メーヌオ
メーヌオ · メーネス · メーヌリス
バルト諸族の月の神格。名は「測る」を意味する印欧祖語の語根に遡り、月の満ち欠けが暦の基準であることに由来する。太陽サウレの夫だが明けの明星に心を移し、ペルクナスに斬られて以来月は欠けるようになった。
解説
概要
メーヌオは、リトアニアをはじめとするバルトの諸民族の月の神である。ラトビアではメーネス、古プロイセンではメニグと呼ばれ、いずれも月を指す普通の語そのものである。太陽の女神サウレの夫とされ、その婚姻の破局が月の満ち欠けの由来として語られる。
なお本サイトの分類では、バルト神話の体系に含めて扱う。
時を測るもの
月を指すバルト語の語は、英語の moon やドイツ語の Mond、ロシア語の mesyats とよく似ている。いずれも「測る」を意味する印欧祖語の語根に遡ると考えられ、英語の measure やドイツ語の messen と同じ源を持つ。月の満ち欠けが暦の基準であったことから、「測るもの」がそのまま月の名になった。英語で月(moon)と一か月(month)が同じ語源であるのも、同じ理由による。
太陽の夫
リトアニアの民謡で広く知られる伝えでは、メーヌオはサウレの夫であったが、明けの明星アウシュリネーに心を移した。これに怒った雷神ペルクナスが剣で月を斬り、以来、月は欠けるようになったという。夫婦は別れ、一方は昼に、他方は夜に空へ上るようになった。月の満ち欠けと、太陽と月がめったに同じ空に並ばないことが、ひとつの婚姻の物語として説明されている。
ラトビアの民謡では、メーネスは星をちりばめた衣をまとう戦士としても歌われ、出征する兵士を守るとされた。天体たちの婚礼の歌では、サウレの娘への求婚者としてもしばしば登場する。
男の月、女の太陽
バルト諸語では月が男性名詞、太陽が女性名詞であり、神々の性もそれに従う。北欧でも月のマーニが男、太陽のソールが女で、同じ配分をとる。これに対しギリシアやローマでは月のセレーネーやルーナが女神、太陽が男神であり、配分が逆になっている。天体の性の割り当ては、印欧語族のなかでも語派によって分かれている。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。三日月の文様が、ラトビアの織物や装身具に用いられている。
関わる神格・伝承
サウレの夫。アウシュリネーに心を移し、ペルクナスに罰せられた。
文化的足跡
月を指すこれらの語は、今日もラトビア語とリトアニア語の日常語である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。