テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
アイグレー
PLATE — ΑἼΓΛΗ
HELLAS · ギリシア神話
ΑἼΓΛΗ

アイグレー

アイグレ · アイグレア · Aegle

アイグレー小像(後2世紀、ギリシア・ディオン考古学博物館蔵)/撮影: Carole Raddato, CC BY-SA 2.0 CC BY-SA 2.0

ギリシア神話で「輝き」を意味する名。アスクレーピオスの娘、ナーイアス、ヘーリアデス、ヘスペリデスの一人など、同名の女性が七人ほど知られる。

01

解説

概要

アイグレー(「輝き」「まばゆい光」)は、ギリシア神話に現れる、何人もの女性の名である。同じ名を持つ女性が七人ほど知られているが、それぞれ系譜も物語も異なる。医の神アスクレーピオスの娘、泉のニンフ、太陽神の娘、黄金の林檎の園を守る娘などである。「輝き」を意味するふつうの言葉が、人の名として繰り返し用いられたのである。本項では、同じ名を持つ女性たちをまとめて整理する。

なお本サイトの分類では、ギリシア神話の体系に含めて扱う。

同じ名の女性たち

最もよく知られるのは、医の神アスクレーピオスの娘のアイグレーである。ヒュギエイア、パナケイア、イアソー、アケソーの姉妹にあたる。名の由来は、健やかな体の輝くような美しさにあるとも、医の務めに払われる敬意にあるとも言われる。姉妹のなかで、アイグレーは輝くような健やかさを担う存在である。

泉のニンフの一人のアイグレーは、ゼウスとネアイラの娘で、最も美しいナーイアスとされ、太陽神ヘーリオスとのあいだに美の女神たちカリテスをもうけたという。

太陽神ヘーリオスの娘たちヘーリアデスの一人のアイグレーは、パエトーンの姉妹である。弟の死を嘆くあまり、姉妹たちとともに白楊の木に変えられた。

ヘスペリデスの一人のアイグレーは、世界の西の果てで黄金の林檎の園を守る娘である。アポロニオスの『アルゴナウティカ』によれば、ヘーラクレースが竜ラードーンを射殺して林檎を奪った翌日、コルキスから帰るアルゴナウタイの一行がこの地を通りかかり、アイグレーの嘆きを聞いたという。

このほか、アスクレーピオスの母コローニスの別名としてのアイグレー、テーセウスに愛され、そのためにテーセウスがアリアドネーを棄てたと語られるパノペウスの娘アイグレー、そしてディオニューソスの乳母の一人としてのアイグレーがいる。

「輝き」という名

同じ名が何人もの女性に与えられていることは、この名が「輝き」を意味するふつうの言葉であったことによる。ギリシアの人々は、医の女神にも、泉のニンフにも、林檎の園の番人にも、同じ言葉がふさわしいと考えたのである。ヘスペリデスの名の一覧にヒュギエイアが含まれる作例もあり(メイディアスの画家の水甕)、同じ名が別の系譜に配されることは、この名に限らずギリシア神話に広く見られる。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、2世紀の小像(ギリシア、ディオン考古学博物館蔵)である。アスクレーピオスの子どもたちを表した一群の像の一体で、姉妹のパナケイアとアケソーの像とともに見つかった。

関わる神格・伝承

アスクレーピオスの娘としては、ヒュギエイア、パナケイア、イアソー、アケソーの姉妹となる。ヘスペリデスの一人としては、エリュテイアやヘスペリアと並ぶ。

文化的足跡

日本語でこの名が挙げられることは少なく、アスクレーピオスの娘たちを並べて挙げる文脈で触れられる程度である。

02

領分・別名

03

資料

Wikidata
Q2622054 — 骨格データの出典