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ロキ
PLATE — LOKI
NORÐR · 北欧神話
LOKI

ロキ

ロケ · Loptr · Lopt

ゴスフォース十字架(10世紀)の一面の模写/J・M・ペーターセン画、Finnur Jónsson『Goðafræði』(1913年)所収 PUBLIC DOMAIN

北欧神話のトリックスター。巨人の血を引きながらアース神族に列なる変身自在の狡知の神。神々を助けもし陥れもし、バルドルの死を招いてラグナロクの破滅へと導く。

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解説

概要

ロキ(Loki)は、北欧神話に語られる狡知の神である。父は巨人ファールバウティ、母はラウフェイで、スノッリは『ギュルヴィたぶらかし』第33章で、容姿は美しいが心はねじけ、気まぐれで、神々を窮地に陥れては策略で救い出す者と描く。巨人の血を引きながらアース神族のうちに数えられ、『ロキの口論』9節ではオーディンと血を混ぜて義兄弟の契りを結んだと語られる。別名にロプト、フヴェズルングがある。

名の語源は定まらない。古ノルド語の logi(炎)と結びつける説が古くからあるが、言語学的な裏づけは乏しい。後代のスカンディナヴィア各地の語形からは、輪・結び目・錠前にかかわるゲルマン語の語根 *luk- を想定する説も出されている。祭祀の痕跡は見つかっておらず、ロキは崇拝の対象というより物語のなかの存在だったと見られる。

神話・物語

ロキの行いは、神々に宝と危機の双方をもたらす。シヴの髪を刈り取った償いにドヴェルグに宝を作らせ、その結果、神々は槌ミョルニルや槍グングニルを得た(『詩語法』)。城壁を築く巨人の馬を惑わすために牝馬に化け、八本脚のスレイプニルを産んだ(『ギュルヴィたぶらかし』第42章)。巨人シャツィに脅されて女神イズンを引き渡し、神々が老い始めると鷹の羽衣を借りて取り戻した(『詩語法』、スカルド詩『ハウストロング』)。『スリュムの歌』では、盗まれた槌を探してフレイヤの羽衣で巨人の国へ飛び、花嫁に扮したトールの侍女を務める。

転回点はバルドルの死である。『ギュルヴィたぶらかし』第49章によれば、ロキは女に化けてフリッグから、ヤドリギだけがバルドルを傷つけない誓いを立てていないことを聞き出し、その枝を盲目のヘズに投げさせた。さらに、万物が泣けばバルドルは冥界から帰されるという条件に対し、女巨人ソックに化けて泣くことを拒んだのもロキだとされる。『ロキの口論』では、海の巨人エーギルの宴に乗り込み、居並ぶ神々の不品行を一人ずつ暴き立てる。

神々は鮭に化けて滝に隠れたロキを捕らえ、息子の腸で岩に縛りつけた。頭上にはスカジが毒蛇を据え、妻シギュンが器で毒を受けるが、器を空けるあいだに毒が顔に落ち、ロキの身悶えが地震になるという。どの息子の腸で縛られたかは、『ロキの口論』結びの散文と『ギュルヴィたぶらかし』第50章で食い違う。ラグナロクの日、ロキは縛めを解いて巨人の側に立ち、見張りの神ヘイムダルと相討ちになる。

図像と象徴

ロキを表す可能性のある古い図像はいくつかある。デンマークのスナプトゥンで出土した炉石(1000年頃)には口を縫い合わされた顔が刻まれ、ドヴェルグのブロックに唇を縫われた話(『詩語法』)と結びつけられる。イングランドのカークビー・スティーヴンの石と、本サイトが掲げるゴスフォース十字架(10世紀)の一面には、縛られた人物が刻まれている。ゴスフォースの場面は、器を掲げる女を伴うことから、縛られたロキとシギュンと解されている。図版は1913年刊の書物に載ったJ・M・ペーターセンによる模写である。

姿の定まらなさそのものが、この神の象徴である。牝馬、鮭、蝿、鷹(羽衣による)、アザラシ、老女へと姿を変える。アザラシの姿でヘイムダルと首飾りを争った話は、10世紀のスカルド詩『フースドラーパ』に拠る。

系譜と関係

父はファールバウティ、母はラウフェイ(ナールとも)。兄弟にビューレイストとヘルブリンディがいる。巨人の女アングルボザとのあいだに狼フェンリル、世界蛇ヨルムンガンド、冥界の女主人ヘルをもうけ、神々はこの三者をそれぞれ縛り、海へ投げ、ニヴルヘイムへ送った。妻シギュンとの子はナリ(ナルヴィとも)とヴァーリである。スレイプニルの母でもある。

『巫女の予言』で人間に血色を与える神ロズルをロキと同一視する説があるが、決着していない。

文化的足跡

キリスト教化ののちも、フェロー諸島のバラッド『ロッカ・タットゥル』では、巨人に狙われた農夫の子をロキが知恵で救う話が歌われた。19世紀以降の研究では、トリックスター論やジョルジュ・デュメジルの研究のように、この神の両義性そのものが主題となってきた。

近年は映画やコミック、ゲームで人気の登場人物となったが、トールの弟(養子)とする設定などは近代の創作であり、原典のロキ像とは異なる。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。

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資料

Wikidata
Q133147 — 骨格データの出典
Commons
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