テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
MUNDUS MYTHICUS · CH. 06 · SKY GODS AND THUNDER GODS

天を統べる者

天を統べる神と、雷を落とす神は、同じ神なのか。ゼウスは両方である。だがインドではディヤウスが天で、インドラが雷であり、北欧ではオーディンが主権で、トールが雷である。分かれる体系と分かれない体系がある。そしてエジプトには、雷を主たる職能とする神が一柱もいない。この章は、天と雷がなぜ一緒になったり離れたりするのかを、神々の武器と気候から読む。

PLATE 巨人と戦うトール
巨人と戦うトール, モーテン・エスキル・ヴィンゲ, 1872年.
モーテン・エスキル・ヴィンゲ《巨人と戦うトール》(1872年、スウェーデン国立美術館蔵)/GOOGLE ARTS & CULTURE、パブリックドメイン

兼ねる神

ゼウスは天の支配者であり、雷霆を投げる。ユーピテルも、エトルリアのティニアも同じである。ティニアは三種の雷を持ち、そのうち最も強いものは他の神々の同意なしには投げられなかったと伝えられる。雷は主権の武器であり、主権は雷によって行使される。地中海の三つの体系では、天と雷は一つの手に握られている。

本サイトの役割で見ると、天空神は二十七柱、雷神は二十五柱ある。だが両方を兼ねる神は五柱しかない。天と雷が一つの手にある体系は、実は多数派ではない。

分かれる神

インドの『リグ・ヴェーダ』において、天はディヤウスである。ゼウス・ユーピテルと名を同じくする、輝く天の父。だが讃歌のなかでディヤウスはほとんど働かない。雷を振るい、竜ヴリトラを殺し、神々の王として讃えられるのはインドラである。名の系譜では天の父が主神のはずなのに、実際の主神は雷を持つ別の神だった。

北欧では逆の分かれ方をする。トールが雷を持つが、主権はオーディンにある。オーディンは知恵と死と詩と魔術の神であり、雷とは無縁である。トールは農民に愛され、オーディンは王と詩人に仕えられた。雷は主権から切り離され、主権は雷を必要としなかった。

主権が雷を握るかどうかは、その社会が王権の根拠をどこに置いたかを映している。ゼウスは力で父を倒して王になった。オーディンは知恵を得るために片目を差し出した。

雷だけの神

天を統べず、雷だけを持つ神々がいる。スラヴのペルーン、ガリアのタラニス、日本の雷神、アステカのトラロック、マヤのチャク、ヨルバのシャンゴ

第2章で見たように、この八柱の名にはペルーンとペルクナスを除いて語源的な関係がない。雷神がどこにでもいるのは、雷がどこにでも落ちるからである。だが「どこにでも」は正確ではない。

エジプトに雷神はいない

本サイトのエジプト神話の項目は百を超えるが、雷を役割とする神格は一柱も登録されていない。嵐と砂漠を司るセトはいるが、セトの嵐は砂嵐であり、その武器は雷ではない。

これは記録の欠落ではない。エジプトの雨は年に数回しか降らず、雷雨はさらに稀である。ナイルの氾濫が農耕を支え、雨は農耕の条件ではなかった。雷が神になるのは、雷が生活を左右する土地においてである。乾燥地帯では、雷は神格化の主題にならなかった。

中国も本サイトでは雷を役割とする神格が登録されていない。中国には雷公という神がいるが、天を統べる神ではなく、天帝の命を執行する下級の官である。雷は主権ではなく、刑罰だった。

雷神の分布は、気候と社会の分布である。第1章で述べた「数は記録の歴史を示す」という原則には、もう一つの側面がある。数は、その土地で何が神になりえたかの歴史も示している。

嵐と戦

役割の共起を見ると、雷神が兼ねるものは天空より嵐と戦である。雷と嵐を兼ねる神は十柱、雷と戦を兼ねる神は八柱、雷と天空を兼ねる神は五柱。雷は、天の秩序よりも、破壊と戦闘に近い。

メソポタミアのハダドは嵐と雷の神であり、その名はシリアからアッシリアまで広く崇められた。カナンのバアルは雨をもたらす英雄的な王であり、海の神ヤムと戦って勝つ。ヒッタイトのテシュブは嵐の神であり、同時に神々の王である。西アジアでは、雷は嵐の一部であり、嵐は王権の武器だった。

武器の形

雷神の持ち物は、その体系が雷をどう見たかを示している。

ゼウスの雷霆は、両端が尖った矢のような形で表される。インドラの金剛杵(ヴァジュラ)は、両端に叉のある棍棒であり、後に仏教に入って法具となった。トールの鎚ミョルニルは、柄の短い鉄鎚である。ペルーンは斧を持ち、タラニスは車輪を持つ。日本の雷神は太鼓を背負う。

矢、棍棒、鎚、斧、車輪、太鼓。雷は、光として見られたか、音として聞かれたか、あるいは落ちたあとに残る跡として理解されたかで、武器の形を変えた。ヨーロッパと東アジアには、新石器時代の石斧を「雷が落ちた跡」とみなす伝承が広くあり、日本ではこれを雷斧と呼んだ。地面から出てくる磨かれた石が、天から落ちてきた雷の実体とされた。雷神の斧は、この石の記憶を引き継いでいる。

天と雷は別のもの

この章の問いに戻る。天空神と雷神は同じ神か。答えは、同じになった体系と、ならなかった体系がある、というものである。地中海では一つになり、インドと北欧では分かれ、エジプトと中国では雷そのものが主権の座に上らなかった。

役割ページの「天空神」と「雷神」は、この二つを別のファセットとして扱っている。その理由はここにある。天は秩序であり、雷は力である。両者が一致した体系は、力を秩序の根拠とした体系だった。