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ホルス
PLATE — ḤRW
AEGYPTVS · エジプト神話
ḤRW

ホルス

ヘル · ホル · ハルシエセ

Jeff Dahl CC BY-SA 4.0

古代エジプトの隼の神。王権と天空を体現し、生ける王ファラオは地上のホルスとされた。父オシリスの仇である叔父セトと王位を争い、勝ち取った正統の王である。

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解説

概要

ホルス(ḥrw / Horus、エジプト語ヘル)は、古代エジプトの隼の神であり、王権と天空を体現する。生ける王ファラオは地上のホルスその人とされ、亡き王は父オシリスと同一視された。王の五つの名のうち最も古い「ホルス名」は、隼を戴く枠(セレク)に記され、王とこの神との一体を示した。

神話・物語

ホルスの物語の中心は、オシリスの殺害に始まる王位継承の争いである。弟セトに殺されたオシリスの妃イシスは、亡き夫との間にホルスを身ごもり、デルタの葦の沼に隠して育てた。長じたホルスは、父の座を奪った叔父セトに王位を問う。九柱の神々エネアドが合議し、両者はいくたびもの競い合いに臨む——ホルスは若く非力ながら知恵に長け、セトは力強いが思慮に乏しいと描かれる。その争いのさなか、セトはホルスの目を損ない、ホルスもまたセトを傷つけるが、やがて損なわれた目は癒やされ、神々はついにホルスを正統の王と認めた。

この顛末は第20王朝の写本『ホルスとセトの争い』(パピルス・チェスター・ビーティーI)に生き生きと伝わり、その原型は古王国期のピラミッド・テキストにすでに芽生えている。争いの内容も、神々の判定も、テキストごとに揺れ動く。単一の正典に収まらぬ異伝の広がりが、この神話の厚みをなしている。

図像と象徴

ホルスは隼、あるいは隼の頭をもつ人として表され、しばしば上下エジプトを統べる二重冠(プスケント)を戴く。損なわれ、癒やされたその目はウジャトと呼ばれ、無事・健全を意味する守護の護符として、あまねく用いられた。ウジャトはしばしば月に擬えられ、欠けては満ちる月の相に、ホルスの目の毀損と回復が重ねられた。その各部はまた、穀物量をはかる分数の記号にも転用された。翼を広げた日輪(ベフデトのホルス)は神殿の門口に刻まれ、王を守る天空の主を示した。本サイトが掲げるのは、隼頭のホルスを現代の線画に写した一葉である。

系譜と関係

ホルスはオシリスイシスの子であり、宿敵セトはその叔父にあたる。ただし「ホルス」は一柱の神ではなく、複数の神格を束ねる総称でもある。オシリスの兄弟でヘリオポリスのエネアドに列なる長老ホルス(ハルウェリス)、イシスの子ホルス(ハルシエセ)、母の乳を吸う童子の姿のハルポクラテス、父を守護するハルエンドテスなど、地域と時代に応じた相が重ねられてきた。太陽神ラー習合した「二つの地平線のホルスなるラー」=ラー・ホルアクティは、新王国期以降の主要な図像形式である。

文化的足跡

ギリシア人はホルスを自らのアポローンと同一視した(ヘロドトスは、エジプト語でアポローンをホルスと呼ぶと記している)。プトレマイオス朝のエドフ神殿では「ホルスの勝利」の祭儀が演じられ、その神話は石壁に刻まれて今日に残る。ホルスの目は現代でも護符やデザインの意匠として親しまれ、ゲームやアニメにもたびたび登場する。

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領分・別名

INTERPRETATIO — 同一視・同源
アポローン ギリシア神話 同一視
interpretatio graeca。ヘロドトス『歴史』II 156 は、エジプト語でアポローンをホルス、アルテミスをブバスティスと呼ぶと明記する。ヘレニズム期のエジプトでも両者は同定された
ミン エジプト神話 同一視
中王国期のミン・ホルス。「ゲブトゥ(コプトス)の腕強きホルス」の称号がこれを示す
ラー エジプト神話 同一視
ラー・ホルアクティ=「二つの地平線のホルスであるラー」。ホルスの地平線形ホルアクティとの習合形で、新王国期以降の主要な図像形式

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

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資料

Wikidata
Q84122 — 骨格データの出典
Commons
Horus — 図像カテゴリ