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DOLVS

トリックスター

規則を破り、境界を越え、騙し、そのことによって世界に新しいものをもたらす神格のファセット。悪役ではない。秩序の側から見れば有害だが、文化の起源譚では多く与える側に立つ。

LECTIO — 解説

ギリシアのヘルメースは生まれた日にアポローンの牛を盗み、足跡を逆向きに刻んで欺き、その日のうちに竪琴を発明して和解する。盗みと発明と交渉が一続きになっている。プロメーテウスは供犠の分け前でゼウスを謀り、火を盗んで人間に与えた。北欧のロキは神々の危機を招き、同時にその解決も持ち込む両義的な存在で、最後には終末の側につく。西アフリカのエシュ(エレグバ)は道の分岐に立ち、伝言を歪めることで人間に選択を強いる。北米先住民のコヨーテやワタリガラスは、盗むことで火や光を人にもたらす。ポリネシアのマウイは太陽を捕らえて歩みを遅らせ、島を釣り上げた。ヒンドゥーのクリシュナも、幼年の物語ではバターを盗み、衣を隠す悪童として語られる——最高神とされる神格が、同時に悪戯者であることをためらわない。ケルトのマナナン・マクリルは海と異界の王でありながら、後期の物語では貧しい従僕や醜い大男に身をやつして王侯の宮廷を巡り、音楽と幻術で相手を翻弄する。境を覆い隠す霧を領分とする神が、同時に姿を偽る者でもある。

図像は一定しない。この役割は姿を変えることそのものが本質だからである。標識があるとすれば、変身、動物の姿、境界に立つ位置(門・辻・敷居)、そして笑いである。

トリックスターは二十世紀の人類学が組み立てた分析概念であり、古代人が使った分類ではない。この枠に入れると鮮やかに見えるぶん、当てはめすぎる危険もある。ロキとコヨーテとヘルメースは、機能が似ているだけで、起源のうえで何の関係もない。

この役割の神格

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