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テシュブ
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SVMER · メソポタミア神話
TESHUB

テシュブ

テシュプ · Teššub · テッシュブ

Bernard Gagnon CC BY-SA 3.0

フルリの天候神で、その神々の頂点に立つ。父アヌの体から生まれ、クマルビと天上の王権を争う物語群の主人公である。

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解説

概要

テシュブは、フルリ人の天候神であり、その神々の頂点に立つ存在である。名の語源は不確かだが、言語としてはフルリ語に属すると認められている。天候を司る神として、彼は破壊と守護の両面をもって語られた。風、稲妻、雷鳴、雨はいずれも彼の武器として描かれ、同時に草木を育て、川と泉を生む力も彼に帰される。その権威は人にも神にも、地にも天にも及ぶとされたが、海と冥界だけは彼の支配の外にあった。

北メソポタミアとその周辺で天候神が広く重んじられたのは、灌漑に頼る南部と異なり、農耕が降雨に依存したためである。彼の高い位置はその事情を反映している。

当サイトにはアナトリア・フルリの神話体系に対応する区分がないため、本項目は暫定的にメソポタミア神話のもとに置いている。フルリの宗教はメソポタミアの影響を強く受けつつも別個の伝統であり、ヒッタイトの宗教とも重なりながら区別されるべきものである。

神話・物語

「出現の歌」(『クマルビの歌』)によれば、テシュブはクマルビが天空神アヌの陰部を噛み切ったのち、その頭を割って生まれた。アヌを父、クマルビを母と呼ぶ讃歌が残る。天上の王権をめぐる争いはこの誕生から始まり、以後クマルビは石の巨人ウルリクンミをはじめとする挑戦者を次々に生み出してテシュブの座を脅かす。挑戦者は短期的には成功するが、最後には敗れる。この一連の作品がクマルビ神話群と呼ばれる。

ヒッタイトの伝承では、彼は大蛇イルルヤンカシュと戦って一度敗れ、心臓と眼を奪われる。娘イナラの策と人間の助力、あるいは人間の娘に産ませた息子を用いた計略によって、力を取り戻して蛇を討った。この物語はプルリ祭のために語られたと明記されている。

図像と象徴

天候神の図像を個体として見分けることは難しく、アルベルト・ディーツは多くの場合それが不可能だと述べる。テシュブについては、短い衣と先の尖った履物をまとい、牡牛や山、あるいは山の神々の上に立つ姿とされてきた。フォルケルト・ハースによれば、ヌジの印章では三叉の稲妻と曲刀を手にする。文書は二頭の牡牛が牽く戦車に乗ると伝え、鷲も彼に結びつく動物とされる。

ヒッタイト美術では、天候神はいずれも長い髪と髭をたくわえ、角で飾った円錐形の角冠をかぶり、短い衣と反り返った爪先の靴を着け、槌矛を肩に担ぐか振り上げる姿で表された。主画像に掲げたのはハットゥシャ近郊の岩窟聖所ヤズルカヤの浮彫で、テシュブと妻ヘバトが向かい合う場面である。ここで彼は三叉の稲妻を握り、二つの山の上に立つ。マラティヤ出土の新ヒッタイト期の浮彫では、牡牛の牽く戦車に乗り、三叉の雷を構える。

アレッポの天候神には別系統の図像があり、鷲の形をした戦車を属性とした。

系譜と関係

父はアヌ、母はクマルビ。妻はもとアレッポで祀られた女神ヘバトで、のちフルリの神々に取り込まれた。子はシャルマ、アッランツ、クンジシャリ。宮廷にはテヌ、ペンティカリ、牡牛シェリとフルリ、山の神ナムニとハッジらが属する。

神名表は、彼をメソポタミアのアダドやウガリトのバアルの対応神とする。アナトリアでは、ヒッタイトのタルフンナとルウィのタルフンツに影響を与えたが、いずれも別個に祀られ続けた。同じ表語文字 dIM がこれらすべてを表記しえたことが、性格の交換を容易にしている。ゲイリー・ベックマンが指摘するとおり、ヒッタイトの宗教で神格が完全に融合する例は少なく、個々の天候神はそれぞれの同一性を保った。

文化的足跡

クマルビによる父の去勢と、その後の王権をめぐる交代劇は、ヘシオドス『神統記』のウーラノス、クロノス、ゼウスの継承譚と細部まで重なる。1930年代以降、この対応はアナトリアからギリシアへの影響を論じる主要な材料となってきた。イルルヤンカシュとの戦いをテューポーン退治と比較する議論も同じ流れにある。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
アダド メソポタミア神話 同一視
神名表はフルリの天候神テシュブをメソポタミアのアダドの対応神として記す。同じ表語文字 dIM で表記されたことがこの対応を支えた。
バアル フェニキア・カナン神話 同一視
神名表はテシュブをウガリトのバアルの対応神として記す。アレッポの天候神を介した交渉の結果である。
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資料

Wikidata
Q248242 — 骨格データの出典
Commons
Teshub — 図像カテゴリ