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雷神
PLATE — 雷神
YAMATO · 日本神話
雷神

雷神

らいじん · いかずちのかみ · 雷様

俵屋宗達『風神雷神図屏風』左隻(建仁寺蔵・国宝)/文化庁 国指定文化財等データベース PUBLIC DOMAIN

日本の雷の神。牛の角を生やした鬼が、輪に並べた太鼓を打ち鳴らす姿で知られる。記紀ではイザナミの屍から生じた八柱の雷神として現れ、風神と対をなす。

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解説

概要

雷神(らいじん、いかずちのかみ)は、日本で雷を司る神。雷様・鳴神・雷公・雷電様などとも呼ばれる。牛の角を生やし虎の皮の褌を締めた形の神が、輪に並べた太鼓を撥で打ち鳴らす姿で知られ、風神と一対で表される。この造形は仏教美術を介して大陸から伝わったもので、記紀が語る雷神とは別の系統に属する。雷は稲を実らせる恵みであると同時に、人と建物を撃つ災厄でもある。日本の雷神像は、この両義性の上に立っている。

神話・物語

『古事記』では、火の神を産んで死んだイザナミを追ってイザナギが黄泉国へ下る。イザナギが櫛の歯に火を灯して見たイザナミの体には蛆がたかり、頭に大雷、胸に火雷、腹に黒雷、陰に拆雷、左手に若雷、右手に土雷、左足に鳴雷、右足に伏雷という八柱の雷神が生じていた。醜い姿を見られたイザナミは、この八雷神に千五百の黄泉軍を率いさせてイザナギを追わせるが、黄泉比良坂で桃の実を投げつけられた軍勢は退散する。

『日本書紀』は神代第五段の一書(第九)に同じ話を載せるが、雷神を八色雷公と呼び、宿る部位も一致しない。首に大雷、胸に火雷、腹に土雷、背に稚雷、尻に黒雷、手に山雷、足に野雷、陰に裂雷とし、『古事記』にある若雷・鳴雷・伏雷は現れない。同じ八柱でありながら名も配置も揃わないことは、この一段の伝承が一様でなかったことを示している。

固有の名を持つ雷神も多い。鹿島神宮・春日大社の祭神タケミカヅチは剣の神であるとともに雷の神であり、賀茂別雷神社(上賀茂神社)の賀茂別雷神は名そのものに雷を負う。加波山神社は八雷神を祭神とする。また『日本書紀』推古天皇26年条には、安芸国で船材を伐ろうとした者が「雷神の宿る木である」と諫められながら伐ったところ、大雨と落雷に見舞われたという話が見える。鎮めてみると、雷神は小さな魚となって木の股に挟まっていたという。

図像と象徴

連鼓を打つ雷神の姿は中国に発する。後漢の王充『論衡』は雷公の絵を、力士のような姿で左手に連なる太鼓を引き、右手の楔でそれを打つものと記した。ここでは太鼓が環状に並ぶとまでは言われていないが、同じ後漢期の山東省臨沂で出土した画像石には、すでに円環状の連鼓を背に負う雷公が刻まれている。北魏の元叉墓の天井画、敦煌莫高窟第249窟の天井画、唐代以降の降魔図にも同じ姿が見え、唐代にはこの形が定着していたとみられる。降魔の場面に雷神が現れるのは、『ブッダチャリタ』などが魔軍の襲来に雷霆を伴わせるためであろう。

日本の雷神は、この形を二十八部衆の群像を通じて受け取った。現存最古の作例は蓮華王院(三十三間堂)の木造雷神像(鎌倉時代、国宝)で、風神像と対をなして堂の長い中央壇の両端に据えられている。鬼の姿をとり、牛の角と虎皮の褌を備えるのは、丑寅すなわち鬼門の方位に雷を結びつける連想によるという。

俵屋宗達の風神雷神図屏風(国宝、建仁寺蔵)は、この図像を仏の眷属から独立した画題へ変えた。図様そのものは『北野天神縁起絵巻』の清涼殿落雷の場から借りたと指摘されるが、宗達は伝統的に赤く塗られる雷神の体を白に改め、金地の左端に大きく余白を残した。近世の大津絵になると、雷神は雲から取り落とした太鼓を鉤で釣り上げようとする滑稽な姿にも描かれる。畏怖の対象が笑いの対象へ転じるまでの幅が、この神の図像の広さである。

系譜と関係

八雷神はイザナミの屍から生じた神であり、黄泉の穢れと分かちがたく結びついている。雷を死と再生の側から捉えるこの見方は、雷を稲の実りに結びつける農耕の見方と、日本の雷神像のなかに併存している。

菅原道真の霊が雷神と重ねられた天神信仰は、記紀の雷神とは別の流れである。落雷という現象を怨霊の顕現と読む枠組みが、平安中期に成立した。風神とは図像・祭祀の双方で対をなす。ゼウス、トール、インドラといった各地の雷神との横断的な比較は雷神が受け持つ。

文化的足跡

「雷様が臍を取る」という俗信は今も子どもへの言い聞かせに残り、雷鳴に「桑原、桑原」と唱えて避ける習わしは、道真の所領であった桑原に落雷がなかったという伝承に由来するとされる。能『雷電』は道真の霊が雷神となって内裏を襲う筋を持ち、歌舞伎『鳴神』の鳴神上人は、雨を封じた法力の僧として雷神の観念を引いている。俳諧では「雷」は晩夏の季語である。

近代以降、宗達・光琳の屏風が広く知られるにつれ、連鼓を背負う鬼形の雷神は日本美術を代表する意匠のひとつとなった。現代の漫画やゲームに登場する「雷神」の造形も、そのほとんどがこの系譜に属している。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q12808082 — 骨格データの出典
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Raijin — 図像カテゴリ