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カエルス
PLATE — CAELUS
ROMA · ローマ神話
CAELUS

カエルス

コエルス · カイルス · カエルム

ミトラスへの祭壇(3世紀、カルヌントゥム博物館蔵)中央にカエルス、左右に四季の寓意/撮影: Wolfgang Sauber, CC BY-SA 3.0 CC BY-SA 3.0

ローマの原初の天空神。名はラテン語の「天」そのもので、ギリシアのウーラノスに対応する。帝政期にはミトラス教の祭壇に刻まれ、夜の相はカエルス・ノクトゥルヌスと呼ばれた。

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解説

概要

カエルス(Caelus、コエルス Coelus とも)は、ローマの原初の天空神。名はラテン語 caelum(空、天)と同語であり、英語の celestial の語源にあたる。生成する力として捉えられるときは男性形で呼ばれる。

ギリシアのウーラノスに対応する神とされ、サートゥルヌスによる去勢の神話もこの名で語り直された。ただし全面的な翻訳ではない。ローマ市内にこの神の祭祀が確認されていないことは事実だが、そこから「ギリシアからの輸入にラテン名を付けただけ」と結論する研究者ばかりではなく、夜の雷を司るスンマヌスとの関係から「純粋にローマ的」と見る立場もある。

神話・物語

物語の大半は、ギリシア神話をラテン語で語り直したものである。ラテン語版のサートゥルヌス神話では、天空の父の性器が切り取られて海に投げられ、そこからウェヌスが生まれる。この父の役をウーラノスから引き継いだのがカエルスである。

キケロは『神々の本性について』でこの去勢をストア派の寓意として読む。最も高い天のアイテール——万物を生む種子の火——は、生む働きを進めるのに人間の性器にあたるものを必要としなかった、という解釈である。マクロビウスは別の読みを示す。切断は、混沌(カオス)を、回転する天によって定められた確かな時間(サートゥルヌス)から切り分ける出来事なのだと。

系譜も文献によって割れる。キケロとヒュギーヌスによれば、カエルスはアイテールとディエス(昼)の子であり、ディエスとのあいだにメルクリウスをもうけた。トリウィアとのあいだにはローマ固有の神ヤーヌス、そしてサートゥルヌスとオプスが生まれたとされる。三柱いるとされるユーピテルのうち一柱の父でもある。ウァロはカエルスをテルースと対にして「父と母」と呼び、サモトラケの密儀の神学において「偉大な神々」と位置づけた。

図像と象徴

アウグストゥス期の美術に、この神は繰り返し現れる。プリマポルタのアウグストゥス像の胸甲では、太陽神の四頭立て馬車の上、最上部に髭を蓄えた壮年の男が置かれている。頭上に外套を掲げ、それが弧を描いてはためく——ウェリフィカティオと呼ばれる神格表現の定型であり、天蓋の丸みを想起させる。胸甲の下端に置かれた大地の擬人像と対をなす配置である。ただしこの二体をサートゥルヌスと大母神と見る説もあり、同定は完全には定まっていない。

本サイトが掲げるのは、カルヌントゥム博物館(オーストリア)が所蔵する3世紀のミトラス神への祭壇である。中央にカエルス、その左右に四季の寓意が配される。ミトラス教の碑文にこの神の名が現れるのは珍しくなく、帝政期にはこの信仰と結びついて名が広まった。

夜の相もある。カエルス・ノクトゥルヌス(夜のカエルス)は、星の輝く夜空の神である。プラウトゥスの一節では太陽神ソールの対立項として扱われた。エトルリアに由来する占いの体系では、カエルス・ノクトゥルヌスは太陽の対極、日の射さない北に置かれる。この配置が、鳥占いのための聖域(テンプルム)を地上に画定する際の基準線になった。天の神が、地面に線を引くための座標として機能したことになる。

系譜と関係

ギリシアのウーラノスに対応する。ローマ側の系譜では、アイテールとディエスの子とされることが多い。子はメルクリウス、ヤーヌス、サートゥルヌス、オプス。テルースとは対をなす。

天空神としてはユーピテルと同一視されることもあり、「至高至大なる永遠のカエルスたるユッピテル」と読める碑文が残っている。ウィトルウィウスは、この神を、神殿の建物を天に向けて開いたまま建てるべき天界の神々のうちに数えた。屋根を架けないことが祭祀の形式になっている神である。

文化的足跡

ニカイア公会議以前のキリスト教著述家ラクタンティウスは、カエルス、サートゥルヌス、ユッピテルというラテン語の神名を、プロティノス以来の新プラトン主義における三つの位格——第一の神、知性、可知的なものの子である魂——を指すために用いた。異教の神名が、哲学の術語として転用された例である。

ルネサンス期のオランダの人文学者ヘラルドゥス・ヴォシウスは、古代の宇宙論を論じるなかでカエルスを詳しく扱い、神であると同時に他の神々が住まう場所でもあるという二重性に注目した。カエルムは、空間としては大地・海・大気と並んで世界(ムンドゥス)を構成する要素の一つである。神の名が場所の名でもあるというこの重なりは、ラテン語の caelum が普通名詞であることの当然の帰結でもある。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
ウーラノス ギリシア神話 同一視
interpretatio romana。ラテン語文献はギリシアのウーラノスの位置にこの名を置き、サートゥルヌスによる去勢神話もカエルスの名で語り直される。ただしローマ市内に固有の祭祀は確認されておらず、ギリシアからの受容とみる説と、夜の雷神スンマヌスとの関係から純ローマ的とみる説がある。

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収載データなし
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資料

Wikidata
Q3360794 — 骨格データの出典
Commons
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