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ケルベロス
PLATE — ΚΈΡΒΕΡΟΣ
HELLAS · ギリシア神話
ΚΈΡΒΕΡΟΣ

ケルベロス

Cerberus

Bibi Saint-Pol PUBLIC DOMAIN

ギリシア神話で冥界の門を守る多頭の犬。死者を外へ出さず、生者を中へ入れない番人である。ヘーラクレースが最後の功業として生け捕りにしたことで知られ、テューポーンとエキドナの子とされる。

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解説

概要

ギリシア神話で、冥界(ハーデースの国)の門を守る多頭の犬。その務めは、死者を外へ出さず、また生者を中へ入れないことにある。冥界の境界そのものを体現する番人であり、いったん入った魂は二度と戻れないという、ギリシア人の死生観を形にした存在といえる。

登場する物語

ケルベロスが物語の前面に出るのは、英雄ヘーラクレース十二功業の最後においてである。エウリュステウス王に命じられたヘーラクレースは、冥界に降ってケルベロスを地上へ引き据えることを求められた。ハーデースは、武器を用いずに取り押さえるならという条件でこれを許し、英雄は素手でこの犬を組み伏せて連れ帰ったと伝えられる。連れてこられたケルベロスを見た王は、恐れて壺の中に隠れたという。ほかにも、竪琴の名手オルフェウスがその音色でケルベロスを眠らせて冥界へ入った話や、ローマのウェルギリウス『アエネーイス』で、巫女が薬を混ぜた菓子を投げ与えて通り抜ける場面が名高い。

図像と象徴

頭の数は伝承によって割れる。今日ひろく知られる三つ首はしばしば描かれる姿だが、ヘシオドス『神統記』は五十の首を、詩人ピンダロスは百の首を数えたと伝えられる。古典期の壺絵では、二頭ないし三頭で表されることが多く、背に蛇を生やし、尾が蛇となった姿もある。前525年頃のカエレ産の水瓶(ルーヴル所蔵)は、ヘーラクレースがケルベロスを王のもとへ引き立てる場面を生き生きと描く、この主題の古い作例である。多頭と蛇尾という造形は、境界を守るものの異形さと、容易には越えられぬ死の壁とを、目に見える形にしている。

系譜と関係

怪物の父テューポーンと、蛇身の女エキドナの子とされ、同じ両親から生まれた兄弟に、二つ首の犬オルトロス、レルネーのヒュドラー、キマイラなどがある。まさに怪物の一族の一員である。番犬として仕える相手は冥界の王ハーデースであり、ケルベロス自身は神ではなく、冥界という装置の一部として神々の秩序に組み込まれている。

文化的足跡

冥界の入口を守る多頭の番犬という発想は、後世の地獄の表象にも影を落とした。ダンテ『神曲』地獄篇では、ケルベロスが貪食の亡者を苛む姿で現れる。「番人」の代名詞として天文や生物の命名に用いられ、近年の映像作品・ゲームにもその名はしばしば引かれている。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

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資料

Wikidata
Q83496 — 骨格データの出典
Commons
Cerberus (mythology) — 図像カテゴリ