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BALTIC

バルト神話

バルト海東岸(リトアニア・ラトビア・旧プロイセン) · 鉄器時代〜14〜15世紀のキリスト教化。民謡と近世の記録により伝承

バルト諸族——リトアニア人、ラトビア人、そして13世紀以降に滅ぼされた古プロイセン人——が奉じた神話の体系。

LECTIO — 解説

遅いキリスト教化

リトアニア大公国がキリスト教を受け入れたのは1387年、西部のジェマイティヤではさらに遅く1413年のことで、ヨーロッパで最も遅い。ラトビアは13世紀に十字軍に征服されてキリスト教化されたが、農村部ではなお長く在来の祭祀が続いた。

それでも、中世の記録は断片的で、その多くはキリスト教徒の年代記作者や宣教者が外から書き留めたものである。神々の名と属性を最も豊かに伝えるのは、むしろ19世紀以降に採集された膨大な民謡(リトアニアのダイノス、ラトビアのダイナス)である。

印欧語族の古層

バルト諸語は、印欧語族のなかでも古い特徴をよく保つ言語群とされる。神名もまた同様である。

天父ディエヴァス(ラトビア語ディエヴス)は、印欧祖語の *Dyēus の直系であり、ギリシアのゼウス、ローマのユーピテル、ヴェーダのディヤウスと同じ語である。

雷神ペルクナス(ラトビア語ペルコンス)は、スラヴのペルーン、ヴェーダのパルジャニヤ、北欧のフィヨルギュンと同語源とされることが多い。ただし音の対応には異論もある。

大地の女神ジェミナの名は、大地を指す印欧祖語 *dʰéǵʰōm に遡る。スラヴ語のゼムリャ(大地)と同じ語根で、トラキア起源とされるギリシアのセメレーの名とも結びつけられている。

言語の保守性が、神話の保守性でもある。 比較神話学において、バルトの資料は印欧語族の宗教を再構成する際の基準の一つとされてきた。

天と地の対

ペルクナス、あるいはディエヴァスの顕現プラアムジュスとジェミナは、天と大地の対をなす。雷が大地を打ち、雨が降って作物が実る。この対が、バルトの農耕儀礼の中心にあった。

運命と森

ライマは出産・婚姻・死を司る運命の女神であり、ラトビアではカールタ、デークラと三女神をなす。ラウマは森の精にして孤児の守護霊であり、機織りと紡ぎに長け、虹はその落とした帯とされた。

近代の再構成への注意

19世紀以降、ロマン主義的な民族運動のなかで、バルトの神々の体系が整えられた。今日「バルト神話」として語られる内容には、近世・近代の再構成が含まれる。中世の記録に確認できる神名は限られており、民謡の解釈には幅がある。

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この体系の神格・幻獣

18柱を収載(知名度順)