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アトゥム
PLATE — JTM(W)
AEGYPTVS · エジプト神話
JTM(W)

アトゥム

アトム · テム · トゥム

The Metropolitan Museum of Art, CC0 CC0

エジプト神話の原初の創造神。混沌の水から自ら生じ、最初の一対の神を生んでヘリオポリスの九柱神を始めた。沈む太陽をも司る。

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解説

概要

アトゥム(エジプト語 jtm(w))は、ヘリオポリスの神学において万物に先立つ創造神である。名は「完成する」「終わる」を意味する動詞 tm に由来し、「すべてを備えた者」とも「終わらせる者」とも解される。始まりと終わりの双方を担うこの両義性が、アトゥムの性格を貫いている。ピラミッド・テキスト以来の最古層の資料に頻出し、新王国以降は太陽神ラーと結ばれてラー・アトゥムとも呼ばれた。

神話・物語

世界の初めには、ヌンと呼ばれる原初の水があるばかりであった。アトゥムはその中から自ら生じ、あるいは水中の卵から現れて、ベンベンと呼ばれる最初の丘の上に立つ。次いで大気の神シューと湿気の女神テフヌトを生んだ。その方法については資料が割れており、口から吐き出したとする説、唇から発したとする説、そして自らの手によったとする説がある。エジプト語で「手」が女性名詞であることから、この手は神の配偶者として神格化され、イウサアスやネベト・ヘテペトの名で祀られた。

二神が原初の水を探りに出て姿を消したとき、アトゥムは自らの目を遣わして捜させた。目が戻ったときには新しい目がその場所にあったため、怒る目を額のコブラに据えてなだめたという。再会の涙から人間が生まれたとする語りも、この場面に結びつけられる。エジプト語で涙と人を表す語が近い音をもつことによる。

コフィン・テキストには、アトゥムがオシリスに世界の終わりを告げる一節がある。数百万年ののち、創られたものはことごとく原初の水へ還り、蛇の姿となった自分とオシリスだけが残るという。創造神が同時に終末を語る点で、この記述はエジプト思想のなかでも際立っている。

図像と象徴

アトゥムは、上下エジプトを合わせた二重王冠を戴く人の姿で表されるのが基本で、この点に王権との近さが表れている。王を「アトゥムの子」と呼ぶ表現はピラミッド・テキストにすでに見え、王権の正統性を原初へ遡らせる装置として働いた。

太陽としての相では、朝の甲虫の姿の神ケプリ、日中のラーに対して、沈みゆく夕陽を担う。老いて杖にすがる姿で描かれることがあるのはこのためである。『死者の書』には、原初の水から蛇として立ち現れる姿も語られる。毎朝脱皮して若返る蛇は、自己更新する創造神にふさわしい像であった。マングースや獅子の形をとる例も知られる。

系譜と関係

自ら生じた神であり、親をもたない。子はシューとテフヌト、孫がゲブヌト、曾孫がオシリス・イシス・セト・ネフティスで、これら九柱がエネアドをなす。一方メンフィス神学は、アトゥムその人をプタハが思考と言葉によって存在させたと説き、ヘリオポリスの体系をメンフィスの下位に置き直した。創世神学の複数性は、都市間の主張の複数性でもある。

文化的足跡

ヘリオポリスに祀られたベンベン石は、後のオベリスクやピラミッドの冠石の原型と考えられている。太陽の光が最初に触れる尖端という観念は、エジプト建築を貫く主題となった。混沌の水から丘が現れて世界が始まるという構図は、ナイルの増水が引いたあとに現れる土地の姿を映したものとしてしばしば説明される。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
ムネウィス エジプト神話 同一視
アトゥム・ラーの物質的な現れ、太陽神のバアとされた。ヘリオポリス神学
ラー エジプト神話 同一視
ヘリオポリス神学における創造神アトゥムとの習合。アトゥム・ラー(ラー・アトゥム)

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

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資料

Wikidata
Q170569 — 骨格データの出典
Commons
Atum — 図像カテゴリ