィー
カーラ・バイラヴィー · トリプラ・バイラヴィー · バイラヴァの配偶神
十大明妃(マハーヴィディヤー)の第五の女神で、バイラヴァの配偶神。苦行の熱と、世界を焼き尽くす破壊の力に結びつく恐るべき相で、首の花環をかけた赤い肌の女神として表される。カシミールのシヴァ派では、絶対者バイラヴァの力とされる。
解説
概要
バイラヴィー(Bhairavī / भैरवी)は、マハーヴィディヤー(十大明妃)の第五に数えられる女神である。バイラヴァの配偶神であり、名もその女性形にあたる。恐るべき相に属し、苦行の熱(タパス)と、世界を焼き尽くす破壊の力に結びつけられる。
神話・物語
固有の説話は乏しく、カーリーやドゥルガーの憤怒相と重ねて語られることが多い。『デーヴィー・マーハートミヤ』において、女神が怒りに燃えて敵を討つ場面が、この相の典拠として引かれる。
タントラの教説では、修行によって高まる実践者の内なる熱として理解される。カーラ・バイラヴィー、トリプラ・バイラヴィー、サンパトプラダー・バイラヴィーなど、多くの別称と細分された相をもつ。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、1880年代のベンガルの石版画に描かれたバイラヴィーである。
赤い肌をもち、切り落とされた首を連ねた花環をかけ、血に染まった衣をまとうと説かれる。四臂に数珠と経典を執り、恩寵の印と無畏の印を示す形が広く行われる。
系譜と関係
バイラヴァの配偶神で、カーリーとほとんど区別しがたい憤怒の女神とされる。マハーヴィディヤーの体系では、恐るべき相の一柱として、チンナマスターやドゥーマーヴァティーと並べられる。
文化的足跡
シャクティ・ピータ(女神の聖地群)の多くに、その守護者バイラヴァとともに彼女の名が伝えられる。カシミールのシヴァ派においては、絶対的実在をバイラヴァと呼び、その力をバイラヴィーと呼ぶ。『ヴィジュニャーナ・バイラヴァ・タントラ』は、バイラヴァと彼女の対話という形式で112の観想法を説いた書である。
シャークタ派では、高位に達した女性の実践者を指す称号としても、この名が用いられてきた。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。