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インドラ
PLATE — इन्द्र
BHARATA · ヒンドゥー神話
इन्द्र

インドラ

帝釈天 · シャクラ · 釈提桓因

Victoria and Albert Museum PUBLIC DOMAIN

ヒンドゥーの武神にして神々の王。雷霆ヴァジュラを振るい、水を堰き止める蛇ヴリトラを打ち倒す。『リグ・ヴェーダ』最多の讃歌を捧げられ、仏教では帝釈天として尊崇される。

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解説

概要

インドラ(इन्द्र / Indra)は、雷雨と戦を司り、神々(デーヴァ)の王として天界スヴァルガに君臨する神である。ヒンドゥー神話の最古層をなす『リグ・ヴェーダ』では、全讃歌のうち最も多くがこの神に捧げられ、その武勲が繰り返し讃えられる。手にするのは金剛の雷霆ヴァジュラ。旱魃をもたらす蛇を打ち倒して天の水を解き放つ英雄神であり、のちに仏教に取り込まれて、雷神の代表格として東アジアにも広く知られた。

神話・物語

インドラの物語の核心は、蛇(あるいは竜)ヴリトラとの戦いである。ヴリトラは天の水をおのが体内に堰き止め、大地を旱魃に陥れる魔物アスラであった。インドラは工匠神トヴァシュトリが鍛えたヴァジュラを振るってヴリトラを打ち砕き、閉じ込められていた川々を解き放って世界に実りを取り戻す。この功により彼は「ヴリトラを打つ者(ヴリトラハン)」と讃えられる。戦いに先立って聖なる飲料ソーマを飲み力を得るのが常で、雷雨をもたらし敵を砕くその姿は、秩序と豊穣の守り手として讃歌に立ち現れる。

やがてヴェーダ以後の時代になると、インドラの地位には変化が訪れる。ブラフマー・ヴィシュヌ・シヴァの三神を頂く体系が整うにつれ、かつての最高神は相対的に位を下げ、東方をまもる方位の守護神(ローカパーラ)の一柱として位置づけ直されていく。聖仙や魔神に敗れる挿話、その慢心が戒められる物語も語られるようになる。全能の王から、より人間的な弱さをもつ王への推移は、伝承が時代とともに編み直されていく様をよく示している。

図像と象徴

インドラを象徴するのは、なにより武器ヴァジュラである。ダイヤモンドのごとく砕けず、稲妻のごとく打ち砕くこの雷霆は、彼の権能そのものを表す。乗物は四本の牙をもつ白象アイラーヴァタで、雨雲を運ぶものとして、旱魃を破る神にふさわしい。虹はしばしば「インドラの弓」と呼ばれ、ほかに剣・網・鉤などを持物とする。後世の像では四臂に表され、王としての冠を戴く。全身に無数の眼を帯びた姿で描かれることもあり、これは聖仙ガウタマの呪いにまつわる挿話に由来すると伝えられる。本項に掲げる南インドの絵は、白象にまたがり、黄の肌に四臂、体を眼に覆われたインドラの典型的な図像を示す。

系譜と関係

『リグ・ヴェーダ』では、天空父神ディヤウスをインドラの父とする伝えがある。興味深いことに、このディヤウスは印欧語族に共通する古い天空神の末裔でありながら、ヴェーダの世界ではすでに影の薄い存在となり、武神インドラに主役の座を譲っている。妻は女神シャチー(インドラーニー)。仏教に入るとインドラはシャクラ(釈提桓因)と呼ばれ、須弥山の頂の三十三天に住まう護法の善神となった。漢訳を経て東アジアでは帝釈天の名で知られ、日本でも寺院に祀られる。同じ神格が、ヒンドゥー・仏教という異なる伝統のなかで役割を変えながら受け継がれた例である。なお雷と武を司る点でゼウスや北欧のトールとしばしば並べられるが、これは機能の類似であって、起源の同一ではない。似た働きの神が各文化に現れることと、それらが一つの神から分かれ出たこととは、慎重に区別されねばならない。

文化的足跡

インドラへの崇敬は形を変えて今日まで続く。ヒンドゥー寺院では東面の守護神として壁面や門に刻まれ、白象を伴う姿でそれと知られる。仏教では帝釈天として梵天と対をなす護法神となり、その図像は東アジア各地の寺院に及んだ。金剛の武器ヴァジュラは、仏教で「金剛杵」と漢訳されて煩悩を断つ法具となり、密教の重要な象徴として受け継がれている。武神にして天界の王というインドラの性格は、現代の『女神転生』などの作品にも取り入れられている。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
ヴァジュラパーニ 仏教の尊格 同一視
初期経典はヴァジュラパーニを帝釈天(シャクラ)の化身とし、註釈家ブッダゴーサもインドラと結びつける。金剛杵という武器自体がインドラの雷霆に由来する。
帝釈天 仏教の尊格 同一視
ヴェーダの神々の王インドラが仏教に取り込まれたもの。梵名 Śakro devānām indraḥ の śakra を音写、indra を意訳して「帝釈天」となった。阿修羅との戦いも受け継がれたが、仏の下位に立つ護法善神へ位置づけを変えている
タジャーミン 仏教の尊格 同一視
タジャーミンはインドラ(シャクラ)のビルマにおける姿。
ウルスラグナ ペルシア神話 同源
アヴェスター語 vərəθraγna はヴェーダのヴリトラハン(ヴリトラを討つ者=インドラの形容辞)と同じ語形に遡る。ただし神格そのものの同一ではなく、形容辞が独立して神格化したとする説と、イラン固有の神とインドラが後に合体したとする説が並立する。

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इन्द्र
インドラ
ヒンドゥー神話
シャチー
配偶者
収載データなし
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資料

Wikidata
Q128335 — 骨格データの出典
Commons
Indra — 図像カテゴリ