メデイナ
メデイナ · メデイネー · ジュヴォルーナ
リトアニアの森と木と獣の女神で、聖獣は野兎。狩人の守護神ではなく、逆に狩りを妨げ森に害をなす者を罰する。人の側でなく森の側に立つ神である。1252年の条を含む13世紀の年代記に、ミンダウガス王が祀った神として名が残る。
解説
概要
メデイナ(メデイネーとも)は、リトアニアの神話で森と木々、獣たちを治める女神である。名はリトアニア語の「木」あるいは「森」に由来する。聖なる獣は野兎である。狩りの女神でありながら狩人の味方ではなく、狩りを妨げ、森を害する者を罰する、森の側に立つ女神である。
なお本サイトの分類では、バルト神話の体系に含めて扱う。
狩人の味方ではない女神
メデイナは猟師の前に姿を現して、獲物を逃がしてしまう。森に害をなす者を罰し、結婚せず子も持たない。ギリシアのアルテミスも未婚の狩りの女神だが、アルテミスが狩人を助けるのに対し、メデイナはその逆である。人の側ではなく、森の側に立つ女神なのである。グレマスは、若く美しい未婚の狩人の娘、あるいは狼を従える「狼娘」(ヴィルクメルゲー)として思い描かれたとする。
最古の記録
メデイナの名は、リトアニアの神々についての最も古い記録の一つに現れる。13世紀のガーリチ・ヴォルィーニ年代記(15世紀初めのヒュパーティー写本などに伝わる)は1252年の条で、ミンダウガス王が洗礼を受けたのちもひそかに異教の神々に供物を捧げ続けたと非難し、ナナディエヴィス、テリャヴェリス、ディヴィリクス、「兎の神」とともに、メイデイナ(メデイナ)の名を挙げている。ただし、この「兎の神」がメデイナを指すのか、別の神なのかについては議論がある。
メデイナと同じ女神とされることの多いジュヴォルーナ(「獣」に由来する名)は、6世紀のビザンツの年代記作者ヨハネス・マララスの年代記がスラヴ語に訳された際、1261年に書き加えられた部分に、リトアニアの神々の一柱として現れる。メデイナとジュヴォルーナが同じ女神なのかについても議論がある。のちには15世紀のヤン・ドゥウゴシュがローマのディアーナになぞらえ、ヤン・ワシツキ(モデイナの形で)やブィホヴィエツ年代記も名を記している。ラトビアの「森の母」メジャ・マーテも、よく似た性格を持つ。
森の国
中世のリトアニアは深い森に覆われており、森は十字軍に対する天然の防壁でもあった。特定の森は聖域とされ、木を伐ることが禁じられた。聖なる森や丘はアルカスと呼ばれ、その名は今も地名に残っている。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
関わる神格・伝承
ジュヴォルーナと同一視され、ラトビアのメジャ・マーテに対応する。
文化的足跡
メデイナは、リトアニアで自然保護の文脈からしばしば言及される。