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アエリクラ
PLATE — AERICURA
CELTAE · ケルト神話
AERICURA

アエリクラ

エレクラ · ヘレクラ · アエラクラ

Florian Hoffmann CC BY-SA 3.0

ライン地方を中心に碑文だけで知られる冥界の女神。ディス・パテルの配偶として現れ、果実を盛った盆を膝に置く姿で表された。

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解説

概要

アエリクラ(Aericura)は、ローマ期のラテン語碑文からのみ知られる冥界の女神である。名の綴りは資料ごとに大きく揺れ、エレクラ、ヘレクラ、アエラクラなど多様な形で現れる。古代の著述家は誰ひとりこの女神に言及しておらず、その存在はもっぱら奉献碑と呪詛板によって確かめられる。多くはディス・パテルと対で呼ばれ、地下の夫婦を構成した。ケルト系の女神と見るのが一般的だが、ゲルマン系説、イリュリア系説もある。

神話・物語

物語は伝わらない。分かるのは分布と用法である。

碑文はおよそ二十点あまりで、その大半がゲルマニア・スペリオル(ライン上流域)に集中する。ほかにイタリア、ノリクム・パンノニア・ラエティアといったドナウ・アルプス諸州、そしてガリア、ダキア、ブリタンニア、北アフリカに散発的な例がある。アクィレイア、カルヌントゥム、カールスルーエ近郊のズルツバッハからは、ディス・パテルとの共同奉献の祭壇が出土した。エトルリアのペルシア(現ペルージャ)では、ある夫婦が誓願を果たして彼女の社を修復している。単独でも祀られていた。

呪詛板における役割ははっきりしている。2世紀から4世紀の、ノリクムのファウィアーナエ、カルヌントゥム、パンノニアのアクィンクム、ラエティアのブリガンティウム(現ブレゲンツ)から出た鉛板は、ディス・パテルあるいはプルートーとともにこの女神の名を呼び、名指した人物を捕らえて地下の力に引き渡すよう求める。魂の導き手メルクリウス、死者の霊マーネース、三つ首のケルベロスと並べて唱えられることもある。ファウィアーナエの一枚は彼女を「地下のユーノー」と呼び、プルートーを「地下のユーピテル」として対に置いた。

図像と象徴

表現は一定している。座した姿で、膝に果実を盛った籠あるいは盆を置く。ライン地方の母神像(マートレース、マートローナエ)の型をそのまま踏んでおり、冥界の女神というより実りの女神に見える。バート・カンシュタットから出た二体の座像がその例で、主画像に掲げたのはそのうちの一体である。ズルツバッハの祭壇では、長衣をまとって果実の盆を持つ彼女の隣に、巻物を広げたディス・パテルが座る。

死と実りが同じ像に同居することは、この女神をめぐる解釈の中心にある。ヌミディアのティビリスから出た二つの碑文は彼女をテッルース・マーテル(母なる大地)と等置しており、もとは大地の女神であったものが、ディス・パテルの傍らに置かれるなかで冥界の側へ引き寄せられたと見る説がある。生まれ、死に、また生まれるという循環が、両者を結ぶ理屈として持ち出されてきた。

もっとも詳しい図像は、4世紀後半のアッピア街道沿いの地下墓「ウィビアの墓」にある。死んだ女ウィビアが冥界の神にさらわれ、玉座に着いたディス・パテルとアエラクラの法廷に引き出され、最後に至福の者たちの宴へ導かれるまでが、連続した画面に描かれる。二柱の名は図の上に書き添えられ、傍らには三柱の運命の女神が控える。本来ならプロセルピナが座るべき位置に、属州の女神が据えられていることになる。

系譜と関係

配偶はディス・パテル。この組み合わせは、西方属州でよく見られる型——男神はラテン名を、女神は土地の名を保つ——に従っている。プロセルピナの位置を引き受ける形で現れることが多く、実際にしばしば同一視された。ブリタンニアのコルブリッジからは、アレクリウスという男性形の神名を刻んだ奉献碑が一点だけ出ている。ヤン・デ・フリースは、この女神の奉献が集中する南ドイツと北西バルカンが、槌を持つ神スケッルスの分布と重ならないことに注意を促した。

文化的足跡

この女神は、名前の綴りをめぐる議論の対象であり続けてきた。ジェルジ・ネーメトは、実際に石に残る文字だけを数えると語頭の H はほとんど校訂者が補ったものであり、原形はエーレクラ(Ērecura)であったと論じている。名の由来も定まらない。ケルト語とする見方が一般的で、クサヴィエ・ドラマールは「西風」を意味する *Eri-cura と読む案を出したが、確証はない。文献にただの一度も現れず、碑文の綴りすら一定しない女神をどう扱うか——アエリクラは、属州の宗教を復元する作業の難しさをそのまま体現している。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
プロセルピナ ローマ神話 同一視
呪詛板とアッピア街道の『ウィビアの墓』の壁画で、ディス・パテルの配偶としてプロセルピナの位置を占める。ファウィアーナエの鉛板は彼女を『地下のユーノー』と呼ぶ。属州で在地の女神名が古典神の位置を引き受けた例。
テルース ローマ神話 同一視
ヌミディアのティビリス出土の二碑文がテッルース・マーテルと等置する。果実を盛った盆を持つ母神型の図像とあわせ、本来は大地の女神であったとする説の根拠とされる。
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資料

Wikidata
Q381126 — 骨格データの出典
Commons
Erecura — 図像カテゴリ