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オシリス
PLATE — WSJR
AEGYPTVS · エジプト神話
WSJR

オシリス

Osiris

Jeff Dahl CC BY-SA 4.0

エジプト神話の冥界の王。弟セトに殺されて甦り、死と再生・豊穣を司る。死者を裁く冥界の主宰神として、古代エジプトの死生観の中心に立つ。

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解説

概要

オシリス(エジプト語 wsjr、希 Ὄσιρις)は、古代エジプトにおける冥界の王であり、死と再生・豊穣を司る神である。かつて地上を治めた善き王が、弟に殺されて甦り、死者の国の支配者となる——その物語は、ナイルの氾濫がもたらす再生と、死後の永生への希望とを重ね合わせ、エジプトの死生観の核をなした。ヘリオポリスの九柱神の一柱に数えられ、イシスを妻とする。

神話・物語

オシリスの物語を初めから終わりまで一続きに語る古代エジプトの文献は、実は存在しない。ピラミッド・テキスト(古王国)以来の断片的な言及を、コフィン・テキストや新王国の讃歌が補い、最もまとまった筋書きは、ギリシアのプルタルコス『イシスとオシリスについて』(後1世紀頃)が伝える。したがって「完結した神話」は、ギリシア期の再構成に多くを負うことに注意がいる。

その伝えるところでは、大地の神ゲブと天空の女神ヌトの子オシリスは、人々に農耕と法を教えた善王であった。王位を妬む弟セトは、オシリスの体に合わせて作らせた美しい櫃に彼を誘い込み、蓋を閉じてナイルに流す。妻イシスが亡骸を取り戻すと、セトは今度は遺体を切り刻んで各地に撒いた。プルタルコスは十四の断片と記すが、異伝では十六とも四十二ともいう。イシスは妹ネフティスの助けを借りて破片を集めたが、魚に呑まれた男根だけは見つからず、黄金で象って補った。こうして甦ったオシリスとの間に、イシスは息子ホルスを身ごもる。オシリス自身は地上には戻らず、冥界ドゥアトの王として死者を統べることになった。

図像と象徴

オシリスは、白い布に包まれたミイラの姿で立つか座す姿に表される。肌はしばしば緑または黒く塗られ、これは芽吹く植物とナイルの黒い沃土、すなわち再生を象徴する。頭にはアテフ冠——両脇に羽根を添えた白冠——を戴き、胸の前で王権の標である曲杖(ヘカ)と殻竿(ネカカ)を交差させて握る。背骨をかたどったとされるジェド柱は、その安定と永続の象徴であり、護符として広く用いられた。死者の書の挿画では、天秤で死者の心臓を計る審判の場に、玉座して臨む主宰神として描かれる。

系譜と関係

ゲブとヌトの子で、イシス・セト・ネフティスと兄妹をなす。イシスとの子がホルスで、父の仇セトと王位を争う。太陽神ラーが昼の天空を巡るのに対し、オシリスは夜と冥界を統べる存在として対をなし、両者が夜ごと合一するという神学も説かれた。プトレマイオス朝には、聖牛アピス習合してセラピスという新たな神格が生み出され、ギリシア・ローマ世界へ広まった。

文化的足跡

死んで甦る神という主題から、ギリシア人はオシリスを自らのディオニューソスと同一視した(インテルプレタティオ・グラエカ)。ヘロドトス『歴史』第2巻がその記録である。死者が「オシリス某」と呼ばれてこの神と一体化する信仰は、王のみならず万人へと開かれ、アビュドスは巡礼の地として栄えた。再生する神の物語は、後世の宗教史・神話学において、繰り返し比較の対象とされてきた。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
ディオニューソス ギリシア神話 同一視
ヘロドトス『歴史』第2巻。ギリシア人がディオニューソスをエジプトのオシリスと同一視した記録(インテルプレタティオ・グラエカ)。
セラピス エジプト神話 同一視
オシリス・アピスを語源とし、エジプト国外の神殿ではイシスの配偶神の位置をオシリスに代わって占めた

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

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資料

Wikidata
Q46491 — 骨格データの出典
Commons
Osiris — 図像カテゴリ