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ウル
PLATE — ULLR
NORÐR · 北欧神話
ULLR

ウル

ウッル · ウルル · ウッレル

Jakob Sigurðsson(1765〜66年) PUBLIC DOMAIN

北欧神話の弓とスキーの神。文献の記述は乏しいが、スウェーデンとノルウェーの地名に多く名を残し、先史時代には主要な神であったと考えられている。

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解説

概要

ウル(Ullr)は、北欧神話の神である。雪、弓、狩りを領分とし、スキーを履いた姿で語られる。文献に残る記述はきわめて乏しいにもかかわらず、スウェーデンとノルウェーの古い地名に名を留めることから、先史時代のスカンディナヴィアでは主要な神であったと考えられている。

名はゲルマン祖語 wulþuz(栄光)に遡り、ゴート語 wulþus(栄光、富)と同源である。さらに遡れば印欧祖語 wul-tus(見ること、姿)、語根 *wel-(見る)に至り、ラテン語の vultus(表情、面貌)と正確に対応する。ケルト語では古アイルランド語 filed(予見者、詩人)、中期ウェールズ語 gwelet(見る)が同じ語根から出ている。「見ること」から「栄光」への意味の移動は、ゲルマン語のなかで起きた変化である。

神話・物語

物語はほとんど伝わらない。スノッリは『詩語法』で、この神をスキーの神・弓の神・狩りの神・楯の神と呼びうると記すが、神話は一つも語っていない。おそらく彼自身が知らなかったのだろう。

古エッダ』の『グリームニルの言葉』は、神々の住処を数え上げるなかでウルの館をユーダリル(「イチイの谷」)とする。イチイは弓の材であり、古ノルド語の ýr(イチイ)はしばしば弓そのものを指す。館の名と弓の神という性格が結びついていることになる。同じ詩の別の節は、この神が何らかの儀礼に関わっていたことを示唆するが、意味は判然としない。

『アトリの歌』には、指輪にかけて誓いを立てる場面で彼の名が現れる。『グリームニルの言葉』とともに古エッダのなかでも古い層に属する詩であり、ウルに言及するのがこの二篇だけであることは偶然ではないかもしれない。誓いの神としての相を伝える数少ない記述である。

サクソ・グラマティクスの『デンマーク人の事績』は、神々を人間として語り直すなかで彼をオッレルス(Ollerus)と呼ぶ。魔術を使い、呪をかけた骨に乗って海を渡る魔法使いとして描かれる。オーディンが追放されたあいだ、彼が代わりにオーディンの名で十年間統治し、真のオーディンが呼び戻されると退いた。文献の乏しいこの神が、一時的にせよ主神の座に置かれている点は注目に値する。

図像と象徴

異教期の造形は知られていない。3世紀のソルスベアの帯先金具に刻まれたルーン銘 owlþu-þewaz は、「オウルスズの従者」と読めば神名の最古の記録ということになるが、「輝かしい従者を持つ者」という形容詞と解する読みもあり、決着していない。

本サイトが掲げるのは、18世紀アイスランドの写本 SÁM 66(1765〜66年)にヤコブ・シグルズソンが描いた図である。前近代の作例としてはこれが最もまとまっており、ほかに17世紀の写本 AM 738 4to にも図がある。近代の視覚像としては、ヴィルヘルム・ヴェーグナー『北方ゲルマンの神々と英雄』(1882年)にフリードリヒ・ヴィルヘルム・ハイネが寄せた版画がよく知られる。凍った湖の上で弓に身をもたせかける姿である。

象徴として特異なのは、楯である。スカルド詩は楯を「ウルの舟」と呼ぶ。このケニングの由来は不明だが、初期のスキーあるいは橇が楯に似ていたためではないかという推測がある。アイスランドの後期の注釈書『ラウヴァース・エッダ』は、単にウルの舟の名が「楯」だったのだと散文的に説明する。逆に「剣のウル」「楯のウル」「弓弦のウル」は、いずれも戦士を指すケニングである。

系譜と関係

『ギュルヴィたぶらかし』第31章は、彼をシヴの子とし、したがってトールの継子とする。実の父の名は伝わらない。スカルド詩『ハウストロング』『トールの歌』およびエイステイン・ヴァルダソンの断片も、トールをウルの継父と呼んでおり、スノッリの記述を裏づける。

スカジとの結びつきを説く議論がある。両者ともスキーに関わり、その名を含む地名がスウェーデンに集中するためである。ただし直接の関係を語る文献はない。

ノルウェーの地名には Ullinn という異形が現れる。オーズ/オーディンの対と同じ関係とみて、ヤン・デ・フリースは、激情の神オーズ=オーディンに対して栄光と威厳の神ウル=ウリンが対置されていたと論じ、ヴェーダのヴァルナとミトラの対比を引き合いに出した。ウリンという女神が存在し、フレイとフレイヤのような男女一対をなしていたのではないかとする説もあるが、いずれも地名からの推定である。

文化的足跡

この神の名を含む地名は、ノルウェーとスウェーデンに多く、デンマークとアイスランドにはない。オスロのウッレヴォール(「ウルの丘」)はその一例である。しかもそれらは、スウェーデンではニョルズ、ノルウェーではフレイの名を含む地名の近くに現れることが多い。文献の分量と信仰の広がりが一致しないことを示す典型例であり、地名研究が神話研究を補正した好例として引かれる。

現代では、スキーの守護神として北欧やアルプス地方、北米のスキーリゾートで名が用いられる。20世紀初頭のドイツには「スキーヤーの守護聖人ウル」の鉛メダルが作られた。文献にほとんど物語を残さなかった神が、スキーという一点で近代に蘇った形である。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

シヴ
ULLR
ウル
北欧神話
シヴ
ULLR
ウル
北欧神話
収載データなし
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資料

Wikidata
Q213479 — 骨格データの出典
Commons
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