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MUNDUS MYTHICUS · CH. 10 · GODS OF WAR

戦の神々

軍神は本サイトで百四十一柱、役割のなかで最も多い。だが「戦の神」という一つの名で呼ばれる神々が、実際に司っているものは同じではない。勝利か、規律か、狂気か、それとも死者の選別か。ギリシアは戦を二柱に割り、ケルトの戦の女神たちは剣を持たず、北欧のワルキューレは勝敗ではなく誰が死ぬかを決める。この章は、社会が戦の「何」を神に託したかを読む。

PLATE セクメト女神坐像
セクメト女神坐像, 前1390〜1352年(第18王朝・アメンヘテプ3世治世).
セクメト女神坐像(第18王朝)/THE METROPOLITAN MUSEUM OF ART, CC0

一つの社会が戦を二つに割った

ギリシアには軍神が二柱いる。アテーナーアレースである。

アテーナーは、戦術と規律の神である。甲冑を着て生まれ、都市を守り、英雄に助言を与える。アレースは、戦場の狂乱そのものである。ホメロスの『イーリアス』で、ゼウスはアレースに向かって「オリュンポスの神々のなかでお前が最も憎い」と言い放つ。同じ社会が、戦を「守るための規律」と「殺すための狂気」に切り分け、前者を讃え、後者を嫌った。

この分割は、ギリシアが戦をどう見ていたかを示している。市民が重装歩兵として密集隊形を組む都市国家では、規律は美徳であり、個人の狂乱は隊列を崩す悪徳だった。アテーナーは隊列であり、アレースは隊列を乱す者である。

ローマはこの分割を引き継がなかった。マールスは一柱で、規律も勝利も担い、しかも第9章で見たように農耕の守護神でもある。ローマ人にとって戦は狂気ではなく、国家の事業だった。

剣を持たない戦の女神

ケルトの戦の神々は、多くが女神であり、しかも剣を持たない。

マッハは、アルスターの男たちに呪いをかけて、いざというときに産みの苦しみで動けなくした。モリガンは鴉の姿で戦場の上を飛び、戦士に予言を告げ、恐慌を撒く。バズヴは戦場の鴉そのものである。彼女たちは戦わない。戦場に立ち、戦を左右し、しかし剣を振らない。

ここで戦の神が司っているのは、勝利でも規律でもなく、戦場の空気——恐怖と予兆と混乱——である。戦の帰趨を決めるのは武器ではなく、戦う者の心が折れるかどうかであり、それを司る者は剣を必要としなかった。ケルトの軍神十六柱は、本サイトでヒンドゥーに次いで多い。

誰が死ぬかを決める

北欧のワルキューレは、戦場で死ぬ者を選ぶ。勝敗ではなく、誰が斃れるかを決め、選ばれた者をヴァルハラへ連れていく。オーディンの意を受けて動くこの女性たちは、戦の神というより、戦死の神である。

ここでは戦は、生き残る者と死ぬ者を分ける装置として神話化されている。勝つことより、よく死ぬことが問われる。北欧の戦士がヴァルハラを望んだのは、勝利のためではなく、死に方のためだった。テュールは、狼フェンリルを縛るために自らの右手を犠牲にした。北欧の戦の神は、勝つ者ではなく、代価を払う者である。

守る戦と攻める戦

本サイトの役割の共起で、軍神と守護神を兼ねる神格は十五柱あり、これは共起の第二位である。戦の神の多くは、同時に境界を守る神でもある。

エジプトのセクメトは獅子頭の女神で、ラーの敵を殺戮し、王を守る。モントゥはテーベの軍神であり、王の武勇の守護者だった。エジプトの軍神十二柱は、いずれも王権の守護と結びついている。エジプトにとって戦は、国境の外にある敵から秩序を守ることであり、征服の狂気ではなかった。

アステカのウィツィロポチトリは、戦と太陽の神であり、太陽を動かし続けるために戦で捕虜を得て心臓を捧げることを求めた。ここでは戦は宇宙の維持であり、守ることと攻めることが一つになっている。

守る戦と攻める戦。軍神がどちらに寄るかは、その社会が戦をどこで戦ったかを示している。

ヒンドゥーの六十柱

本サイトの軍神百四十一柱のうち、六十柱がヒンドゥー神話に属する。ケルト十六、エジプト十二に対して、突出している。

だがこの数字を「インドが最も戦の神を多く持つ」と読んではならない。六十柱の大半は神ではなく、叙事詩の武人である。『マハーバーラタ』のアルジュナビーマカルナ。『ラーマーヤナ』の戦士たち。本サイトはこれらを記事化し、戦の役割を与えている。神としての軍神はスカンダドゥルガーなど、他の体系と変わらぬ数である。

ヒンドゥーの六十柱は、インドが二つの長大な戦争叙事詩を持ち、それが今日まで読まれ続けていることの反映である。第1章の原則がここでも働く。数は、何が書き留められ、何が読まれ続けたかを示している。

戦の何を託したか

問いに戻る。社会は戦の「何」を神に託したのか。

ギリシアは規律と狂気を分けて託し、ローマは国家の事業として一柱に託し、ケルトは戦場の恐怖と予兆を託し、北欧は死に方を託し、エジプトは秩序の防衛を託し、アステカは宇宙の維持を託した。同じ「軍神」という役割のもとに、これだけ違うものが集まっている。

役割ページの「軍神」は、この百四十一柱を一覧にしている。一覧を読むとき、その神が剣を持っているか、戦場に立っているか、誰を守り誰を殺すかを見てほしい。そこに、その社会が戦をどう見ていたかが書いてある。