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カライスとゼーテース
PLATE — ΒΟΡΕΆΔΑΙ
HELLAS · ギリシア神話
ΒΟΡΕΆΔΑΙ

カライスとゼーテース

カライス · ゼーテース · ゼテス

Marie-Lan Nguyen (2009) CC BY 2.5

北風ボレアースとオーレイテュイアの子である有翼の双子。アルゴナウタイに加わり、ハルピュイアを空へ追ってピーネウスを救った。

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解説

概要

カライスとゼーテース(Κάλαϊς / Ζήτης)は、北風の神ボレアースとアテーナイ王エレクテウスの娘オーレイテュイアの子である。まとめてボレアダイ(ボレアースの子ら)と呼ばれる。父から受け継いだ翼で空を飛び、アルゴナウタイの一員としてハルピュイアを追い払った。

飛べる者が飛ぶ怪物を追うという、ギリシア神話でも珍しい構図の担い手である。

神話・物語

翼の由来は資料によって異なる。生まれつき背に翼を備えていたとするもの、足に翼があったとするもの、そしてオウィディウス『変身物語』のように、成人したときに神の血が現れて背から翼が生えたとするものがある。翼ではなく、風のように速い髪の力で飛んだとする伝えもあり、二人がどちらの巻毛が長いかを競って誇ったという逸話が添えられる。黄金の鱗が光る暗色の翼という描写も残る。

最も知られるのは、トラーキアでのピーネウスの救出である。盲目の王は食卓のたびにハルピュイアに食物を奪われ、残されたものは汚されて口にできず、飢えたまま死ぬこともできなかった。イアーソーンの一行が到着すると、王は怪鳥を追い払ってくれるなら航路の難所を教えると約束する。有翼の二人が空へ追い、ついに追い詰めた。

結末は伝えによって割れる。虹の女神イーリスが現れ、以後ピーネウスを苦しめないと誓わせて追跡をやめさせたとするのが最も広く行われた形で、追跡が引き返された島がストロパデス(「引き返しの島々」)と呼ばれるようになったと説明される。殺す寸前だったとするもの、追う者も追われる者も力尽きて海に落ちたとするものもある。この一族には「追うものを捕らえそこねれば死ぬ」という定めがあったと伝えられ、それゆえハルピュイアが力尽きて落ちれば追う二人も落ちる、という筋が生まれた。

ピーネウスの先妻クレオパトラーは、この二人の姉妹である。伯父を救った甥という関係が、救出の場面に筋を与えている。

死についても伝えが分かれる。ミューシアでヒュラースを探しに行ったヘーラクレースを置いて出航するよう一行に進言したため、その恨みからテノス島で二人まとめて殺されたとするのが一つ。もう一つは、右のとおりハルピュイアを取り逃がして落命したとするものである。

なお、パノクレースはカライスがオルペウスに愛されたと伝える。オルペウスがこの若者を思って野をさまよい歌ったことにトラーキアの女たちが怒り、詩人を殺した——オルペウスの死をこの恋に帰す、少数派の説明である。

図像と象徴

ハルピュイア追跡の場面が、古代美術における定型である。アルタムーラ出土のアッティカ赤絵式柱状クラーテール(前460年頃、ルーヴル美術館 G364、レニングラードの絵師)では、中央に座る盲目のピーネウスの左右から、翼を広げた二人が迫る。この作例はピーネウスハルピュイアの項でも用いており、三者が同じ画面を分け合っていることになる。

本項に掲げたのは、それとは別の系統の作例である。ウルチ出土のエトルリア製赤絵式キュリクス(前4世紀、ヴァチカン美術館グレゴリウス・エトルリア博物館 Inv. 34625)の内面で、有翼の男が女を抱えて運び去る場面が描かれる。エトルリア文字で ZETUN(ゼーテース)と PHUIPA(ポイベー)の銘があり、人物が確定できる。ここでのポイベーは、レウキッピデスの一人と同名の女性である。ギリシアの文献にこの略奪の話は伝わっておらず、エトルリアで別に語られた筋か、あるいはディオスクーロイによるレウキッピデスの略奪が、同じ有翼の若者という属性からボレアデスに移し替えられたものと考えられる。図像が文献にない伝えを保存している例として興味深い作例である。

前6世紀のウルチ出土の浮彫にも有翼の人物が刻まれ、ボレアデスの一人と解されている。もっとも、有翼の若者という造形は多くの神格と共有されるため、銘のない作例で二人を確定することは難しい。

系譜と関係

ボレアース、母オーレイテュイア。姉妹にキオネーと、ピーネウスの妻クレオパトラー。キオネーはポセイドーンに愛され、生んだ子エウモルポスを海へ投げ捨てた。エレウシースの祭司家エウモルピダイの祖にあたる血筋が、この一族から出ていることになる。

アテーナイ人はボレアースを姻戚とみなした。オーレイテュイアがアテーナイ王家の娘だからである。ヘロドトスによれば、ペルシア戦争に際してアテーナイ人が北風に祈ったのはこの縁による。

文化的足跡

ルーベンス《ハルピュイアの追跡》(1636年、プラド美術館)をはじめ、バロック期の絵画がこの主題を取り上げた。空を舞う追跡という主題が、動勢を重んじる時代の関心に合致したためだろう。カライスはカンパニアの都市カレースを建てたとも伝えられ、地名の由来譚としても名を残している。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q845818 — 骨格データの出典
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Boreads — 図像カテゴリ