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モリガン
PLATE — MORRÍGAN
CELTAE · ケルト神話
MORRÍGAN

モリガン

モリーガン · モルリガン · Mórrígan

Joseph Christian Leyendecker PUBLIC DOMAIN

アイルランドの戦いと運命の女神。鴉の姿で戦場に現れ、死を予告する。バズヴ、マッハと並ぶ三柱一組の女神として語られることが多い。

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解説

概要

モリガン(The Morrígan、古アイルランド語 Morrígan / Mórrígan)は、アイルランド神話の女神である。戦いと運命、とりわけ死と勝敗の予告を領分とし、しばしば鴉の姿をとる。戦士を戦へ駆り立て、敵に恐怖を植えつけ、死ぬ定めの者の血に染まった衣を浅瀬で洗う姿で現れる。

名の解釈は分かれる。有力なのは、mor を「恐怖・怪異」を表す印欧祖語の語根(英語 nightmare の後半、スラヴ語の mara と同源)とし、rígan を「女王」として、ケルト祖語 *Moro-rīganī-s「幻影の女王」と読むものである。中期アイルランド語の写本には長音符を付した Mórrígan の綴りが多く、これは「偉大な女王」(mór)と読ませる意図とみられるが、ウィットリー・ストークスは当時流行した民間語源によるものと考えた。アーサー王物語のモルガン・ル・フェイと結びつける試みもあるが、両者は別の言語系統に属する名である。

神話・物語

最も古い記録は、ラテン語写本に付された注釈である。8世紀の『オマルコンリの語彙集』はマッハを三柱のモリグナの一人とし、9世紀の『イザヤ書』写本は、ヘブライ語のリリトを訳した Lamia に「女の姿の怪、すなわちモリガン」と註する。

物語のなかで一個の存在として現れるのは、アルスター・サイクルにおいてである。相手はクー・フーリン。『レガマンの牛捕り』では、彼の領地から牝牛を追い立てる女として姿を見せる。正体に気づかず侮辱した英雄の前で、彼女は黒い鳥となって枝に止まり、来たるべき戦いで彼が死ぬことを告げる——わたしはお前の死を見張っている、これからもそうだ、と。

クアルンゲの牛捕り』では、若い女の姿でクー・フーリンに愛と助力を申し出て、拒まれる。腹を立てた彼女は次の一騎討ちに介入する。鰻となって足をすくい、狼となって牛の群れを浅瀬に走らせ、白い牝牛となってその群れを率いる。英雄はそのつど彼女を傷つけ、なお相手に勝つ。のちに彼女は、同じ三つの傷を負った老女となって牛の乳を搾りながら現れ、三度の乳を差し出す。クー・フーリンは受け取るたびに祝福を与え、その祝福で傷は癒える。お前はわたしを癒すことは決してないと言った、と彼女が言えば、お前と知っていたら癒しはしなかった、と英雄が答える。彼の死の場面では、血に濡れた武具を浅瀬で洗う老婆として現れる。

マグ・トゥレドの戦い』では、サウィンの夜、ウニウス川を跨いで身を洗うところへダグザが訪れ、二人は交わる。彼女はアイルランドの魔術師を呼び集めることと、フォモール族の王インデフから「その心臓の血と勇の腎」を奪うことを約束する。開戦にあたってルーが一人ひとりに何の力をもたらすかを問うと、彼女は追い、砕き、鎮めると答えた。戦場で彼女が詩を唱えると軍列は崩れ、フォモールは海へ追われる。戦いののち、彼女はもう一篇の詩を唱えた。勝利を讃え、そして世界の終わりを予言する詩である。

図像と象徴

古代の図像はない。視覚像はケルト復興以降のもので、鴉としての相が選ばれることが多い。J・C・レイエンデッカーがロールストン『ケルト民族の神話と伝説』(1911年)に寄せた挿絵では、戦車を駆るクー・フーリンの頭上に戦の鴉が舞う。

伝承上の標識は三つある。鴉、洗濯、そして詩である。バズヴ(badb)は「鴉」を意味する普通名詞であると同時に女神の名でもあり、戦場を旋回するその姿を見た者は自らの死を知る。浅瀬で血染めの衣を洗う女は、その衣の持ち主の死を告げる。そして詩——彼女の力は武器ではなく、唱えることによって発揮される。

三という数も標識である。エルンマスの娘としてバズヴ、マッハ、モリガンの三姉妹が挙げられ、別の伝えではバズヴ、マッハ、アナンドの三柱が「モリグナ」と総称される。ネヴァンやフェアが加わることもある。組み合わせは一定せず、単独で現れることも、バズヴと名を交換することもある。

系譜と関係

アイルランド来寇の書』は彼女をトゥアハ・デ・ダナーンの一員、エルンマスの娘、ヌアザの孫とする。エルンマスにはもう三人の娘がいた。エリウバンバフォドラ——いずれも「アイルランド」の別名であり、最後の三人の王と結ばれた主権の女神とみられる。17世紀のジェフリー・キーティングは、エリウ、バンバフォドラがそれぞれバズヴ、マッハ、モリガンを崇めたと記す。

夫はダグザ。ただし「妬み深い妻」と呼ばれる。バズヴとネヴァンはネトの妻とされる。

後世のバンシーとの連続はしばしば指摘される。パトリシア・ライサットは、アイルランドの一部の地域では、この死の予告者がバンシーのほかにバズヴとも呼ばれると報告している。

文化的足跡

「戦の女神」という理解は、W・M・ヘネシー『古代アイルランドの戦の女神』(1870年)が定めたものである。しかしマーレ・ハーバートは、戦そのものが本来の相ではないと論じる。彼女の働きは土地とその家畜、その社会を見守る守護的なものであり、変身は生きとし生けるものとの親和の表現だという。プロインシャス・マカナも、アイルランドの女神の関心は第一に土地の繁栄——豊穣、家畜、そして外敵からの安全——にあると述べる。戦は守護の一面であって目的ではない。この読みに立てば、モリガンは主権の女神として王に力を与える存在ということになる。

土地との結びつきは地名にも残る。ティペラリー州には「モリガンの調理坑」と呼ばれる焼け石遺構があり、ミーズ州のブルー・ナ・ボーニャ近くには「モリガンの二つの乳房」と呼ばれる一対の丘がある。ケリー州の「アヌの乳房」と同じ型の名づけである。

アーサー王物語のモルガンとの関係は名の類似から繰り返し論じられてきたが、ロザリンド・クラークら研究者は両者を別系統の形象とみる。現代の幻想文学やゲーム作品では、鴉と戦を伴う女神としてしばしば登場する。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

エルンワス
MACHA
マッハ
兄弟姉妹
MORRÍGAN
モリガン
ケルト神話
エルンワス
MORRÍGAN
モリガン
ケルト神話
収載データなし
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資料

Wikidata
Q828550 — 骨格データの出典
Commons
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