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パイア
PLATE — ΦΑΙ͂Α
HELLAS · ギリシア神話
ΦΑΙ͂Α

パイア

クロムミュオーンの牝猪 · クロミュオーンの牝豚 · パイアー

Twospoonfuls (2008) CC BY-SA 4.0

コリントス地峡のクロムミュオーンを荒らした牝の猪。テーセウスが退治した。育て親の老女の名からパイアとも呼ばれる。

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解説

概要

パイア(Φαῖα / Phaia)は、コリントス地峡のクロムミュオーンを荒らした牝の猪である。クロムミュオーンの牝猪とも呼ばれる。テューポーンエキドナの子とされ、テーセウスがアテーナイへ向かう途上で退治した。パイアという名は、この猪を育てた老女の名から取られたものだと伝えられる。

一説に、カリュドーンの猪はこの牝猪の子であるという。地名を冠した猪という災いの型が、血縁によって結ばれていることになる。

登場する物語

テーセウスは、トロイゼーンからアテーナイへ向かうにあたり、安全な海路ではなく危険な陸路を選んだ。父の跡を継ぐにふさわしい者であることを、自ら示すためである。道中で六人の悪者と一頭の獣を、それぞれが用いた手口で討ち取っていく。棍棒のペリペーテース、松の木で人を裂いたシニス、そして三番目がこのクロムミュオーンの牝猪であった。以下、足を洗わせて崖から蹴り落としたスキーローン、格闘を強いたケルキュオーン、寝台に合わせて人を伸ばし切り縮めたプロクルーステースと続く。

この猪は人々を殺し、あるいは農民に害を与えていた。他の五人が人間であるのに対し、一頭だけ獣が混じっている点は古代から意識されていたらしく、プルータルコスは別の説を書き留めている。パイアとは実は「クロムミュオーンの猪」と綽名された残忍な女盗賊であり、その振る舞いの粗暴さゆえに獣の名で呼ばれたのだ、というのである。神話を合理化して読む作法の一例で、獣が人に読み替えられている。

図像と象徴

テーセウスの功業を環状に配した壺絵のなかに、この猪は繰り返し現れる。本項に掲げたのは、ウルチ出土のアッティカ赤絵式キュリクス(前440年から前430年頃、大英博物館 E 84、コドロスの絵師)である。中央の円形にミーノータウロスを置き、周囲に時計回りでケルキュオーン、プロクルーステース、スキーローン、牡牛、シニス、そして牝猪が配される。一枚の器に功業の全体を収める構図であり、個々の場面はごく簡潔に表される。

猪の場面では、テーセウスが棍棒あるいは剣を振り上げ、後脚を折った猪がのけぞる姿が定型となる。育て親の老女パイアが猪の傍らに座る図もあり、この場合は名の由来となった人物が明示されていることになる。

関係する神格・退治した英雄

退治したのはテーセウス。親はテューポーンとエキドナとされ、キマイラオルトロスと兄弟にあたる。カリュドーンの猪の母とする説がある。ギリシアの英雄譚では猪が繰り返し災いの姿を取り、エリュマントスの猪、カリュドーンの猪とあわせて三頭が知られる。いずれも耕地と人里を荒らす獣であり、農耕社会にとっての現実の脅威が神話の形を取ったものと理解される。

文化的足跡

テーセウスの功業のなかで、この猪だけが獣であることは、ヘーラクレースの十二功業を範として構成されたというこの英雄譚の性格をよく示す。民主政期のアテーナイが、ドーリス人のヘーラクレースに対抗する自前の英雄を必要としたという理解が広く受け入れられており、獣退治はその模倣の一環にあたる。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

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資料

Wikidata
Q1751992 — 骨格データの出典
Commons
Crommyonian Sow — 図像カテゴリ