PSYCHOPOMP
魂の導き手
LECTIO — 解説
ギリシアのヘルメースがこの役の典型である。プシュコポンポスの添え名を持ち、杖ケーリューケイオンで魂を眠らせ、また目覚めさせる。伝令・旅人・商人・盗人の守護と同じ職能——境を越えること——の延長線上に、死者の案内が置かれている。ローマのメルクリウスもこれを引き継いだ。エジプトのアヌビスは埋葬地を守り、遺体を防腐し、死者を審判の広間へ導く。心臓の計量の場面で天秤の脇に立つのはこの神である。アステカのショロトルは犬の頭を持ち、死者がミクトランへ至る道の水を渡らせる。メソアメリカには犬を伴葬する習俗があり、図像と埋葬慣行が一致する数少ない例である。北欧のワルキューレは戦場で死ぬ者を選び、ヴァルハラへ導く。導く前に誰が死ぬかを決めている点で、他の導き手より積極的である。
図像には共通の道具立てがある。杖、舟、そして犬。犬が繰り返し現れるのは埋葬地に来る動物だったためと説明されるが、確証はない。アンデスでも、死者の魂は大河を渡ってウパイマルカ(影の里)へ向かい、その渡渉を黒犬が助けると伝えられた。祖霊スーパイが担うのも、この導き手の役である。
注意がいる。導き手と門番と冥界の王は、しばしば一括りにされる。ケルベロスは門番であって導かない。ハーデースは王であって出歩かない。三つをまとめて「冥界の神」と呼ぶと、その社会が死をどう区切っていたかが見えなくなる。また、導き手が同時に生者の守護者であることは偶然ではない。境を越えられる者だけが、両側で役に立つ。
もう一つ、導き手は記録が乏しいほど後世の想像で肉付けされやすい。ユカタンのイシュタムは、16世紀の司教が一節書き残しただけの女神が、近代の学問を通じて「魂を楽土へ導く女神」へ育てられた例である。近年の研究は、その像そのものを疑っている。
この役割の神格
19柱を収載(知名度順)
PLATE
ギリシア神話
ヘルメース
Ἑρμῆς — 死神・冥界神
PLATE
一神教の伝承
ミカエル
מִיכָאֵל — 軍神
PLATE
エジプト神話
アヌビス
𓇋𓈖𓊪𓃣 — 死神・冥界神
PLATE
ローマ神話
メルクリウス
Mercurius — 死神・冥界神
PLATE
北欧神話
ワルキューレ
valkyrja — 軍神
PLATE
ギリシア神話
カローン
Χάρων — 死神・冥界神
PLATE
エジプト神話
ウプウアウト
wp-wꜣwt — 軍神
PLATE
アステカ神話
ショロトル
Xolotl — 雷神
PLATE
マヤ神話
イシュタム
Ix Tab — 魂の導き手
PLATE
インカ神話
スーパイ
Supay — 死神・冥界神
PLATE
エトルリア神話
カルン
charun — 死神・冥界神
PLATE
エトルリア神話
ウァント
vanθ — 死神・冥界神
PLATE
エトルリア神話
トゥルムス
turmś — 富と幸運の神
PLATE
仏教の尊格
阿弥陀如来
阿弥陀如来 — 魂の導き手
PLATE
ペルシア神話
スラオシャ
𐬯𐬭𐬀𐬊𐬴𐬀 — 法と誓約の神
PLATE
ペルシア神話
ダエーナー
𐬛𐬀𐬉𐬥𐬁 — 魂の導き手
PLATE
エジプト神話
ヘルマヌビス
Ἑρμανοῦβις — 死神・冥界神
PLATE
CREATURE
ケルト神話
アンクー
an Ankoù — 死神・冥界神
PLATE
ヒンドゥー神話
プーシャン
पूषन् — 太陽神
ギリシア神話
ヘルメース
Ἑρμῆς — 死神・冥界神
PLATE
一神教の伝承
ミカエル
מִיכָאֵל — 軍神
PLATE
ローマ神話
メルクリウス
Mercurius — 死神・冥界神
PLATE
北欧神話
ワルキューレ
valkyrja — 軍神
PLATE
ギリシア神話
カローン
Χάρων — 死神・冥界神
PLATE
アステカ神話
ショロトル
Xolotl — 雷神
PLATE
マヤ神話
イシュタム
Ix Tab — 魂の導き手
PLATE
インカ神話
スーパイ
Supay — 死神・冥界神
PLATE
エトルリア神話
カルン
charun — 死神・冥界神
PLATE
エトルリア神話
ウァント
vanθ — 死神・冥界神
PLATE
エトルリア神話
トゥルムス
turmś — 富と幸運の神
PLATE
仏教の尊格
阿弥陀如来
阿弥陀如来 — 魂の導き手
PLATE
ペルシア神話
スラオシャ
𐬯𐬭𐬀𐬊𐬴𐬀 — 法と誓約の神
PLATE
ペルシア神話
ダエーナー
𐬛𐬀𐬉𐬥𐬁 — 魂の導き手
PLATE
エジプト神話
ヘルマヌビス
Ἑρμανοῦβις — 死神・冥界神
PLATE
CREATURE
ケルト神話
アンクー
an Ankoù — 死神・冥界神
PLATE
ヒンドゥー神話
プーシャン
पूषन् — 太陽神