ケルキュオーン
ケルキュオン · Cercyon · Kerkyōn
エレウシースで旅人にレスリングを強いて殺していた男。テーセウスがアテーナイへ向かう途上で、技によってこれを殺した。レスリング技術の起源譚とされる。
解説
概要
ケルキュオーン(Κερκυών)は、ギリシア神話の人物の名である。主として二人が知られる。
同名の人物たち
ブランコスの子。 ブランコスとニュンペーのアルギオペーの子。あるいはヘーパイストスの子、あるいはアムピクテュオーンの娘とポセイドーンの子で、トリプトレモスと異父兄弟。娘アロペーの父である。
エレウシースで旅人にレスリングの試合を強い、負けた者を殺していた。しかしテーセウスがアテーナイへ向かう途中にこれを殺した。レスリングの技で殺したとも、武器で殺したともいう。
娘アロペーが密かにポセイドーンの子ヒッポトオーンを産んだので、怒ってアロペーを殺した。エレウシースにはアロペーの墓と、ケルキュオーンがレスリングに使った競技場が残っていたという。
アガメーデースの子。 アルカディアの王ステュムパーロスの子アガメーデースの子で、ヒッポトオスの父。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。ただしテーセウスの功業を描いた壺絵には、レスリングの場面がしばしば現れる。
第一のケルキュオーンは、旅人に強制的な試合を課して殺すという型に属する。アミュコス(拳闘)、アンタイオス(レスリング)と同じである。テーセウスの功業は、こうした「街道の悪人」を退治することで構成されている。
テーセウスがレスリングの技によって殺したという伝えが注目される。力でなく技で勝つ——パウサニアースは、テーセウスがレスリングの技術を発明したと記す。この試合が、技術としてのレスリングの起源譚になっている。
関わる神格・伝承
第一の討ち手はテーセウス。娘はアロペー、孫はヒッポトオーン。ヒッポトオーンはアテーナイの十部族の一つの名祖となった。
文化的足跡
日本語圏では、テーセウスがアテーナイへ向かう途上で退治した悪人の一人として言及される。シニス、スケイローン、プロクルーステースと並べて紹介されることが多い。