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HUNT

狩猟神

狩猟を司る神々のファセット。農耕以前の生業に根ざす層であり、多くの体系で最も古い神格の一群に属する。だが狩猟神は「獲物を与える神」であると同時に、たいてい「獣を守る神」でもある。人が獣を殺す場面を司る神が、その獣の主でもある。この二重性がこのファセットの核心にある。

LECTIO — 解説

ギリシアのアルテミスは山野を駆けて矢を放つが、同時にポトニア・テローン——獣の女主人——であり、聖鹿を射たアガメムノーンには娘の命を要求した。狩ることを許す神が、狩りすぎを罰する。供物を怠ったカリュドーン王オイネウス巨大な猪を送りつけ、ギリシア中の英雄を狩り立てに向かわせたのもこの女神である。ローマのディアーナは同じ構図を引き継ぎながら、ネミの森という固有の聖域を持つ。北欧のウッルは弓と滑走の神で、雪原の狩人の姿をとる。スカジは山と弓とスキーの女神であり、巨人族の出である。アステカのミシュコアトルは狩猟と天の川を司り、火起こしの棒と狩りの矢を併せ持つ。ケルトのケルヌンノスは角を戴いて獣に囲まれて坐すが、これは狩人というより獣の主の型である。ケルトで碑文や図像から狩りとの関わりが確かめられる女神は数えるほどで、黒い森のアブノバ、アルデンヌのアルデュイナ、熊の名をそのまま負うアルティオが挙がる。いずれも特定の森や山塊と名を共有し、獲物を授ける神というより、その土地と獣の主として現れる。日本の山の神は、狩猟民(マタギ)の信仰では獲物を授ける主であり、獲物の一部を必ず山へ返す作法を伴った。

図像の共通点は、弓と矢、そして獣である。鹿が最も広く現れる。短い衣、あるいは獣皮。走る・跨ぐ・射るという動作が造形に選ばれるのは、他のファセットに乏しい特徴である。多くの神が坐すか直立するのに対し、狩猟神は動いている。差異も大きく、ケルヌンノスのように坐して獣を従える型、ウッルのように移動の技を伴う型、山の神のようにそもそも姿を持たない型がある。

注意すべきは、狩猟神を「原始的で古い層」と一括りにしないことである。アルテミスの狩猟の相は青銅器時代に遡るが、月の相は古典期以降の重ね合わせであり、同じ神格の中でも層が違う。また「獣の主」と「狩猟神」は重なるが同一ではない。前者は獣を配下に置く神、後者は人の生業を助ける神であって、視点が逆である。両者が一柱に同居する例が多いことは比較の出発点にはなるが、起源の共有を意味しない。

この役割の神格

20柱を収載(知名度順)