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アナンシ
PLATE — ANANSE
AFRICA · アフリカ神話
ANANSE

アナンシ

アナンセ · アナンシー · クワク・アナンセ

Pamela Colman Smith PUBLIC DOMAIN

西アフリカ・アカン(アシャンティ)の民話に生きる蜘蛛のトリックスター。天空神ニャメから世界のすべての物語を勝ち取った知恵者で、その説話は「アナンセセム(蜘蛛の物語)」と総称される。

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解説

概要

アナンシは、西アフリカのアカン系諸族、とりわけ現在のガーナに暮らすアシャンティ人が語り継ぐ蜘蛛のトリックスターである。名はアカン語トウィ方言で「蜘蛛」を意味し、クワク・アナンセとも呼ばれる。全能の創造神ではなく、天空神ニャメの子として神々と人間のあいだを取り持つ媒介者に位置づけられ、地域によっては知恵そのものを体現する下位の神格とも、民話の主人公とも語られる。狡知を武器に強き者を出し抜くトリックスターでありながら、人間界に物語と知恵をもたらした文化英雄でもある。本サイトがアフリカ神話として括る伝統のうち、ヨルバのオリシャとは系統を異にする、独立したアカンの伝承である。

神話・物語

最も名高いのは、世界の物語の由来を説く一話である。かつて物語はすべて天空神ニャメが所有していた。アナンシがそれを買い取りたいと申し出ると、ニャメは大国でも払えぬ代価として、四つの捕らえがたい生き物——大蛇オニニ、豹オセボ、雀蜂ムボロ、妖精ムモアティア——を捕えてくることを課した。アナンシは力ではなく智略によって次々とこれを成し遂げ、驚いたニャメは物語の所有権を彼に与えた。以来、物語は「アナンセセム(蜘蛛の物語)」と呼ばれるようになったと伝えられる。

知恵をめぐる説話も多い。アナンシは世界中の知恵を壺に集めて独り占めしようとしたが、高い木に隠そうとして壺を落とし、知恵は砕けて世界じゅうに散らばった——だからこそ知恵は誰か一人のものではない、という。ほかにも、欲張って身体を縛りすぎて蜘蛛の腰が細くなった由来譚など、教訓と笑いを兼ねた逸話が数百と伝わる。

図像と象徴

アナンシは蜘蛛の姿、人間の姿、あるいは人面に蜘蛛の身体をもつ半人半蜘蛛として描かれる。定まった神像をもつ神格ではなく、その図像は語りと結びついた挿話のうちに立ち現れる。本項の図版は、19世紀末にパメラ・コールマン・スミスがカリブ海(ジャマイカ)の「アナンシー物語」に付した挿画である。スミスはのちにライダー版タロットの図像で知られる画家で、蜘蛛の狡知と語りの世界を線描でとらえたこの一枚は、アナンシ譚が大西洋を渡って新大陸へ根づいたことをも物語る。象徴としての蜘蛛は、糸を張り巡らせて獲物を捕える網の巧みさ——すなわち策略と言葉による支配——を体現する。

系譜と関係

父は天空神ニャメ、母は大地の女神アサセ・ヤアとされることが多いが、系譜は語り手と土地によって揺れる。アナンシは特定の神統譜に固定される神格というより、あらゆる物語に顔を出す媒介者であり、その関係は血縁より「誰と誰を出し抜くか」という物語上の対立で語られる。トリックスターとしての彼は、北米ラコタの蜘蛛イクトミや、コヨーテ・兎など他文化の同型の存在と機能を同じくする。ただし似ているのは役割であって起源ではなく、アナンシはあくまでアカンの知恵(知恵の神)の伝統に根ざす。

文化的足跡

大西洋奴隷貿易により、アナンシ譚は捕囚とされたアカンの人々とともに新大陸へ渡った。ジャマイカやスリナムではアナンシー(Anancy)として、アメリカ南部では「ナンシーおばさん(Aunt Nancy)」として語り継がれ、弱者が知恵で強者を出し抜く物語は、抑圧のもとを生き抜く抵抗と生存の象徴となった。現代でも児童文学やグラフィックノベル、映像作品へと姿を変えて受け継がれ、ニール・ゲイマンの小説などを通じて世界的に知られる。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承点線=異伝・別系統

ニャメ
アサセ・ヤ
ANANSE
アナンシ
アフリカ神話
ニャメ
アサセ・ヤ
ANANSE
アナンシ
アフリカ神話
収載データなし
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資料

Wikidata
Q485953 — 骨格データの出典
Commons
Anansi — 図像カテゴリ