メンルヴァ
メネルヴァ · メンフラ
エトルリアの戦と知恵と技芸の女神。ギリシアのアテーナーと重ねられたが、雷を投げるという固有の性格を持つ。ローマのミネルウァの母型。
解説
概要
メンルヴァ(エトルリア語 menrva、メネルヴァとも)は、エトルリア神話の戦・技芸・知恵・医術の女神である。ティニアとウニの娘で、この三柱がカピトーリーヌスの三神の原型をなす。ローマのミネルウァは、その性格の多くをこの女神から受け継いだ。
ギリシア化したエトルリア人はメンルヴァをアテーナーの対応神と見たが、両者を同じ神とすることはできない。ギリシアから輸入された神ではないことを示す固有の性格が、いくつも残っている。
神話・物語
エトルリアの銅鏡に描かれる場面は、多くがギリシアの物語である。エトルリアでとりわけ好まれたのはエルクスントレの審判——ギリシアのパリスの審判——で、メンルヴァはウニ、トゥランと並んで裁定を受ける。差し出す物は槍と花冠で、戦における栄光を約束するというギリシアの筋と対応している。
英雄の守り手としても現れる。ヘルクレとペルセに付き添う姿が多く、プラエネステ出土の銅鏡では二人のグライアイに助言を求めるペルセに従い、別の一面ではメドゥーサの首を高く掲げ、座るペルセとヘルメースとともに、足元の水面に映る顔を安全に眺めている。ボルセーナ出土の前300年ごろの鏡では、プロメーテウスの解放の場に立ち会い、エスプラケ(アスクレーピオス)が胸に手当てを施す。これらの図は祭祀の実際よりも、文献を絵にしたものと見るのが妥当である。
図像と象徴
ギリシア風の作例では、ゴルゴンの面をつけた胸当て、兜、槍、盾を備える。ある鏡の裏面には、父ティニアの頭から生まれ出る場面が刻まれている。
しかし、より本来のエトルリア的な姿では、この女神は雷を投げる者として描かれる。マルティアヌス・カペッラは彼女をエトルリアの九柱の雷神の一人に数えており、雷を手にする図像はエトルリアのメンルヴァに固有のものである。ギリシア人がアテーナーに天候の力を認めたことは一度もない。ここに両者の別が最もはっきり現れている。ベルリン旧博物館が蔵する前500年ごろの中部イタリア産の青銅像は、この女神を表した奉献品である。
系譜と関係
父はティニア、母はウニ。名はイタリアに固有のもので、エトルリア起源の可能性さえある。「measure する者」を意味するイタリック語の月の女神 Meneswā にさかのぼり、エトルリア人が古ラテン語の Menerwā を受け取って menrva と呼んだとする説が広く採られているが、異論もある。カール・ベッカーは、この名が印欧祖語の「思う」を意味する語根 *men- を含むと見る。名の流れがローマからエトルリアへか、その逆かは決着していない。
文化的足跡
ローマのミネルウァは、この女神を経てアテーナーの性格を受け取った。カピトーリウムの三神殿にユーノーとともに並ぶという構成そのものが、エトルリアの慣習の移植である。多くの研究者は、エトルリアにおいてウニとメンルヴァが、ローマの対応神よりも大きな役割を担っていたと見ている。ポプローニア(エトルリア語ププルナ)が打った前3世紀の銀貨には、三本の羽根飾りをつけたアッティカ式の兜をかぶるメンルヴァの横顔が刻まれ、都市の守護女神としての位置を伝えている。