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テルース
PLATE — TELLUS
ROMA · ローマ神話
TELLUS

テルース

テルス · テラ · テルース・マーテル

アラ・パキス東面 通称「テッルス浮彫」(前9年・大理石/ローマ)/Chris Nas, CC BY-SA 4.0 CC BY-SA 4.0

ローマの大地の女神。ウァロは国家の主要二十神の一柱に数えた。孕んだ牝牛を捧げるフォルディキディア祭で祀られ、ギリシアのガイアに対応する。

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解説

概要

テルース(Tellus)またはテラ(Terra)は、ローマの大地の女神。テルース・マーテル、テラ・マーテル(母なる大地)とも呼ばれる。ウァロはこの女神を、ローマの主要な二十柱(ディー・セレクティー)の一柱に、また十二の農耕神の一柱に数えた。固有の物語をほとんど持たないが、祭祀のうえでは古く重い位置を占め、とりわけ穀物を司るケレースと組にして祀られる。ギリシアのガイアに対応し、エトルリア人はケルと呼んだ。

神話・物語

物語を欠くこの女神について語れるのは、暦と儀礼と、名そのものである。

4世紀の注釈家セルウィウスは、テラとテルースを区別した。テラは四元素の一つとしての土を指し、テルースはその領域を司る女神の名である。火をウルカーヌスの名で、作物をケレースの名で、葡萄酒をリーベルの名で呼ぶのと同じ用法だという。近年ではミヒャエル・リプカが、アウグストゥス期に現れるテラ・マーテルはギリシアのゲー・マーテルの直接の移入であり、ポメリウムの内側に古い神殿を持つテルースこそ国家の神官が祀ってきた本来の大地女神である、と論じている。同じ「大地の女神」の名の下に、由来を異にする二つの層が重なっている。

神殿は前268年、ピケヌム人との戦いのさなかに地震が起きたとき、プブリウス・センプロニウス・ソフスが立てた誓願によって建てられた。オッピウス丘のカリーナエ地区にあり、ポンペイウスやキケロ一族の屋敷に近い。その場所にはかつて、王位を狙ったとして前485年に処刑されたスプリウス・カッシウスの家があり、取り壊された跡地が神殿に充てられた。奉献日は12月13日。堂内の壁にはイタリアを表す図が掲げられていたと伝えられるが、地図であったのか寓意であったのかは分からない。

祭は農耕の暦に沿う。1月の播種祭セメンティウァエでは、テルースとケレースがともに「実りの母」として祀られた。12月13日の神殿記念日にはケレースのための神饌の宴が営まれる。そして4月15日、ケリアリア祭(4月12〜19日)のただなかにフォルディキディアが置かれた。テルースに孕んだ牝牛を捧げるこの祭は、すでに大地の胎内で育ちつつある穀物の稔りを確かなものにするためであったと説明される。

将軍が自らの命と引き換えに敵軍の壊滅を願うデウォティオの誓文では、テルースが死者の霊マネスとともに呼ばれた。稔りを与える大地は、同時に死者を受け取る大地でもある。

図像と象徴

テルースは、横たわる姿、あるいは地面の穴から腰まで身を起こす姿で表される。持物は豊穣の角、花束、果実。男性の対をなすのは天空神カエルスや、ユピテルの一形態であり、テルーモーという男神と組にされることもあった。

本項に掲げるのは、アラ・パキスの東面を飾る通称「テッルス浮彫」である。実りに囲まれて二人の幼児を膝に抱く女神を刻む名高い一枚だが、この女神をテルースと見るか、イタリア、パクス、ウェヌスと見るかは今日も決着していない。長くテルースの名で呼ばれてきた慣例に従って掲げるが、同定は確定したものではない。センティヌム(現サッソフェッラート)出土のモザイクでは、永遠の神アイオーンの足下に横たわり、四季を表す四人の幼児を伴う姿で表された。こちらの同定に争いはない。

象徴として押さえるべきは、この女神が「大地そのもの」であって、大地から生じる力ではないという点である。オウィディウスは、テルースは生育の場であり、ケレースはそれを起こす働きだと書き分けた。場と作用を分けるこの整理は、ローマ人が大地をどう捉えていたかをよく示している。

系譜と関係

ローマの神としてのテルースに、系譜らしい系譜はない。ガイアと同一視されたことによって、カエルス(ウーラノス)の妻でありティーターンたちの母であるという位置づけが借り受けられた。ただしこれは受容の結果であって、ローマの祭祀がそう語っていたわけではない。

ウァロはテラ・マーテルをケレースと同一視し、大地を耕す者こそ敬虔で有益な生を送るのだと記した。豊穣の女神オプスや、大地母神として迎えられたキュベレーとも近接して語られる。

文化的足跡

テルースの名は近代にも残った。元素テルル(tellurium)はこの女神にちなむ。月の女神セレーネーに由来するセレンと周期表で隣り合っているのは、命名者クラプロートの意図によるものである。

ラテン語のテラは今日も地球そのものを指す語として生きており、英語をはじめとする諸言語の学術用語に入り込んだ。20世紀のSFでは、テラやテルスが地球の別名として定着し、そこから「テラフォーミング」という語も生まれている。大地の女神の名が、地球という天体の名になった。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
ガイア ギリシア神話 同一視
interpretatio romana。ローマの大地の女神テッルス(テラ・マーテル)と同一視
ケレース ローマ神話 同一視
ウァロはテラ・マーテルをケレースと同一視した。ただしオウィディウスは、テルースを生育の場、ケレースをそれを起こす働きとして書き分けている。
アエリクラ ケルト神話 同一視
ヌミディアのティビリス出土の二碑文がテッルース・マーテルと等置する。果実を盛った盆を持つ母神型の図像とあわせ、本来は大地の女神であったとする説の根拠とされる。
ケル エトルリア神話 同一視
大地の女神として対応する。ただしテルースがローマの農事暦と国家祭祀に組み込まれたのに対し、ケルには祭日も物語もほとんど伝わらない。

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資料

Wikidata
Q270867 — 骨格データの出典
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