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ソーラーヌス
PLATE — SORANUS
ROMA · ローマ神話
SORANUS

ソーラーヌス

ソラヌス · アポロー・ソーラーヌス · シュリ(エトルリア)

Albarubescens CC BY-SA 4.0

ソラクテ山で祀られたイタリア中部の神。その祭司は熾火の上を歩いたと伝えられ、ローマ人はこの神をディス・パテルと、のちにアポローと重ねた。

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解説

概要

ソーラーヌス(Sōrānus)は、ローマの北方に立つソラクテ山で祀られた神である。ローマ固有の神ではなく、サビニ人・ファリスキー人・カペーナ人といったイタリア半島中部の諸族が崇めた神格で、ローマの著述家はこれをディス・パテルと重ね、のちにはアポローの添え名としても扱った。石灰岩の孤峰が平野に屹立し、その山腹の洞穴から窒息するほどの気体が噴き出すという土地の性格が、この神を地下の神として説明する下地になっている。

神話・物語

最もよく知られるのは、その祭司たちの所作である。ヒルピー・ソーラーニー(「ソーラーヌスの狼たち」)と呼ばれた一族は、年ごとの祭で燃える薪の上を裸足で歩き、火傷を負わなかったと伝えられる。プリニウス『博物誌』は、この功によって彼らが元老院決議で兵役と公の負担を永久に免除されたと記す。ストラボンも、山麓のフェーローニアの聖域で熱い炭の上を歩く行事を伝えている。

セルウィウスは、その由来譚を残した。ディス・パテルへの犠牲の最中、狼の群れが祭壇から供物を奪って逃げた。追った牧人たちがソラクテ山の洞穴にたどり着くと、噴き出す気体に打たれて倒れ死んだ。やがて土地に疫病が広がり、神託は「狼のように暮らせ」と告げた。以来この人々はヒルピー・ソーラーニーを名乗り、この神に仕えたという。狼という名と、火と、地下から来る死とが、ひとつの由来譚に束ねられている。

ウェルギリウス『アエネーイス』第11巻では、アッルーンスが「ソラクテの守り手、神々の最高なるアポロー」に祈り、その信徒が松の熾火を踏んで進むことに触れる。ローマ側の文献では、この神はすでにアポローの名で呼ばれていた。

図像と象徴

この神を描いたと確認できる作例はない。ファレリイのウィニャーレにはアポロー・ソーラーヌスに捧げられた聖域があり、前5世紀の建築装飾のテラコッタ——ケンタウロスマイナス、有翼の女、グリフォン——が出土しているが、いずれも神自身の像ではない。

図像の代わりに残るのは、場所そのものである。ソラクテ山は周囲に高い山を持たない孤立峰で、ローマからも望むことができた。ホラティウスが雪をいただく姿を歌い、ウェルギリウスが聖なる山と呼んだこの山塊は、カルスト地形の空洞と火山性の噴気を伴う。地下へ通じる山という観念が、そのまま神格の性格になっている。本項が神像ではなく山の姿を掲げているのは、この事情による。

系譜と関係

ローマの著述家による同定は二重である。セルウィウスらはこの神をディス・パテルと結び、ウェルギリウス以降の文脈ではアポローの添え名(アポロー・ソーラーヌス、アポロー・ソラクティス)として現れる。地下の神と光の神という、一見相容れない二つの側に、同じ神が振り分けられていることになる。山麓の聖域に祀られた女神フェーローニアとは、祭を共にする関係にあった。同じ再構成のなかでは、マントゥスウェーヨウィスもこの神の別名として扱われる。

近年の研究は、この神をエトルリアの神シュリ(Śuri、「黒き者」の意)と同一のものと見る。エトルリアの碑文に現れるこの神は、地下と火と太陽をあわせ持ち、狼と山羊を聖獣とするとされ、ソーラーヌスの性格とよく重なる。狼を標識とする冥界神カルも、その一面として扱われる。ピュルギの聖域で祭祀を共にした女神カタは、その対をなす存在とされる。ピュルギの聖域で祭祀を共にした女神カタは、その対をなす存在とされる。ただしこれは断片的な碑文と図像からの再構成であり、確定した説ではない。ローマ側の資料に「シュリ」の名が現れないことには注意がいる。

文化的足跡

祭司たちの火渡りは、古代においてすでに驚異として語られた。プリニウスはこれを事実として記録し、後代の著述家は足に薬を塗っていたのだろうと合理化を試みている。狼を名に負う祭司団という点から、ローマのルペルカーリア祭との関係を論じる説もある。ソーラーヌスの名は、ソリアーノ、ソラーノといった中部イタリアの地名に残った。ソラクテ山そのものは、ホラティウスの一節を通じて、ヨーロッパの詩に知られる山となっている。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
ディス・パテル ローマ神話 同一視
セルウィウス『アエネーイス註解』第11巻。ソラクテ山の噴気と洞穴という土地の性格から、ソーラーヌスはディス・パテルと同一視された。ヒルピー・ソーラーニーの由来譚もディス・パテルへの犠牲から始まる。
アポローン ギリシア神話 同一視
ウェルギリウス『アエネーイス』第11巻はソラクテの神をアポローと呼ぶ。アポロー・ソーラーヌス/アポロー・ソラクティスの名でファレリイなどに聖域があった。地下の神と光の神という二重の同定が並存する。
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資料

Wikidata
Q942519 — 骨格データの出典
Commons
Monte Soratte — 図像カテゴリ