ユミス
ユミス · Jumis
ラトビアの豊穣の神で、名は「双子」を意味する。一本の茎から二つ出た穂をユミスと呼び、吉兆とした。収穫の終わりに最後の束を結んで「ユミスを捕らえる」儀礼が行われた。名はヴェーダのヤマ、北欧のユミルと同語源である。
解説
概要
ユミスは、バルトのラトビアの神話における実りと豊かさの神である。名は「双子」「対になったもの」を意味し、一本の茎から二つの穂が出た麦のように、対になって生じたものに宿る力として理解された。
信仰
一本の茎から二つの穂が伸びたもの、あるいは二つの実がくっついて育ったものを、ラトビアでは「ユミス」と呼んだ。畑でこれを見つけるのは幸運のしるしとされた。一つのところに二つが生じることが、増えること、実ることの徴とみなされたのである。
収穫の終わりには、ユミスを畑に留めるための儀礼が行われた。刈り進むにつれてユミスは畑の端へ追われ、最後に残った一束に隠れると考えられた。人々はその最後の束を刈らずに残し、穂を束ねて結んで地に押さえつける。これを「ユミスを捕らえる」と言い、実りの力を土地に留めて翌年の収穫を確かなものにしようとした。
最後の一束をめぐる儀礼はヨーロッパの農村に広く見られ、フレイザーは『金枝篇』でこれを「穀物の精」の信仰として体系的に論じた。ただしフレイザーの解釈は、今日では各地の習俗を一つの型にまとめすぎているとして批判されている。
「ユミス」は、「双子」を意味する印欧祖語の *yemo- に遡るとされる。同じ語根からは、ヴェーダのヤマや北欧のユミルの名も生まれた。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。上で二つに分かれる交差した線の文様が「ユミスの徴」として、ラトビアの意匠に用いられている。
文化的足跡
ユミスの文様は、今日もラトビアの織物と装飾に用いられている。