ウニ
ユニ · ウニ=アストレ
エトルリアの最高女神。婚姻と出産と女性を司り、成人したヘルクレに乳を与えて神の一員に加えた。ローマのユーノーにあたる。
解説
概要
ウニ(エトルリア語 uni)は、エトルリア神話の最高女神である。婚姻・出産・家族と女性を司り、ペルージャの守護女神でもあった。夫は天空神ティニア、娘はメンルヴァで、この三柱がカピトーリーヌスの三神の原型をなす。ローマのユーノー、ギリシアのヘーラーにあたる。
名の語源は定まらない。「若い」を意味する印欧語の語根と結びつける案があり、豊穣と婚姻を司る性格に響き合う。逆にラテン語のユーノーがエトルリア語から入ったとする見方も出されている。
神話・物語
もっとも名高い場面は、エトルリアの銅鏡に刻まれている。ヴォルテッラ出土の一面は、成人した半神ヘルクレがウニの乳房に口をつける姿を描き、居並ぶ神々のなかでティニアが板を指し示す。板には「この図はヘルクレがウニの子となったさまを示す」と刻まれている。
この主題の出所はギリシアにある。ヘーラーがゼウスに騙され、知らぬまま乳飲み子のヘーラクレースに乳を与えて我が子としたという筋である。だがエトルリアの図では、ヘルクレは大人であり、ウニは進んで乳を与えている。この形はエトルリアで独自に育ったものと広く認められており、多くの研究者はこれを英雄が神に列する通過儀礼の場面と読む。ヘーラクレースという名が「ヘーラーの栄光」を意味することを、エトルリア側の語り直しのほうが正しく捉えていると見る説もある。
パリスの審判——エトルリアではエルクスントレの審判——も鏡に繰り返し現れる。メンルヴァ、トゥラン(ギリシアのアプロディーテーにあたる)と並んで裁定を受ける三柱の一人だが、ウニの持物だけがギリシアの筋と対応しない。裸身で描かれる例もあり、三つの実をつけた柘榴の枝を持つ例もある。ギリシアの伝承で彼女が差し出す「政治的な権力」ではなく、実りそのものを示すものと解されている。
図像と象徴
山羊皮の外套とサンダルをまとい、盾を手にした姿で表されることが多い。ローマのユーノー・ソースピタの図像とよく似る。婚礼の被り物をかぶった姿、あるいは完全な裸身で描かれる例もある。ローマ北方のヴィッラ・ジュリア美術館が蔵する女神の胸像は、この女神を表したものとされる。
系譜と関係
夫はティニア、娘はメンルヴァ。リウィウス『ローマ建国以来の歴史』第5巻は、ユーノーがウェイイのエトルリア人の女神であり、前396年にウェイイが陥落したときに儀礼を経てローマの神々に迎え入れられたと記す。これはウニを指すと見られている。
ピュルギの北の社は前500年ごろに建てられた。ピュルギの金板は、その奉献先を unialastres——ウニとフェニキアのアスタルテを重ねた女神——と記す。エトルリアの女神が、地中海の交易のなかでフェニキアの女神と一つに結ばれていたことになる。
文化的足跡
ローマのカピトーリウムの三神殿は、ティニア・ウニ・メンルヴァの組をそのまま移したものである。多くの研究者は、この三柱組がエトルリアの慣習からローマへ持ち込まれたと考えており、エトルリアではウニとメンルヴァが、ローマのユーノーとミネルウァよりも大きな役割を担っていたとされる。ローマ国家の中心に立つ三神殿が、実は他民族の女神二柱を含む構成であったことになる。