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オーディン
PLATE — ÓÐINN
NORÐR · 北欧神話
ÓÐINN

オーディン

オージン · ヴォータン · ウォーデン

Ólafur Brynjúlfsson PUBLIC DOMAIN

北欧神話の主神。詩と知恵、戦と死、そして魔術を司る。片目を代償に知を求め続けた探求者であり、戦死者をヴァルハラに集めながら、ラグナロクでは狼フェンリルに呑まれる終焉を負う神である。

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解説

概要

オーディン(Óðinn / Odin)は北欧神話の主神であり、アース神族を統べる父神である。その支配は雷神トールの膂力とは異なり、知と言葉、そして狡知によって成り立つ。詩の霊感、ルーンの知識、戦の勝敗、死者の行方——いずれも人が制御しがたい領域を束ねる神であり、軍神でありながら同時に知恵の神でもある点に、この神の複雑さがある。ゲルマン諸語ではウォーダン、ヴォータンとも呼ばれ、水曜日(Wednesday)にその名を残す。

神話・物語

オーディンは知のためにあらゆる代償を払う神として描かれる。『古エッダ』の「オーディンの箴言(ハーヴァマール)」では、世界樹ユグドラシルに自らを槍で貫いて九夜吊るし、ルーンの秘密を得たと語られる。また巨人ミーミルの泉の水を飲むために片目を捧げ、以後隻眼の姿で知られる。詩の起源をめぐっては、鷲に化けて巨人のもとから「詩の蜜酒」を奪い、神々と詩人にもたらしたと伝えられる。本来は女性が担うとされた呪術セイズを修めた点でも、この神は境界を越える存在である。

戦においては、二羽の鴉フギンとムニン(「思考」と「記憶」)を世界に放って報せを集め、戦乙女ヴァルキュリャに戦死者を選ばせ、ヴァルハラに迎える。世界の終末ラグナロクでは狼フェンリルに呑まれて斃れる定めにあり、その死は『古エッダ』の「巫女の予言(ヴォルスパー)」に予告される。世界と神々の創造については、スノッリ・ストゥルルソン『エッダ』が、オーディンと兄弟ヴィリ・ヴェーが原初の巨人ユミルを倒し、その亡骸から天地を造ったと記す。

図像と象徴

オーディンの図像は、隻眼・鍔広の帽子または頭巾・長い髭・槍グングニルによって定まる。肩には鴉が止まり、足元には狼ゲリとフレキが従い、八本脚の駿馬スレイプニルにまたがる。これらの持物と眷属は、この神が情報と移動、生と死の境を自在に越える存在であることを視覚化している。本項の図版は18世紀アイスランドの写本に描かれた、スレイプニルに乗るオーディンで、北欧の写本伝統がこの神をどう捉えたかを伝える。近代以降は、ゲオルグ・フォン・ローセンの《旅人オーディン》(1886年)のように、青いマントをまとい鍔広帽を目深にかぶった放浪者としての姿が広く流布した。

系譜と関係

巨人ボルベストラの子で、妻フリッグとの間にバルドルらをもうけた。トールもその子とされる。ローマ人はゲルマンの神々を自らの神々に置き換えて理解し(インテルプレタティオ・ゲルマーニカ)、オーディン=ウォーダンを商業と旅の神メルクリウスに擬えた。「メルクリウスの日(dies Mercurii)」が「ウォーダンの日」と訳された結果が、英語の Wednesday である。力を体現するトールがユピテルやヘラクレスに擬えられたのとは対照的に、オーディンが弁と知の神に対応づけられた点は、古代人がこの神をどう見たかを示している。

文化的足跡

オーディンは戦士貴族の守護神であると同時に、スカルド詩の伝統においては詩そのものの源泉であった。詩人が詩を「オーディンの蜜酒」と婉曲に呼ぶケニングは、この神と言葉の結びつきを物語る。近代に入ると、ワーグナーの楽劇《ニーベルングの指環》のヴォータン、トールキンの作品世界など、芸術・文学はオーディン像を繰り返し参照してきた。現代でも『Fate/Grand Order』『女神転生』シリーズなどの作品に登場し、検索を通じた関心の入り口となっている。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
メルクリウス ローマ神話 同一視
interpretatio germanica。タキトゥス『ゲルマニア』9 はゲルマン人が最も崇める神をメルクリウスと呼び、これはウォーダン(オーディン)を指すと解される。dies Mercurii(メルクリウスの日)がゲルマン語で「ウォーダンの日」と訳され、英語 Wednesday が成立した曜日名対応が典拠。ゼウス/ヘルメースではなくローマ名経由の対応として登録

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

ボル
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資料

Wikidata
Q43610 — 骨格データの出典
Commons
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