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ケル
PLATE — CEL
ETRUSCAN · エトルリア神話
CEL

ケル

セル · ケル・アティ · cel

Sailko CC BY 3.0

エトルリアの大地の女神。暦の九月はその名にちなむとされ、巨人ケルスクランの母とされる。ローマのテルースにあたる。

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解説

概要

ケル(エトルリア語 cel)は、エトルリア神話の大地の女神である。エトルリアの暦で九月にあたる月ケリは、この女神の名に由来すると見られている。ギリシアのガイア、ローマのテルースに対応する。

ピアチェンツァの肝臓では十三番目の区画に名が置かれており、天空の区画を扱う占いの体系のなかに位置を持っていた。

神話・物語

伝わる物語は一つだけである。ケルは巨人ケルスクランの母であった。前5世紀の銅鏡には神々と巨人の戦い(テオマキア)が刻まれ、「ケルの子」を意味する名を持つこの巨人が、軍神ラランに攻めかかられている。

大地の女神が巨人を産み、それが天の神々と戦うという型は、ギリシアのガイアとギガンテスの物語と重なる。エトルリアがギリシアの筋を受け取ったのか、それとも同じ観念が別に育ったのかは決めがたい。ただし「ケルの子」という名の作りは、ギリシアの神名を音写したものではなく、エトルリア語で組み立てられている。

トラシメーノ湖に近いカスティリオーネ・デル・ラーゴの聖域からは、この女神に捧げられた青銅の奉献小像が五体出土した。それぞれに mi celś atial celthi と刻まれており、「わたしは母なるケルのもの、ここに(この聖域で)」と読まれる。ケル・アティ——母なるケル——という呼び方が、トゥランの「トゥラン・アティ」と同じ形であることは、エトルリアの女神を母として呼ぶ習いを示している。

図像と象徴

この女神を確実に表すと言える作例は知られていない。本項に掲げたのは、その子ケルスクランがラランに攻められる場面を刻んだポプローニア出土の銅鏡である。この一面が、ケルをめぐるほとんど唯一の物語の証拠にあたる。

別の銅鏡には、下半身が植物でできた女神が蛇の脚を持つ巨人たちとともに描かれており、これをケルと見る説がある。大地から生え出る姿として読めば理屈は通るが、名の銘がないため確かめようがない。

系譜と関係

子はケルスクラン。配偶は伝わらない。名を「母」とともに呼ぶ奉献銘のほかに、系譜を語る資料はない。

ガイアやテルースと同じく、大地そのものを神格化した女神である。ただしガイアが世界の生成を語る系譜の起点に置かれ、テルースがローマの農事暦に組み込まれたのに対し、ケルには物語も祭日もほとんど伝わらない。残っているのは、暦の月の名と、肝臓模型の一区画と、五体の小像である。

文化的足跡

月の名としてケリが残ったことは、エトルリアの暦に神名が用いられていたことを示す。トゥランにちなむ七月とあわせて、この暦の構造を推し量る手がかりになっている。もっとも、エトルリア暦の月名の多くはラテン語形でしか伝わらず、復元は部分的である。大地の女神の名が秋の月に置かれていたことは、収穫の季節との結びつきを想わせるが、祭儀の記録がそれを裏づけているわけではない。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
ガイア ギリシア神話 同一視
大地そのものを神格化した女神という機能の一致による。巨人ケルスクランの母とされる点も、ガイアとギガンテスの関係に対応する。
テルース ローマ神話 同一視
大地の女神として対応する。ただしテルースがローマの農事暦と国家祭祀に組み込まれたのに対し、ケルには祭日も物語もほとんど伝わらない。
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資料

Wikidata
Q5057411 — 骨格データの出典
Commons
Cel (goddess) — 図像カテゴリ