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プロメーテウス
PLATE — ΠΡΟΜΗΘΕΎΣ
HELLAS · ギリシア神話
ΠΡΟΜΗΘΕΎΣ

プロメーテウス

プロメテウス · プロメーテウース · Prometheus

Daderot(ヴァチカン美術館蔵、ラコニア黒像式キュリクス、前560〜550年頃) PUBLIC DOMAIN

ギリシア神話のティーターン神族。ゼウスを欺いて火を盗み、人間に与えた。罰として岩に縛られ、鷲に肝臓を啄まれ続ける。人間の側に立ち、そのために罰せられた神である。

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解説

概要

プロメーテウス(Προμηθεύς / Prometheus)は、ギリシア神話のティーターン神族の一柱である。名は「先に考える者」と解され、弟エピメーテウス(「後で考える者」)と対をなす。ただしこの語源が古いものか、対句を作るための後知恵かは決着していない。

ティーターンでありながらオリュンポスの神々と戦わず、人間の側に立ち続けた。ギリシアの神々のなかで、人間のために神罰を引き受けた例はほかにない。

神話・物語

最古の記録はヘーシオドス『神統記』と『仕事と日』(前8世紀末頃)である。メーコーネーの供犠でゼウスを欺いた報復に、ゼウスは人間から火を取り上げる。プロメーテウスはウイキョウの茎に火を隠して盗み返した。ゼウスはさらに報復し、ヘーパイストスに土から最初の女を造らせて人間界へ送る。『仕事と日』ではこの女がパンドーラーと名指され、壺から災いが解き放たれる。

罰として、プロメーテウスは縛られ、鷲が毎日その肝臓を啄む。肝臓は夜のうちに再生し、翌日また啄まれる。『神統記』は、ヘーラクレースが鷲を射て、ゼウスの許しのもとに解放したと語る。

アイスキュロスに帰される悲劇『縛られたプロメーテウス』(前5世紀。作者の帰属は疑われている)は、この筋を大きく描き換える。ここでのプロメーテウスはティーターノマキアーでゼウスに味方した功労者であり、それだけ裏切りの度合いが増す。与えたのは火だけではない。数と文字、家畜の使役、航海、医術、占い——文明の技術のすべてを人間に授けたと本人が語る。さらに、ゼウスを王座から落とす結婚の秘密を握っており、それを明かさないために罰されている。ヘーシオドスの狡知の神が、ここでは専制に抗する者になる。

人間を土から造ったのはプロメーテウスだとする伝承もあるが、これはヘーシオドスにはない。アイソーポス寓話、オウィディウス『変身物語』、パウサニアースらに現れる後代の系統である。プラトン『プロタゴラス』では、エピメーテウスが動物に能力を配り終えて人間の分を残さず、兄がヘーパイストスとアテーナーから技術と火を盗んで埋め合わせた、と語られる。どれを採るかで、この神は造物主にも泥棒にもなる。

図像と象徴

持物はない。この神を同定するのは、縛られた身体と鷲、そして火である。

本ページの主画像は前560〜550年頃のラコニア黒像式キュリクス(ヴァチカン美術館蔵、アルケシラース画家)で、杯の内側に、天を支えるアトラースと、縛られて鷲に肝臓を啄まれるプロメーテウスが並ぶ。イーアペトスの子である兄弟が、それぞれの罰を並べて負う構図である。エトルリアやローマの石棺には、人間を土から造る場面が彫られた。この主題は後にキリスト教の創造の図像と重ねて読まれ、長く残る。

横長の大理石石棺の正面浮彫。座った人物が小さな人の像を作り、兜の女神や三叉の矛を持つ神など多くの人物が囲んでいる
人間を造るプロメーテウスと見守る神々(ローマ期の石棺浮彫、240年頃、ルーヴル美術館)Jastrow / パブリックドメイン — Wikimedia Commons

近世以降、プロメーテウスは西洋美術の常連となる。ルーベンスとスネイデルスの《縛られたプロメーテウス》(1611〜18年頃、フィラデルフィア美術館)は鷲の暴力を正面から描き、ニコラ=セバスティアン・アダンの大理石像(1762年、ルーヴル美術館)は苦痛に反り返る身体を彫った。ポール・マンシップの金色像(1934年)はニューヨークのロックフェラー・センターに据えられ、火をもたらす者を都市の中心に置いた。図像の重心が、罰から贈与へ移っていく過程がここに見える。

系譜と関係

父はティーターンのイーアペトス。母は資料によって割れる。『神統記』はオーケアノスの娘クリュメネーとし、アポロドーロスはアシアーとし、『縛られたプロメーテウス』では本人がテミス——大地ガイアと同一の者とされる——を母と呼ぶ。兄弟はアトラース、メノイティオス、エピメーテウス。

子はデウカリオーンで、大洪水を箱舟で生き延び、人類の祖となる。父が造った人間を子が造り直すという配置になっている。配偶者もプロノイア、ケライノー、アクシオテアなど諸説あり、一定しない。

ゼウスとの関係が、この神のすべてである。敵対したのは権力そのものではなく、人間を滅ぼすというゼウスの意志であった。北欧のロキやポリネシアのマウイと並べて論じられることがあるが、それは機能の類似(トリックスター)であって、起源の関係ではない。

文化的足跡

祭祀の記録は乏しい。アテーナイでは技術神の一柱として、アテーナー、ヘーパイストスとともに祀られ、アカデメイアの聖域からは松明競走が行われた。火を運ぶ神に、火を運ぶ競技を捧げている。

近代以降、この神は人間の営為そのものの象徴になった。ゲーテの詩、シェリーの劇詩『鎖を解かれたプロメーテウス』、ベートーヴェンのバレエ音楽、スクリャービンの管弦楽曲。メアリー・シェリーが『フランケンシュタイン』(1818年)に「現代のプロメテウス」と副題を付けたとき、この神は与える者であると同時に、越えてはならない線を越えた者になった。元素プロメチウム(1945年発見)の名も同じ含意による。

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領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。

ἸΆΠΕΤΟΣ
イーアペトス
父
ΚΛΥΜΈΝΗ
クリュメネー
母
ΘΈΜΙΣ
テミス
アイスキュロス『縛られたプロメーテウス』: テミス(ガイア)を母とする
アシアー
アポロドーロス1.2.3: アシアーを母とする
ἌΤΛΑΣ
アトラース
兄弟姉妹
ἘΠΙΜΗΘΕΎΣ
エピメーテウス
兄弟姉妹
ΜΕΝΟΊΤΙΟΣ
メノイティオス
兄弟姉妹
ΠΡΟΜΗΘΕΎΣ
プロメーテウス
ギリシア神話
ΚΛΥΜΈΝΗ
クリュメネー
デウカリオーンの母とする伝え
Axiothea
異伝の配偶者(本文「プロノイア、ケライノー、アクシオテアなど諸説」)
Pronoia
ヘーシオドス断片(『女たちのカタログ』): デウカリオーンの母
ΔΕΥΚΑΛΊΩΝ
デウカリオーン
子
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ΠΡΟΜΗΘΕΎΣ
プロメーテウス
ギリシア神話
◇
Axiothea
異伝の配偶者(本文「プロノイア、ケライノー、アクシオテアなど諸説」)
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Pronoia
ヘーシオドス断片(『女たちのカタログ』): デウカリオーンの母
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資料

Wikidata
Q83160 — 骨格データの出典
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