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ピュートーン
PLATE — ΠΎΘΩΝ
HELLAS · ギリシア神話
ΠΎΘΩΝ

ピュートーン

ピュトン · ピュートン · デルピュネー

Gary Todd CC0

デルポイの地を守っていた大蛇。ガイアの子とされ、アポローンに射殺された。その名は巫女ピューティアーと祭典ピューティア大祭に残る。

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解説

概要

ピュートーン(Πύθων / Python)は、デルポイの地に棲んでいたとされる大蛇である。ガイアの子とされ、母の神託所と、大地の中心を示す石オンパロスを守っていた。アポローンがこれを射殺して聖域を奪ったことが、デルポイの神託がアポローンのものとなった由来として語られる。

登場する物語

異伝は主に二系統ある。『アポローン讃歌』では、神殿の地を探して各地を巡ったアポローンがデルポイに至り、人々を苦しめていた蛇を退治して、この地の神託所の主であると宣言する。この讃歌には蛇を雌のドラカイナとする箇所があり、性別の扱いは一定しない。

いま一つはヒュギーヌスの伝える筋である。レートーがゼウスの子を宿したとき、ヘーラーは妬みからピュートーンを遣わして各地に追わせ、出産を妨げようとした。生まれて四日目のアポローンはパルナッソス山へ向かい、蛇をデルポイのガイアの神託所まで追いつめ、巫女が三脚台に座す岩の裂け目のかたわらでこれを射た。前159年の詩句には、ピュートーンがレートーを犯そうとしたと解しうる記述もある。ソロイのクレアルコスは、追われるレートーが石の上に立ち、弓を手にした子に向かって「射よ、わが子」と叫んだと記した。デルポイで神託を乞う者の唱えた掛け声の由来を説く語りである。

母の聖地で流血を犯したアポローンは、ゼウスの命によって身を浄めることを求められ、その贖いとしてピューティア大祭を創始したとされる。神が罪を負い罰を受けるという構図は、ギリシア神話のなかでは目を引く。

図像と象徴

古代の作例において、ピュートーンはとぐろを巻く大蛇として描かれる。中世以降の西欧美術がこれをしばしば有翼の竜に置き換えたのとは異なり、ギリシアの図像は蛇の形を保った。ヘレニズム期の小品には、二人の幼子を抱えて蛇から逃れるレートーの姿を刻んだものがある。

デルポイの聖域において、蛇は退治された敵であると同時に、地下から立ちのぼる力の徴でもあった。前479年のプラタイアの戦勝を記念して奉献された青銅の「蛇の柱」は、三頭の蛇が絡み合って三脚台を支える形をとる。柱は後にコンスタンティノープルへ運ばれ、いまもイスタンブールの旧競馬場跡に残る。倒された蛇の形が、聖域の中心にある祭具そのものを支えている。

関わる伝承・神格

ガイアの子とされ、テューポーンと混同されることがある。カール・ケレーニイは、雌の竜デルピュネーと雄の蛇テューポーンという二体の記憶が後に一体へ融合した可能性を指摘した。ロバート・グレーヴズは、この神話をギリシア人による先住の聖域の奪取の反映と読み、地元の感情をなだめるためにピュートーンを弔う競技が定められたと解している。いずれも解釈であって、神話そのものが述べていることではない。

もっとも、殺された蛇が跡形もなく消えたわけではない。デルポイの巫女はピューティアーと呼ばれ、地名ピュートーは蛇の屍が腐る(πύθειν)ことに由来すると、ギリシア人自身が説明した。神託所の名も巫女の名も、征服された側の名を留めている。

文化的足跡

アポローンがピュートーンを射る場面は、古代から近代まで繰り返し造形されてきた。ベルヴェデーレのアポロンを、この退治の直後の姿と解する読みは16世紀以来根強く、新古典主義の彫刻や絵画にも同じ主題が引き継がれた。動物学でニシキヘビ属の学名 Python がこの蛇にちなむのは、19世紀の命名者が古典教養のなかから名を採った例である。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

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資料

Wikidata
Q15721 — 骨格データの出典
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Python (mythology) — 図像カテゴリ