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ダプネー
PLATE — ΔΆΦΝΗ
HELLAS · ギリシア神話
ΔΆΦΝΗ

ダプネー

ダフネ · ダプネ · Daphne

アポローンとダプネーを描くフレスコ画(後1世紀、ポンペイのエフェボスの家=P・コルネリウス・タゲスの家の寝室南壁) CC0

アポローンに追われ、捕らえられる直前に月桂樹に変じたギリシア神話の女性。以後この神は月桂樹を聖木とし、月桂冠を勝者に授ける習わしが生まれた。

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解説

概要

ダプネー(Δάφνη、「月桂樹」)は、ギリシア神話の女性である。伝えによって人間の娘とも、河神の娘のニュンペーともされる。

アポローンに恋され、意に反して追われたが、捕らえられる直前に助けを祈って月桂樹に変えられた。以後アポローンは、この木を特別に崇めるようになる。

神話・物語

系譜は一定しない。テッサリアの河神ペーネイオスとニュンペーのクレウーサの娘とする伝え、アルカディアの河神ラードーン(オロンテース)とゲー(大地)の娘とする伝え、そしてアミュクライ王アミュクラースの娘とする伝えがある。

最も早い典拠はピュラルコスであり、ニカイアのパルテニオスがこれを引く。のちにローマの詩人オウィディウスが『変身物語』でこのギリシアの伝説を語り直した。

オウィディウス版はこうである。アポローンは弓の腕を誇るクピードー(エロース)に向かって「男の武器がお前に何の関わりがある、この浮ついた小僧め」と侮った。腹を立てたクピードーは、愛の矢の力を示すため、黄金の鏃の矢をアポローンに射込む。同時にダプネーには鉛の鏃の矢を射た。前者は恋を生じさせ、後者は相手を厭わせる矢である。

にわかな恋に浮き立ったアポローンは、絶えずダプネーを追った。傷つけるつもりはないと言って足を止めさせようとし、薬草の知識を持ちながらクピードーの矢の傷だけは癒せぬと嘆く。追いつかれる寸前、ダプネーは父である河神ペーネイオスに助けを乞うた。

祈りは聞き届けられた。手足は硬くなり、皮膚は樹皮に、髪は葉に、腕は枝に変わる。それでもアポローンはその幹を抱き、木の下でなお鼓動を感じたという。彼は月桂樹を自らの聖木と定め、その葉で冠を編んだ。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、ポンペイのエフェボスの家の南壁に描かれたフレスコ画である(後1世紀)。アポローンとダプネーの場面を描く。

この主題の美術作品は、ほぼ例外なく変身の瞬間を選ぶ。指先から葉が伸び、足が根に変わり、しかし顔はまだ人のものである——その一瞬である。ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの群像(1622〜25年、ボルゲーゼ美術館蔵)が最も名高い。

追われる者が植物に変わることで逃れるという型は、ギリシア神話に繰り返し現れる。ニュンペーが在地の自然物と結びついていた古い信仰の層が、オリュンポスの神々の物語に組み込まれる過程で生じた形式だと考えられている。

関わる神格・伝承

デルポイで四年ごとに催されたピューティア大祭では、テッサリアのテンペの谷で採った月桂樹の冠が優勝者に授けられた。パウサニアースはその理由を「ひとえに、アポローンがラードーンの娘に恋したという伝承が行き渡っているからにすぎない」と記す。

この慣行から、勝利した将軍、競技者、詩人、音楽家に月桂冠を授ける習わしが生まれた。ルネサンス期イタリアに始まる桂冠詩人(Poet Laureate)の称号も、その系譜に連なる。

文化的足跡

月桂樹の学名 Laurus nobilis の laurus は、この物語を通じてヨーロッパの語彙に定着した。英語の laureate、フランス語の lauréat、そして日本語の「桂冠」も、いずれもここに発する。

ノーベル賞受賞者を英語で laureate と呼ぶのも、同じ語である。追われて木になった娘の名が、二千年を経て学術と文学の最高の栄誉を指す語になっている。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

ペネウス
Ladon
アミュクラース
収載データなし
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資料

Wikidata
Q194015 — 骨格データの出典
Commons
Daphne (mythology) — 図像カテゴリ