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ネルガル
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SVMER · メソポタミア神話
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ネルガル

エッラ · メスラムタエア · ネーリガル

撮影者不詳(ハトラ出土のパルティア期浮彫, PD-Art) PUBLIC DOMAIN

メソポタミアの冥界と疫病、戦の神。クタのエ・メスラム神殿を本拠とし、「もたらされる死の神」と評される。エレシュキガルの夫として冥界を統べた。

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解説

概要

ネルガル(シュメール語 dGÌR.UNU.GAL)は、戦と死と疫病を司るメソポタミアの神である。名は「大いなる都市の主」と訳されるが、この「大いなる都市」は冥界を指す婉曲表現とみられる。寿命の尽きる死ではなく、病や戦によって断ち切られる死を司る神——「もたらされる死の神」と評される。

初期王朝期から新バビロニア期まで、メソポタミアのほぼ全期間を通じて崇められ、アケメネス朝支配下まで祭祀が続いた形跡がある。主要な祭祀地はバビロニア北部のクタで、その神殿はエ・メスラムと呼ばれた。新バビロニアの国家的な神々の序列では、マルドゥクナブーに次ぐ第三位に置かれている。

神話・物語

中心となる神話は二つある。ひとつは『ネルガルとエレシュキガル』で、冥界の女王との婚姻の由来を語る。天の神々の宴に出席できない女王が使者を送るが、ネルガルがその使者に礼を失したことから話が始まる。冥界へ召された彼は女神と交わり、いったんは天へ逃れるが、彼を渡さねば死者を放って生者を食わせると迫られて連れ戻され、冥界の王として傍らに坐ることになる。

もうひとつは『エッラ叙事詩』である。アッカドの神エッラは早くからネルガルと同一視され、文学のうえでは互換的に用いられた。この作品では、休息していたエッラが唆されてマルドゥクを玉座から離れさせ、その隙にバビロニアを荒廃させる。従者イシュムがようやくこれを鎮め、詩は破壊者への讃辞という形で閉じられる。前1千年紀初頭の混乱を背景に成立したとみられ、災厄除けの護符として家に掛けられた写本も見つかっている。

冥界を統べる権原についても伝えは割れる。両親エンリルニンリルに代わって統治するとする伝えと、エレシュキガルとの婚姻の結果とする伝えが並存する。南部ではもともとニンアズやエレシュキガルが冥界を担っていたため、ネルガルは当初この地域では戦の神としてのみ受け入れられ、メスラムタエア(メスラムより出でし者)の名で呼ばれたとする見方がある。

図像と象徴

標章は獅子頭を備えた棍棒である。二つの獅子頭を並べた棍棒、あるいは獅子頭と有角の頭を組み合わせた杖として、境界石(クドゥル)や円筒印章に刻まれた。人の姿では、短剣と棍棒を携え、片足を屈めて敵を踏まえる戦士として表される。獅子はこの神に属する獣である。

主画像に掲げたのは、ハトラ(現イラク北部)出土の浮彫で、パルティア支配下の1〜2世紀に彫られたものである。パルティア風の衣をまとって正面を向いて立ち、武器を手にし、足下に犬を伴う。メソポタミアの古い図像に、ヘレニズム世界のヘラクレス像と冥界の番犬ケルベロスの表象が重なった、後期の混成的な形である。古い時代の姿ではないが、確実にネルガルと同定できる大型の作例が乏しいため、ここでは主画像として掲げ、時代と性格を明記しておく。

天体としては火星と結びつけられ、その赤い色が血と疫病に重ねられた。真夏の焼けつく太陽をこの神に帰する記述もある。

系譜と関係

エンリルとニンリルの子とされる。妻はエレシュキガル。ただしこれは後代に定着した組み合わせで、古い伝えでは霜に関わるとみられる女神マンミトゥム、あるいは医薬の女神ラシュを妻とする。従者(スックル)はイシュム。

同一視の相手は多い。アッカドのエッラとは早期に習合した。エブラやウガリットで広く祀られた西セムの戦と疫病の神レシェフ、火星との結びつきを共有するエラムのシムトとも重ねられている。フルリの神々の一員としても受け入れられた。ただしこれらはいずれも職掌の重なりを介した同一視であり、起源を共有するという意味ではない。

文化的足跡

『列王記下』第17章は、バビロニアからサマリアへ移住させられた人々のうち、クタの出身者が「ネルガルを造った」と記す。クタがこの神の本拠であったことと符合する記述として引かれてきた。

アラム語圏では名がそのまま伝えられ、ハトラやパルミュラの碑文にも現れる。ヘレニズム期以降のギリシア人はしばしばこの神をヘラクレスと重ねたが、それは冥界を訪れた英雄という一点に着目した同一視であり、原典の職掌との重なりは限られる。現代の創作では、疫病と冥界を司る神という性格がおおむねそのまま用いられている。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

収載データなし
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資料

Wikidata
Q468912 — 骨格データの出典
Commons
Nergal — 図像カテゴリ