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テイアー
PLATE — ΘΕΊΑ
HELLAS · ギリシア神話
ΘΕΊΑ

テイアー

テイア · エウリュパエッサ · アイトラー

Miguel Hermoso Cuesta CC BY-SA 4.0

ウーラノスとガイアの娘であるティーターンの女神。兄ヒュペリーオーンとのあいだに太陽・月・暁の三柱を生んだ、光の源とされる母である。

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解説

概要

テイアー(Θεία / Theia)は、ウーラノスガイアの娘で、ティーターン神族の一柱である。名は「神々しい女」を意味し、もともとは固有名ではなく形容の語であった。『ホメーロス風讃歌』はこの女神をエウリュパエッサ(「あまねく輝く女」)と呼ぶ。兄ヒュペリーオーンを夫とし、太陽ヘーリオス・月セレーネー・暁エーオースの三柱を生んだ。固有の物語をほとんど持たず、産んだ子によって位置づけられる神格である。

神話・物語

そのなかで例外的に、この女神を正面から讃えた詩がある。ピンダロス『イストミア第五歌』は、多くの名をもつ太陽の母テイアーに呼びかけ、人が黄金を何より力あるものとして敬うのはこの女神ゆえであり、海を競う船も競走の馬もその与える価値によって驚嘆に値するものとなるのだ、と歌う。古註はこれを「テイアーとヒュペリーオーンから太陽が生まれ、太陽から黄金が生まれた」と説明する。輝きそのもの、そして輝きが人に与える栄光を司る女神として意識されていたことになる。ピンダロスが「多くの名をもつ」と呼んだことについては、ポイベーレートーのような光と太陽の母という型の女神、さらにはレアーキュベレーのような大母神との習合を含意するという読みが提出されている。ただしこれは近代の解釈であって、詩人がそこまで意図したかは決めがたい。

もう一つ、シケリアのディオドーロスが伝える合理化された異伝がある(エウヘメリズムの典型例である)。そこではテイアーはバシレイア、すなわち「女王」と呼ばれる。ウーラノス王の長女で、思慮に秀で、弟妹を自ら育てたことから「大いなる母」の名を得た。父の跡を継いで王位につき、後継ぎを得るために弟ヒュペリーオーンを夫とし、ヘーリオスとセレーネーを産む。だが兄弟たちはこの幸福を妬み、ヒュペリーオーンが王権を独占するのを恐れて彼を殺し、ヘーリオスをエーリダノス河に沈めた。セレーネーもあとを追って死んだ。バシレイアが河のほとりで息子の亡骸を探して眠り込むと、夢にヘーリオスが現れ、嘆きを止めるように、自分と妹は神の摂理によって不死の性質に変えられ、天の聖なる火はヘーリオス(太陽)と呼ばれ、メーネーはセレーネー(月)と呼ばれるようになるだろう、と告げた。目覚めた彼女が人々にこれを語り、亡き二人を神として祀るよう求めたのが、太鼓と鐃鈸を打ち鳴らす祭の起源だという。神話を人間の王家の事件として説明し直す作法が、ここではっきり見てとれる。

プルタルコスは、これとは調子の違う小話を書き留めている。娘セレーネーが母に、自分の寸法に合う衣を織ってくれと頼む。母は織れないと答える。あるときは満ち、あるときは三日月となり、あるときは半分になって、同じ姿にとどまらないからである。イソップ寓話集に数えられることもある短い話だが、月の満ち欠けを母子の会話に置き換えたところに、この母娘の関係の理解が現れている。

図像と象徴

テイアーを名指した古代の作例はきわめて乏しい。崇拝の対象ではなく、系譜を成り立たせるために置かれた神格だったことの反映である。

本項に掲げたのは、ペルガモンの大祭壇東側の巨人戦争浮彫で、ヘーリオスの隣で若い巨人と組み合う女神像である。ペルガモンのフリーズは像の下の刳形に神名の銘が刻まれており、多くの人物が確実に同定できるのだが、この一体については銘が失われている。ヘーリオスの傍らにいることから母テイアーとみる推定が通説となっているにすぎない。掲載にあたっては、この同定が確定していないことを付言しておく。キュレネのネクロポリスからも、テイアーとされる女神像が出土している。

系譜と関係

父ウーラノス、母ガイア。同胞はオーケアノスコイオスクレイオス、ヒュペリーオーン、イーアペトスクロノス、レアー、テミスムネーモシュネー、ポイベー、テーテュースの十一柱で、あわせて十二のティーターンを構成する。ただしディオドーロスはテイアーをティーターンに数えていない。夫はヒュペリーオーン、子はヘーリオス・セレーネー・エーオース。

別名としてアイトラー(「澄んだ空」)を挙げる資料があり、ヒュペリーオーンの妻をアイトラーとする伝えは、この女神を指すとみられる。なお、オーケアノスの娘でケルコープスたちの母となった同名のオーケアニスは別の存在である。

文化的足跡

月の起源を説明するジャイアント・インパクト説では、原始地球に衝突したとされる仮説上の天体に「テイア」の名が与えられている。月の女神セレーネーの母であることにちなむ命名で、神話上の系譜がそのまま天体形成の比喩として使われた例である。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

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資料

Wikidata
Q184232 — 骨格データの出典
Commons
Theia (mythology) — 図像カテゴリ