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ラードーン
PLATE — ΛΆΔΩΝ
HELLAS · ギリシア神話
ΛΆΔΩΝ

ラードーン

ラドン · ラドーン

Bibi Saint-Pol PUBLIC DOMAIN

ヘスペリデスの園で黄金の林檎を守った竜。百の頭をもち眠らないとされ、ヘーラクレースの功業で射殺された。天に上げられて竜座になったとも伝えられる。

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解説

概要

ラードーン(Λάδων / Ladon)は、世界の西の涯にあるヘスペリデスの園で、黄金の林檎の木に巻きついてこれを守った竜である。アポロドーロスは百の頭をもち、それぞれが違う声で語ったと記す。頭が多いために眠ることがなく、番人として理想的であった。

木に蛇が巻きつくという図柄は、ギリシア独自のものではない。近東やミノア文明の美術に先例があり、それがギリシアに取り込まれたものと見られている。

登場する物語

ヘーラクレースの十二功業の第十一が、この林檎を持ち帰ることであった。ヘーラクレースは弓矢でラードーンを射殺し、実を奪う。翌日、コルキスから帰るアルゴナウタイの一行がこの地を通りかかり、ヘスペリデスの一人アイグレーの嘆きを聞いて、まだ痙攣している竜の骸を目にした。アポロニオス『アルゴナウティカ』は、二つの物語をこう繋いでいる。

一方、竜が殺されない筋書きもある。ヘーラクレースは自ら園に入らず、アトラースに林檎を採ってこさせ、その間だけ天を支える役を代わった。この形ではラードーンは登場すらしない。功業の達成の仕方そのものが、伝承によって入れ替わっている。

ディオドロスは例によって合理的な説明を試みる。ラードーンとは黄金の毛をもつ羊の群れを守っていた人間の羊飼いの名だ、というのである。ただし彼自身、こうしたことは各人が自分の信じるところに従って考えればよい、と付け加えている。

図像と象徴

木に巻きつく蛇という図柄は、ギリシアの壺絵に繰り返し現れる。前5世紀末のメイディアスの画家による赤絵ヒュドリア(大英博物館)は、ヘスペリデスたちが林檎の木を囲み、蛇が幹を這う場面を描く。ここでの竜は百の頭をもたず、一匹の大蛇として表される。文学が数を誇るのに対し、図像はやはり簡素である。

パウサニアスは、オリュンピアの宝物庫で杉材の古い奉献像を見たと記す。ヘーラクレースと、ヘスペリデスの林檎の木と、それに巻きつく蛇を組んだものであった。この主題が古典期以前から祭祀の場にあったことを伝える証言である。

ローマ期にはさらに身近な器物へ降りてくる。ミュンヘン国立古代美術館所蔵のテラコッタ・ランプの浮彫は、林檎の木に巻きつくラードーンと向かい合うヘーラクレースを、小さな円のなかに収めている。神殿の奉献像から日用品の装飾まで、同じ図柄が幅広く用いられた。

天に上げられた姿もある。ヒュギーヌスに帰される『天文譜』は、ラードーンが竜座(ドラコー)として星のあいだに置かれたと記す。北天で天の極を巻くように連なる星列が、この不寝番の竜と結びつけられた。

関わる伝承

系譜は割れる。神統記ポルキュースケートーの末子とする。アポロニオスの古註が引くヘーシオドスの別の一節ではテューポーンの子とされ、同じ古註が伝えるペイサンドロスでは大地から生まれたという。アポロドーロス、ヒュギーヌス、ペレキューデースはいずれもテューポーンエキドナの子とし、この説が最も広く行われた。プトレマイオス・ヘファイスティオンは、ネメアーの獅子の兄弟だと述べる。

宝の傍らを離れない多頭の蛇という点で、レルネーのヒュドラーと型を共有する。どちらもヘーラクレースの相手であり、どちらも頭が多い。ただしヒュドラーが自ら襲いかかるのに対し、ラードーンはあくまで番人であって、木を離れることがない。

なお、アルカディアには同名の川と河神ラードーンがあり、ニンフのダプネーの父とされる。竜とは別の存在である。

文化的足跡

名はセム語系の海蛇ロタン(ウガリト語 Ltn、旧約聖書のレヴィアタン)に遡るとする説が古くからある。近東の竜退治譚とギリシアの功業譚が同じ地層を共有するという議論の材料の一つとなってきた。

宝を守る竜という型そのものは、この竜だけの発明ではない。北欧のファフニール、金羊毛を守るコルキスの竜、中世叙事詩の宝竜と並ぶ、ギリシア側の代表例である。北天の竜座は今もこの名を負っている。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

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資料

Wikidata
Q274600 — 骨格データの出典
Commons
Ladon — 図像カテゴリ