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クー・フーリン
PLATE — CÚ CHULAINN
CELTAE · ケルト神話
CÚ CHULAINN

クー・フーリン

クーフーリン · クー・フリン · ク・ホリン

J・C・レイエンデッカー(1911年) PUBLIC DOMAIN

アイルランドのアルスター物語群の英雄。ルーの子とされ、少年の身で単身アルスターを守った。リアストラドと呼ばれる戦の変容と、槍ゲイ・ボルグで知られる。

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解説

概要

クー・フーリン(Cú Chulainn)は、アルスター・サイクルの中心をなすアイルランドの英雄である。神ルーの子、あるいはルー自身の化身とされ、母はアルスター王コンホヴァル・マク・ネサの妹(あるいは娘)デヒテラである。

生まれた名はセタンタ。鍛冶屋クランの猛犬を素手で討ち、償いとして代わりの犬が育つまで自ら番犬を務めると申し出たことから、「クランの猟犬」を意味するこの名を得た。ただし古アイルランド語の cú は「猟犬」であると同時に戦士を指す比喩でもあり、「クランの戦士」とも読める。ダーヒ・オホーガンは、後半を戦車を意味する古語 cul に遡らせ「戦車の戦士」と解する可能性を示した。

神話・物語

誕生譚には複数の形がある。最も早い『クー・フーリンの誕生』では、デヒテラはコンホヴァルの娘にして御者であり、魔法の鳥の群れを追った一行が雪に降られてある家に宿を借りる。その家で子が生まれ、同じ夜に牝馬が双子の仔馬を産んだ。翌朝、一行はブルー・ナ・ボーニャの塚のうえにいて、家も主も消えていた。のちにルーが現れ、あの夜の主は自分であり、子を彼女の胎に入れたと告げる。後代の稿本ではデヒテラはコンホヴァルの妹であり、ルーの妻としてその家で子を産む。写字生たちが神の子という主題を扱いあぐねた跡が、この異伝の重なりに残っている。

養育は一人には託されなかった。賢者モランの裁定により、王コンホヴァル、判官センハ、富者ブラーイ、戦士フェルグス・マク・ロイヒ、詩人アヴェルギンとその妻フィンホーヴが分担する。彼はアヴェルギンの家でコナル・ケルナハとともに育った。

少年時代の逸話は『クアルンゲの牛捕り』に回想として挿まれる。ドルイドカフバズが「今日武器を執る者は永遠の名声を得る」と語るのを立ち聞きした彼は、七歳で王に武具を求めた。カフバズが嘆いたのは、予言に続きがあったからである——その者の生は短い。名声と早世を引き換える選択が、この英雄の全体を決めている。

武芸はスコットランドの女戦士スカアハに学んだ。彼女から槍ゲイ・ボルグを授かる。婚約者エウェルの父フォルガルが、彼を死なせるつもりで送り出した修行であった。

十七歳のとき、コナハトの女王メイヴがアルスターへ攻め入る。マッハの呪いによりアルスターの男たちが産婦のごとき衰弱に伏すなか、彼だけが呪いを免れていた。彼は浅瀬の一騎討ちという古い作法を持ち出し、敵の大軍を一人ずつに分解して数か月を稼ぐ。義兄弟フェル・ジアドとの三日にわたる決闘は、この物語の頂点である。

戦の場で彼はリアストラド(ríastrad、「変容」)と呼ばれる状態に陥る。体は捻れ、片眼は落ちくぼみ他方は突き出し、頭から血の柱が立ち上る。この姿の彼は敵味方を見分けない。少年のころ初陣から戻った彼を冷ますため、女たちが胸をあらわにして目を逸らさせ、男たちが三つの水槽に順に沈めた——最初の槽は破裂し、次の槽は沸き立ち、三つ目でようやく湯加減になったという。

死もまた、破られた禁忌の積み重ねによる。犬の肉を食べぬこと、供された食を断らぬこと。この二つのゲッシュを同時に突きつけられた彼は、どちらを選んでも破ることになる。最期には、立ったまま死ぬために自らを石柱に縛りつけ、鴉が肩に降りるまで敵は近づかなかったと伝えられる。

図像と象徴

古代の図像はない。視覚像はすべてケルト復興以降のものである。本サイトが掲げるのは、J・C・レイエンデッカーがロールストン『ケルト民族の神話と伝説』(1911年)に寄せた挿絵で、戦車を駆る英雄の頭上に戦の鴉が舞う場面を描く。

近代アイルランドにおいて決定的だったのは、オリヴァー・シェパードのブロンズ《クー・フーリンの死》(1911年)である。石柱に縛られてうなだれ、肩に鴉を止まらせた裸体像で、1935年にダブリンの中央郵便局に据えられ、1916年のイースター蜂起の記念碑となった。単身で国を守り倒れる英雄という読みが、20世紀のアイルランド・ナショナリズムに取り込まれた瞬間である。同じ像は北アイルランドのユニオニスト側の壁画にも用いられており、一つの図像が対立する双方に引き受けられた稀な例といえる。

持物の中心は槍ゲイ・ボルグである。水中で足指を使って放ち、体内で無数の棘に分かれて抜けないとされる。戦車は御者ラエグが駆り、二頭の馬リアフ・ワハ(マッハの灰色)とドゥヴ・シャングレンが牽く。灰色の馬は彼の死を予見して涙の血を流し、最後まで主を守って戦ったという。

系譜と関係

父はルー、母はデヒテラ、人間の側の父はスアルタム・マク・ロイヒ。妻はエウェル。スカアハのもとで契ったアイフェとのあいだに子コンラがあり、名乗りを禁じるゲッシュゆえに、その子と知らぬまま彼を討った。育ての兄弟にコナル・ケルナハ、義兄弟にフェル・ジアドがいる。

女神モリガンとは対立の関係にある。愛を申し出て拒まれた彼女は鰻・狼・牝牛に姿を変えて一騎討ちを妨げ、傷を負い、のちに老女の姿で乳を差し出して英雄の祝福によって癒える。死の場面では、血染めの武具を浅瀬で洗う老婆として現れる。異界の女ファンドとの恋は『クー・フーリンの病臥』に語られ、マナナン・マクリルの霧の外套によって断たれた。

文化的足跡

レディ・グレゴリー『ムルヘヴネのクーフリン』(1902年)は、原典を平易な英語に移し替えて広く読者を得た。ただし物語を美化し、暴力の描写の多くを省いた再話でもある。W・B・イェイツはこの英雄を主題に五篇の戯曲を書き、老いた英雄が我が子を討つ悲劇を繰り返し扱った。

ラウス州ダンドークは「われ勇敢なクー・フーリンを生めり」を市の標語とする。現代の幻想文学やゲーム作品には、槍を持つ赤髪の若き戦士としてきわめて頻繁に登場する。原典の彼は、名声と引き換えに短い生を選んだ少年である。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q211955 — 骨格データの出典
Commons
Cúchulainn — 図像カテゴリ