テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
チャク
PLATE — CHAAHK
MAYA · マヤ神話
CHAAHK

チャク

チャアク|チャック|チャク・シブ・チャク|Chac|Chaahk|Chac Xib Chaac|神B

Leonard G.(de Young Museum 所蔵のテラコッタ像) PUBLIC DOMAIN

マヤ神話の雨と雷の神で、シェルハス分類の神B。雷の斧で雲を打って雨を降らせる。長く垂れた鼻をもつ姿で表され、四方に四柱のチャクが立つ。ユカタンのプウク様式の建築を覆う仮面で知られ、今日も雨乞いの儀礼が続く。

01

解説

概要

チャク(Chaac、古典期マヤ語では Chaahk)は、マヤ神話における雨・雷・稲妻の神である。シェルハス分類では神Bと呼ばれる。稲妻の斧を振るう雷神である。

神話・物語

チャクは雷斧で雲を打ち、その一撃が雷鳴を生み、雨を降らせると考えられた。斧そのものは神K(ユカタン語でボロン・ツァカブ)という別の神格に人格化される。ドレスデン絵文書の「農事暦」の頁では、木を伐り、種を蒔き、雨のなかに立つチャクの姿が、暦日と結びつけて描かれる。これは農民に適切な農作業の時期を告げる儀礼的な指示であったとされる。マヤの神の例にもれず、チャクは「一にして多」であり、東西南北の四方に四柱のチャクが立ち、それぞれ方位の色(東=赤、北=白、西=黒、南=黄)をまとう。

図像と象徴

チャクは、爬虫類あるいは両生類の鱗をもつ人体に、牙の生えた非人間的な頭部を戴く姿で表される。最大の特徴は長く垂れ下がった鼻で、バクの吻に例えられるこの造形がマヤ美術におけるチャクの標識となる。耳には貝の飾りを付け、手には盾と雷斧を執る。ドレスデン絵文書では睡蓮の頭飾りを戴き、水との結びつきが強調される。ユカタン北部のプウク様式の建築では、この長い鼻をもつ仮面が神殿の破風を埋め尽くすように積み上げられ、ウシュマルやカバーの遺構にその壮麗な例が残る。

系譜と関係

四柱のチャクは、地下の水を司る老神バカブや、老いた女神イシュ・チェルと密接に結びつけられる。聖なる泉であるセノーテはチャクらの住まう地下世界への入口とされ、チチェン・イツァの聖なるセノーテには供物が投じられた。中央メキシコのアステカの雨神トラロックはチャクと対応し、古典期のチャクの図像にはテオティワカン起源のトラロック的な要素も認められる。

文化的足跡

ユカタンのマヤ系の農民のあいだでは、今日もチャ・チャクと呼ばれる雨乞いの儀礼が行われ、チャクたちに雨が祈られる。

なおメソアメリカの先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。

02

領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
トラロック アステカ神話 同一視
アステカの雨神。メソアメリカの雨神として対応づけられ、古典期チャクの図像にテオティワカン起源のトラロック的要素が認められる(言語同源ではなく文化的対応・図像影響)。

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。

収載データなし
収載データなし
フル系図ページを開く →
04

資料

Wikidata
Q1058253 — 骨格データの出典
Commons
Chaac — 図像カテゴリ