ガウタマ
ゴータマ · アハリヤーの夫 · ガウタマ (リシ)
サプタルシの一人に数えられるヴェーダの聖仙。妃アハリヤーをインドラに欺かれ、神と妻の双方に呪いをかけた説話で知られる。
解説
概要
ガウタマ(Gautama / गौतम)は、サプタルシ(七聖仙)の一人に数えられるヴェーダの聖仙である。ゴータマとも呼ばれる。妃は五人の貞女(パンチャカニヤー)の一人アハリヤー。彼女をインドラに欺かれたことによる呪いの説話で最もよく知られる。なお、仏教の開祖ゴータマ・シッダールタの氏族名も同じガウタマであるが、両者は別の存在である。
神話・物語
『リグ・ヴェーダ』のいくつかの讃歌が彼に帰され、アンギラス族の系譜に置かれる。ニヤーヤ学派の根本典籍『ニヤーヤ・スートラ』の著者アクシャパーダ・ガウタマや、法典『ガウタマ・ダルマスートラ』の著者と同一視されることもあるが、これらは別人とみるのが通例である。
最も広く語られるのはアハリヤーの説話である。ブラフマーが作った最も美しい女アハリヤーを妻としていたが、彼女に懸想したインドラが、夜明け前に鶏の声を真似て彼を沐浴に出し、彼の姿を装って庵に入った。戻った彼は事の次第を知り、インドラを呪って千の女陰を身に刻み、妻をも石に変えた——あるいは長く姿を隠して苦行する定めを与えた。伝本により処遇は大きく異なり、彼女に非を認める版と、欺かれた被害者とする版が並存する。呪いは、のちに『ラーマーヤナ』でラーマがその地を訪れたときに解かれた。
『マハーバーラタ』に登場するクリパとクリピーの父シャラドヴァットは、彼の子孫にあたる。クリパがガウタマの名で呼ばれるのはこのためである。
図像と象徴
固有の像容は伝わっておらず、独立した礼拝像の伝統もない。図像に現れるとすれば、アハリヤーの解呪の場面にラーマとともに配される姿である。象徴となるのは呪いの言葉であり、聖仙の怒りが神と妻の双方を罰するという構図が、この人物の物語を規定している。
系譜と関係
アンギラス族に属し、妃はアハリヤー、子にシャタナンダがある。子孫にシャラドヴァットがあり、その子がクリパとクリピー、クリピーの子がアシュヴァッターマンである。
文化的足跡
北斗七星の一つに配される。ガウタマのゴートラは広く見られ、クリパが同じ名で呼ばれるのもこの系譜による。アハリヤーの説話は近現代の再話でとりわけ多く取り上げられており、彼女の同意の有無、そして罰が誰に下されるべきかをめぐる議論の題材となってきた。原典の複数の伝本がこの点について一致していないこと自体が、議論の出発点である。