梵天
ぼんてん · 梵天勧請 · サハンパティ
仏教の天部の一尊で、梵天界の主。ヒンドゥーの創造神ブラフマーが仏法の守護神として取り入れられたもので、仏教は創造神を認めない。悟った直後に説法をためらう釈迦に教えを説くよう勧めた(梵天勧請)。帝釈天と対をなし、十二天の一尊。
解説
概要
梵天(パーリ語 Brahmā)は、仏教の天部の一尊である。仏教の世界観において最高位の一つである梵天界(ブラフマローカ)の主。十二天の一尊として天(上)を守護する。梵はブラフマンの漢訳。
帝釈天と対になって祀られることが多く、両者を併せて「梵釈」と称することもある。
教義と伝説
バラモン教の神ブラフマーが仏教に取り入れられ、仏法の守護神とされ、梵天と称されるようになった。ブラフマーは、古代インドにおいて万物実存の根源とされた「ブラフマン」を神格化したものである。
仏教では創造神という概念を否定する。この世界や輪廻転生の摂理は因果によって生じたのであり、創造神はいない。『大悲経』によれば、梵天は我こそが世界の創造神であると称していたが、釈迦によってその誤りを正されたという。
仏教の伝説では、悟りを開いた直後の釈迦は、その教えを広めることをためらったが、教えを広めるよう勧めたのが梵天サハンパティとされ、この出来事は梵天勧請と称される。
仏教の教義では、天界の神々も衆生にすぎず、不死ではなく、死ねば他の衆生同様に六道のいずれかに輪廻転生するとされる。天界の神々も仏法に教化されて解脱することを望んでいるのだと解釈する。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、京都・東寺講堂の梵天像である(9世紀)。四面四臂で鵞鳥の上の蓮華に坐す。
日本の密教図像では、四面四臂で鵞鳥に乗る姿が定型である。四面はブラフマーの四つの顔を、鵞鳥(ハンサ)はブラフマーの乗物を引き継いでいる。ただし奈良時代の作例では、唐風の衣をまとった貴人の姿で帝釈天と対をなす。
系譜と関係
帝釈天と対をなす。十二天の一尊。摩利支天の父とする伝えもある。
文化的足跡
梵天勧請の物語は、パーリ経典の『律蔵』大品や『相応部』をはじめ、初期経典に繰り返し語られる。
なお仏教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその尊格の伝承と図像に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。