テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
PLATE — छिन्नमस्ता
BHARATA · ヒンドゥー神話
छिन्नमस्ता

チンナマスター

チンナマスティカー · 首を切られた者

マハーヴィディヤーの第六。自らの首を切り落とし、その手に持った頭が自らの血を飲むという強烈な図像で表される女神。

01

解説

概要

チンナマスター(Chinnamastā / छिन्नमस्ता)は、マハーヴィディヤー(十大明妃)の第六に数えられる女神である。名は「首を切られた者」を意味する。自らの首を切り落とし、その手に持った頭が自らの血を飲むという、インドの図像のなかでも際立って強烈な姿で表される。生と死、与えることと受けることが同時に成り立つさまを、一つの身体によって示す。

神話・物語

由来には複数の伝えがある。『プラーナ・サーラ』などが伝える説話では、女神が二人の従者を伴って河へ沐浴に赴いたとき、従者たちが空腹を訴えた。しばらく待つよう告げたものの、なお請われたため、女神は自らの首を切り落とし、噴き出す血を従者に与えて飢えを癒したという。母が自らの身をもって子を養うという主題が、極端な形で表されている。

別の伝えでは、パールヴァティーが沐浴中に情欲を抑えるために自らの首を落としたとする。抑制の力を示す説話であり、図像の解釈もこの線に沿って行われることが多い。

図像と象徴

自らの切られた首を左手に持ち、右手に剣を執る裸形の女神として表される。首の切り口から三筋の血が噴き出し、一筋は手に持った自らの口へ、残る二筋は左右に立つ従者ダーキニーとヴァルニニーの口へ注ぐ。足下には交わる一対の男女——カーマデーヴァとその妃ラティとされる——が横たわり、女神はその上に立つ。

この図像は、生命の力が自らを断つことによってかえって流れ出すという逆説を示すものと解される。欲望の上に立つという構図は、欲望を否定するのではなく、その力を自らのうちに引き受ける姿として説明されてきた。仏教のヴァジュラヨーギニー(チンナムンダー)にほぼ同一の図像があり、両者の関係は美術史における議論の対象である。

系譜と関係

シヴァの配偶神とされ、パールヴァティーやカーリーの一相として理解される。マハーヴィディヤーの体系では、バイラヴィードゥーマーヴァティーとともに恐るべき相に属する。従者ダーキニーとヴァルニニーは、体内の二つの気道(イダーとピンガラー)を表すとする解釈がタントラの側から加えられている。

文化的足跡

ジャールカンド州ラジラッパのチンナマスティカー寺院は、この女神の主要な聖地として知られる。単独の像は多くないが、11世紀以降の彫刻と細密画に作例が残る。

その図像の強烈さゆえに、近現代の美術と批評においてしばしば取り上げられてきた。自己犠牲の極致とみる読み、性の抑制とみる読み、生と死の同時性を示すとみる読みが並存し、いずれか一つに決めがたい。原典の側でも解釈が一様でないことが、この多義性の背景にある。

02

領分・別名

03

資料

Wikidata
Q617337 — 骨格データの出典
Commons
Chhinnamasta — 図像カテゴリ